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『アクアマン/失われた王国』強大VS兄弟!この碧き唯一無二の世界を、その目に焼き付けろ!

◆今週公開の注目作

『アクアマン/失われた王国』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

バットマンの能力:お金。アクアマンの能力:魚と話せる…なんて『ジャスティス・リーグ』で自虐的にネタにされていた、クールでチャーミングな彼らとも、お別れの時間が近づいている。『アクアマン』シリーズ2作目となる本作『アクアマン/失われた王国』で、ちょうど10年続いたDCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)も終わりを迎えるからだ。“失われた王国”って、まさにDCEUのことなのでは…などという冗談はさておいても、思い返せば本作がたどってきたのは波乱万丈な道のりであった。

主役のジェイソン・モモアが新型コロナウイルスにかかって撮影スケジュールを変更せざるを得なかったし、観客の反応を見て結局三度も再撮影する羽目になりリリースのタイミングが大幅に遅れた。元々は『ザ・フラッシュ』と公開の順番も逆だったのだ。その関係で、予定されていたベン・アフレックのバットマンの登場もなくなった。また、1作目に登場したモンスター、トレンチをフィーチャーしたホラーになると伝えられていたスピンオフ作品『The Trench(原題)』の企画もあったが、ジェームズ・ワン監督により実はヴィラン、ブラックマンタの単独作と後に明かされるも制作されずに終わった。そして忘れられないのが、ヒロインのメラを演じるアンバー・ハードと元夫ジョニー・デップの泥沼離婚裁判だ。結果、過失のあったハードが敗訴し、その影響でヒロインにもかかわらず本作から大幅に出番が削られた。

ところが、転んでもただでは起きないのがDCだ。DCはこれまでいくつもの問題にブチ当たってきた。何と言っても、DCEUの始まりから関わっていたザック・スナイダーが降板したというのに、どうにか踏ん張っているのだ。それに、ジェームズ・ワンは『ソウ』で地に伏し、『ワイルド・スピード SKY MISSION』で車を飛ばせた男である。陸・空と来たら次に征服するのは海と相場は決まっている。すでに『アクアマン』で一度それを成し遂げた彼にかかれば、観客がMCUの『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で海底王国の話を見たばかりと言えども、再征服はそう難しいことではない。

メラの出番カットに対処するため、本作は前作とは異なる方向に舵を切っている。ワンの言葉を借りれば、「1作目は(アクアマンとメラの)ロマンス・アクション・アドベンチャーで、2作目は(アクアマンと元ヴィランである弟オームの)ブロマンス・アクション・アドベンチャー」なのだ。今回アクアマンは、強大な力を持つ古代兵器ブラック・トライデントを手にしたブラックマンタのリベンジマッチに立ち向かわなければならない。そう、兄弟で! 前作ではいがみ合っていたふたりが、今回…もいがみ合いながらバディを組むのだが、テキトーな兄とマジメな弟なので全てのやりとりがコントになってしまう。せっかく気合いを入れ直してきてくれたブラックマンタも、残念ながらキャラ萌えには勝てない。

そんなフザけたキャラクターたちに対して、海中の映像は空と見紛うほどのクリアブルーで、見惚れるほどに美しい。これもまた絶妙なバディと言えるだろう。本作でこの世界が見納めなんて、つくづく惜しい。アクアマンというキャラクター自体も、DCEUの後に始動するDCユニバースへの続投が現状望み薄らしく、我々はここで別れを告げざるを得ないのだろう。しかし、この海の中でなら、涙を見せることなく笑って手を振れるだろう。

【ストーリー】はるか昔、南極の氷河の奥深くに“失われた王国”が封印された。世界を滅亡させる力を持つ古代兵器、ブラック・トライデントとともにーー。しかし今その封印は解かれ、かつてない邪悪な力が解き放たれてしまう。立ち向かうのは、海の生物を操るアトランティスの王であり、ユーモア溢れるお調子者、アクアマン。5億の海の仲間とともに、かつてない脅威から海と地上の仲間を守れるのか!?
【キャスト】
ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、アンバー・ハード、ニコール・キッドマン、ドルフ・ラングレン 他

【スタッフ】
監督:ジェームズ・ワン
脚本:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
製作:ジェームズ・ワン、ピーター・サフラン、ロブ・コーワン

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