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【今週公開の注目作】『マッド・フェイト 狂運』 どうせ狂うなら、狂わせてしまえ。運命の歯車までも。2026年も『トワイライト・ウォリアーズ』監督作品で幕を開ける!

◆今週公開の注目作

『マッド・フェイト 狂運』
2026年1月2日(金)新宿シネマカリテほか全国順次 新春ロードショー!

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

あなたはもう2025年のベスト&ワースト映画のセレクトを終えただろうか。この記事を書いている時点では筆者はまだ候補作の選び出しまでしかできていないが、今年は『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』で始まり、途中に『スタントマン 武替道』を挟み、現在公開中の『シャドウズ・エッジ』で終わると言っても良いほどやけに香港映画が勢いづいた一年だった印象だ。作品の中では、むしろ香港映画の黄昏が描かれていたのに反して。さて、そうして始まる2026年は非常に幸先が良いことに、いや絶望的に不吉なことに、新年早々ベスト映画の候補になりそうな本作の公開で幕を開ける。奇しくも、多くの方が2025年ベストに挙げたであろう『トワイライト・ウォリアーズ』の監督であるソイ・チェンが同作の前に撮った作品が、人々の最悪の運命を描くこの『マッド・フェイト 狂運』である。

本作の登場人物たちは皆どうかしている。主人公のホイは占い狂いで、風水、占星術その他によって占った吉凶を全ての行動の指針にし、他人の凶運を察知するとあの手この手で運命を好転させようとしてくる、お人好し寄りの奇人だ。ある日、彼が運命を変えてあげようとしていた娼婦が、運命通りに町を震撼させている猟奇殺人犯の餌食になる。偶然か必然か、その犯行現場で目撃者のシウという青年に出会うが、彼はサイコパスであり被害女性の大量の血液と刃物による傷に魅了されてしまう。シウにはすでに刃物で猫を虐待し逮捕された経験があり、彼に将来殺人を犯す相が表れていると信じ込んだホイはシウを救おうと七転八倒するが、その行動はだんだん異常性を増していき……。

原題の「命案」とは、中国語で殺人事件を意味するらしい。本作で焦点が当てられているのは、すでに起きた殺人事件よりもシウがこの先起こすかもしれない事件の方であり、ホイの人情(?)で刃傷沙汰を防げるか、というのがストーリーの主軸だ(娼婦殺人の犯人は冒頭で明かされる)。シウはかなり精神的に不安定で、血や他人の死に異常に惹かれてしまう性を持っており、家族や警察から常に不審の目で見られている。観客としても、過去の逮捕歴から感情移入の難しいキャラクターであるのは間違いない。しかし猫の件を別にすれば“まだ”何もしていない危ういだけの青年であるし、何よりサイコパスなる性質は生まれつきのものなのでそれ自体は彼の責任ではない。ホイの入れ込みようは狂人レベルだとしても、シウの更生は十分物語る価値のあるストーリーだろう。

ところが、本当に神が運命を操っているように、シウは何度も人生を狂わせる岐路にブチ当たる。そこで衝動に身を任せてしまえば一巻の終わり。フェイトとは運命……というより宿命、逃れられぬ悲運を意味する。その濁流に飲み込まれれば一瞬でフェイタリティ(死)だ。シウはたまたまサイコパスとして描かれているが、実際に人口の約1%程度存在すると言われる彼ら全てが犯罪者となるわけではもちろんなく、むしろ成功者の中にもサイコパスは多いと言われる。(おそらく)サイコパスではない我々も同じだ。何かしら気質に問題があろうと、必ずしもそれに支配されながら生きなければならない道理はない。正月に鑑賞するにはなかなかパンチが効いているが、紅い血と白紙の未来を描いているのだからきっと縁起良し、開運間違いなしな作品だろう。

【ストーリー】
娼婦ばかりが狙われる猟奇殺人が、また今夜も……。見えない殺人鬼が彷徨うこの町は、異様な空気に包まれていた。激しい雨の夜、ある娼婦に奇妙な儀式を施す、熱血占い師マスターホイ。誰でもいいから人を殺したくてたまらないクズな衝動に今日も悩まされる、サイコパス青年シウ。過去に動物虐待容疑で、シウを刑務所にぶち込んだ、刑事ベテランは、疑いの目を常に彼に向けているのだった……。ある日、嫌な予感に導かれ、娼婦の住むアパートに駆け付けたホイ。そこには、配達員として訪れていたシウの姿が……。その恍惚の眼差しの先には、異常な形状で吊るされた血まみれの女が…。その瞬間、ホイの‟運命”とシウの‟運命”が、激しく交錯する。それは、最低最悪の‟運命”に逆らう、熱くて奇妙な戦いのはじまりだった……。

【キャスト】
ラム・カートン、ロックマン・ヨン、ン・ティンイップ、チャン・チャームマン、ン・ウィンシー、ウォン・チンヤン 他

【スタッフ】
監督:ソイ・チェン
製作:ジョニー・トー

 

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