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『エスター ファースト・キル』本当に変なのはどっちだ!?思わず「そう来たか!」と驚く怪作が誕生!

◆今週公開の注目作

『エスター ファースト・キル』

文:大西D(ヒカセン兼業ライター)

1作目が公開されて実に10年以上の時を経て公開される『エスター ファースト・キル』。本作は前日譚となっているわけだが、そもそも1作目の公開時はこんな作品があるとはだれも想像していなかっただろう。ちなみに1作目はレオナルド・ディカプリオ率いる映画制作会社アッピアン・ウェイが入っており、ディカプリオもプロデューサーとして参加している。しかし、それ以上に話題になったのは何と言っても、そのエスターを演じたイザベル・ファーマンの怪演だ。当時12歳だった彼女の演技は大きな話題を呼んだ。

そして本作である。エスターを演じるのは何と、前作同様イザベル・ファーマンである。前作のエスターは孤児として登場し、当時子供だったファーマンが演じることに何も違和感は無かった。しかし、今やファーマンは26歳の立派な大人である。そんな彼女がどうやってエスターを再び演じたのか、画面を観ていても撮影で非常に苦労したことが伺える。一方でエスターを演じることが出来るのはファーマンしかいないという製作陣の信念が、作品を通してひしひしと伝わってくるのはとても好印象だ。

本作では前作にも負けない程にクレイジーなエスターを見せてくれる。しかし一方で、まだまだ詰めが甘い部分がいくつも存在する。子供を演じようとするがあまり、無邪気な姿を見せようとするのだが、それが却って大きな違和感を生んでしまったり、引き取り先の家族に不信感を与えている。前作には無い未熟さが何とも面白い。そして映画が進むにつれて、そもそも「エスター」という子供に大きな誤算があったことに気付く。

本作が観客に驚きを与える部分はまさにここで、前作はエスター一人の異常性が際立っていたが、本作では実は彼女を引き取る家族も相当にヤバい家族であることが判明する。自由を手にするためにやってきたのに、まさか命の危機に晒され様とは、まさか引き取られた家族がエスターにも負けないクレイジー家族だったとは、エスター本人がビックリだろう。

そう言った意味では前作とは全く違った楽しみが出来る作品だ。前作はエスターのサイコパスぶりを楽しむ作品だったが、本作はまだまだサイコパスとしては半人前のエスターと、そんなエスターの前に立ちはだかる大きな危機を楽しむ作品となっている。もちろんエスター自身が抱える異常性も健在で、前作に新しい楽しみが加わった作品となっている。ホラーファンは是非ともチェックしたい作品だ。

【あらすじ】
行方不明になってから 4 年―
10 歳になって戻った娘・エスターは、何かがおかしい。
2007 年、アメリカで暮らすオルブライト家は、4年前に 6 歳で行方不明となった愛娘エスターの失踪事件に今なお心を痛めていた。そんなある日、エスターが保護されたという思いがけない知らせが夫妻のもとに届く。この奇跡のような出来事を手放しで喜ぶ一家。驚くほど成長したエスターは聡明で才能も豊か。画家の父親に昔以上にべったりだった。
また、あの幸せな時が帰ってくるー。
だが、母親は知っていた。
この娘が別人だということを。

【キャスト】
イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン

【スタッフ】
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
脚本:デヴィッド・コッゲシャル
原案・製作総指揮:デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
プロデューサー:アレックス・メイス/ハル・サドフ/イーサン・アーウィン
(アメリカ/99分/R-15/カラー/5.1ch)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.

公式サイト:https://happinet-phantom.com/esther/
公式Twitter:@esther_movie

2023年3月31日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

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