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【今週公開の注目作】『悪魔のいけにえ 4Kデジタルリマスター公開50周年記念版』元祖チェンソーマンと言えばこの男!これで新年初斬り!

◆今週公開の注目作

『悪魔のいけにえ 4Kデジタルリマスター公開50周年記念版』
2026年1月9日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

本当に今さらと言えば今さらだが、今回はホラー映画好きなら知らぬ者はいないであろう『悪魔のいけにえ』を取り上げよう。本作が初めて日本公開された1975年から50年が経ち、その記念に4Kデジタルリマスター版が公開されるめでたいタイミングだからだ。2015年には40周年記念で一度4Kリマスターされているが、今回はさらにそこから映像・音声をブラッシュアップしたバージョンになっている。この悪魔は10年ごとにいけにえを求めるのだ。すでに見たことがある方も、実は見ていないというヒミツを墓場まで持っていこうとしていた方も、新年を景気よく始めるためにヤツに追いかけられているがごとく必死に劇場へ走ると良い(そして前方で待ち伏せを食らうのだ)。せっかくなので、この記事は主に本作を未見の方に向けて書いてみよう。もしかしたら、あなたの持っている先入観とは大きくずれる作品かもしれない。

『悪魔のいけにえ』は、後に『ポルターガイスト』や『スペースバンパイア』(筆者が子どもの時TVで流れていたが、今から考えるととても信じられない)を撮ることになるホラーの巨匠トビー・フーパーの商業デビュー作だ。しかしデビュー作にして、その後の数多のホラー映画に計り知れない影響を与えている。もはや原型と言っても良いだろう。若い男女が得体の知れない狂人に殺されていくタイプの映画はごまんとあり、『ブレードランナー』と同じようにむしろ影響を受けた方の映画を先にたくさん見てしまっているはずだが、今から見たとしてもその衝撃はきっと色褪せない。画面を支配しているのは悪意というよりも、単純に我々常人と同じ世界に生きているとは思えない、尋常じゃなく異質なモノの存在感だ。異物感、と言い表しても良い。

異物とはもちろん、レザーフェイスとその一家だ(同じくマスクをかぶった『ハロウィン』のマイケルや『13日の金曜日』のジェイソンと間違えないように)。ホラー映画でおなじみのサイコ野郎が「人の皮をかぶっている」と例えられるのに対し、レザーフェイスは名前通り、文字通り人間の皮をかぶっており素顔は不明。テキサス州に潜む彼らソーヤー一家は近づく者を決して逃ささず歓喜して殺害するのに、そうする理屈は全く見えてこない。純粋に殺したいから殺しているだけのようだ。だが、(真っ赤な嘘ながら)実際の事件とされている本作のテキサスチェーンソー大虐殺を描くのに、意外にも直接的な残酷シーンはほぼ使われていない。スプラッター的なグロさを求めると拍子抜けするかもしれない。その代わり、異様という意味でのグロテスクさに満ち満ちている。

ソーヤー一家が作り上げた、実在の猟奇殺人鬼エド・ゲインの事件にも共通する死体を使った家具や食器はともすれば美術品に見える。中盤の追いかけっこや終盤の“おもてなし”シーンはあまりにも長く執拗に続くため、被害者の死ででも良いから早く終わってくれと願ってしまう。レザーフェイスと同等のホラーアイコンとなっているチェーンソーの駆動音が、口の利けないレザーフェイスの代わりに何もかもを雄弁に語っているように聞こえてくる。あまりにも自然に狂った出来事が映し続けられるためにこちらの感覚もだんだん侵されていき、正常・異常の境界線が赫いテキサスの夕日に照らされ陽炎のように揺れる。本作こそが原色だ。色が混じり合った後の時代の類似作には、これほど至純の鮮やかさは出せない。この赫に目を焼かれてしまえばこの先ずっと、他のどのホラー映画を見ようとも赫みがかかって見えてしまうに違いない。

【ストーリー】
テキサスの田舎町をドライブ旅行中の5人の若者。立ち寄った古い家で、人皮のマスクを被った大男「レザーフェイス」とその一家に遭遇する。逃げ場のない家でチェーンソーが唸りを上げ、狂気の宴が始まる……!

【キャスト】
マリリン・バーンズ、アレン・ダンジガー、ポール・A・パーテイン 他

【スタッフ】
監督・製作:トビー・フーパー
脚本:キム・ヘンケル、トビー・フーパー

 

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