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『ダークグラス』あのジャーロの帝王ダリオ・アルジェントが復活!“色眼鏡”で見た方が驚けるジャーロ…ドラマ!?

この映画は、つまり―
  • 御年82歳のダリオ・アルジェント、10年ぶりの新作!
  • ジャーロの帝王は健在、だけど…?
  • 違う意味でビックリなミステリー

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◆配信中の注目作

『ダークグラス』(2023)

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

御年82歳のダリオ・アルジェント、10年ぶりの新作!
本人たちが元気すぎて忘れがちだが、「巨匠」と呼ばれてきた映画監督たちは総じて高齢(いや、超高齢?)になっている。スティーブン・スピルバーグは76歳で、ドイツのビム・ベンダースも78歳でカンヌ国際映画祭に役所広司主演の『PERFECT DAYS』を出品したばかり。『エクソシスト』のウィリアム・フリードキンはつい先日87歳で亡くなってしまったものの、ジョージ・ミラーは78歳、リドリー・スコットとポール・バーホーベンは85歳、ロマン・ポランスキーも90歳だし、クリント・イーストウッドに至っては93歳。もう理解の範疇を超えている。そう言えば、『ミツバチのささやき』で知られるスペインのビクトル・エリセも今年87歳にして新作『Cerrar los ojos(原題)』を撮ったのだった。そして、未だ現役の巨匠がイタリアにもまたひとり。82歳(9月7日で83歳!)のジャーロの帝王、ダリオ・アルジェントだ。

ジャーロの帝王は健在、だけど…?
本作『ダークグラス』は、監督の前作『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』から実に10年ぶりの新作だ。ジャーロ映画としてなら、『ジャーロ』(そのまんま)から13年ぶりとなる。ポスターがどこからどう見てもジョン・カーペンター(75歳)のSFスリラー『ゼイリブ』ながら、敵は宇宙人ではない。しかし、人間でもない。娼婦ばかりを惨殺している“人でなし”だ。同じく娼婦である主人公のディアナもまたヤツに襲われることになるが、冒頭にサングラスをかけたディアナを含めた人々が影に包まれていく象徴的な日食シーンがあるように、展開は中々重くて暗い。ディアナは犯人に車で追い回された結果追突されて、中国人家族の車を巻き込みながらクラッシュ。ディアナは失明し、中国人の少年チンの両親は致命傷を負ってしまう。

今までのアルジェントならもっと犯人側に焦点を当て、主人公をサディスティックに追い詰めていただろう。それが鮮血と狂気に彩られたミステリー、ジャーロというジャンルだ。現代のジャーロとして作られた『マリグナント 狂暴な悪夢』や『ラストナイト・イン・ソーホー』もそうだった。そして、過去作でお馴染みのゴブリンのような音楽も流れる。しかし、今回のアルジェントは一味違う。ディアナの状況もヘビーすぎるのは間違いないし、殺人シーンの出血の多さにはもはや笑ってしまうが、何と本作はここからヒューマンドラマの色を覗かせ始める。ディアナは歩行訓練士リータ(アルジェントの娘アーシアが演じている)と盲導犬ネレアの力を借りて暗闇を克服しようとし、まさか…ディアナとチンの間に不思議な絆が芽生え始めるのだ!

違う意味でビックリなミステリー
光を失ったディアナは、言うなればいつもダークグラス(サングラス)をかけている。だからこそ、見えてくるものがある。そして、やはり見えないものも。ドス黒い狂気は黒いレンズには映らない。キャラクターを“殺させてあげる”という意味で、ホラーは犯人に優しいジャンルだ。そんな人でなしに目をつけられたディアナとチンの人生はお先真っ暗のようにも思える――それでも、“彼女らは生きている”。話の精密さなど二の次三の次のジャーロらしくなく筋の通った素直なストーリーなので、正直ミステリーとして大きなサプライズはないが、あのジャーロの帝王にこんなことを教えてもらうとは…そこが一番ビックリだ。

【ストーリー】
イタリア・ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生。その 4 人目のターゲットにされたコールガールのディアナもまた殺人 鬼に執拗に追いかけられ、ある夜、車を衝突させられ大事故に遭い、一命は取り留めるも両目の視力を失う。同じ事故で両親を亡くした中 国人の少年チンとディアナに絆が生まれ、一緒に暮らすこととなるが、サイコパスの殺人鬼はその後もしつこくディアナたちを殺害しようとつけ狙う。

【キャスト】
イレニア・パストレッリ、アーシア・アルジェント、シンユー・チャン 他

【スタッフ】
監督:ダリオ・アルジェント 
脚本:ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ 
音楽:アルノー・ルボチーニ
2021年/イタリア・フランス/イタリア語/85分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:Occhiali neri/日本語字幕:杉本あり 
提供:ロングライド、AMGエンタテインメント
配給:ロングライド
© URANIA PICTURES S.R.L. e GETAWAY FILMS S.A.S. 

公式サイト:https://longride.jp/darkglass/

 

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