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【今週公開の注目作】『宝島』歴史と青春がぶつかり合う一大群像劇、未来へ問いかける超大作!

◆今週公開の注目作

『宝島』
2025年 9月19日(金)より全国公開

直木賞を三冠受賞した真藤順丈の小説『宝島』が、ついに公開される。制作費25億円、上映時間191分。日本映画の中でも異例のスケールを誇る本作を監督するのは、『るろうに剣心』シリーズで知られる大友啓史。主演は妻夫木聡、共演には広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太。舞台は1950年代から70年代の沖縄、返還前という特殊な時代を20年にわたり描き出す叙事詩だ。

物語は1952年、まだ戦後の匂いが濃い沖縄から始まる。米軍基地から物資を持ち出し、人々に分け与えていた若者たち──「戦果アギヤー」と呼ばれた義賊的存在。幼なじみのグスク、ヤマコ、レイ、そして彼らが憧れるオン。だがある夜を境にオンが姿を消し、残された三人の人生は刑事、教師、ヤクザとまったく別の道をたどる。それでも彼らの胸の奥には、消えた仲間の影が刻まれ続ける。

題材から“社会派大作”を想像する人もいるだろう。しかし大友監督が目指したのは、歴史を知識として伝えるのではなく、登場人物の感情を通して観客がその時代を追体験する映画だ。返還前の沖縄を「青春映画」として描くことで、無謀な行動も、仲間を想う熱も、ただの政治ではなく青春の衝動として浮かび上がる。

主演の妻夫木は、現地で人々の思いを受け止めながら役に臨んだ。その真摯な姿勢が、スクリーンに映る人物を“キャラクター”ではなく“生きた人間”として立ち上げている。彼が「映画は観客に観てもらって初めて完成する」と語った言葉は象徴的だ。エンドロールの先に物語は終わらず、観客の未来へと託されていく。

圧巻はクライマックスに描かれる「コザ暴動」。1970年の実際の事件を再現するため、当時の街並みをスタジオに作り込み、2000人以上のエキストラを投入。炎を上げる車、怒号を飛ばす群衆──日本映画の限界を突き破るようなカオスが繰り広げられる。全編を通じて延べ5000人が参加しており、群像劇の迫力は圧倒的だ。

原作者の真藤順丈は沖縄を「青春と革命の島」と表現する。戦後から返還までの20年間に凝縮されていた熱気や希望を、彼は小説に、大友監督は映像に託した。戦後80年を迎えるいま、当事者世代に頼るのではなく、私たち自身がどう語り継ぐのかを突きつける作品となっている。

『宝島』は沖縄の20年を描いた歴史劇であり、若者たちの熱を刻む青春映画でもある。戦うとは何か。正義とは何か。尊厳とは何か。その問いは過去に閉じることなく、いまを生きる観客に突きつけられる。スクリーンいっぱいに広がる熱とスケールが、未来を考える力を呼び覚ますだろう。

【ストーリー】
1952年、沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える‟戦果アギヤー“と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の三人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは「予定外の戦果」を手に入れ、突然消息を絶つ…。残された3人はやがて、憧れのオンの失踪の謎を追いながらも、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがて警察、ヤクザ、小学校の先生になり、それぞれの道を歩み始める。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。そして、オンが基地から持ち出した”何か“を追い、米軍も動き出すー。消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とはーー。

出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太
監督:大友啓史
原作:真藤順丈「宝島」(講談社文庫)
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

公式サイト:https://www.takarajima-movie.jp
オフィシャルX:https://x.com/takarajimamovie
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/takarajimamovie/

 

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