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『マッシブ・タレント』“ナショナル・トレジャー”ニコラス・ケイジの集大成!人生を潰しかけたほど重い才能の行く末は!?

◆今週公開の注目作

『マッシブ・タレント』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

最近、主演俳優の俳優人生そのものをストーリーに活かした映画が多い。マイケル・キートン主演の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』や、ロバート・レッドフォード主演の『さらば愛しきアウトロー』、ちょうど今絶賛公開されているミシェル・ヨー主演の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もそうだ。そして、間もなく公開されるニコラス・ケイジ主演の『マッシブ・タレント』も。原題は文芸映画『ジ・アンベアラブル・ライトネス・オブ・ビーイング(存在の耐えられない軽さ)』を意識した『ジ・アンベアラブル・ウェイト・オブ・マッシブ・タレント(とんでもない才能の耐えられない重さ)』だ。何とも誇大広告的なタイトルだが、全く名前負けはしていない。

本作でニコラス(役名と区別するためこう呼ぶ)が演じるのは、落ち目の俳優ニック・ケイジ。かつて大成功したハリウッドスターだったが、妻とは離婚し娘からの尊敬は失い、莫大な借金を抱えている。ニコラス自身も1995年の『リービング・ラスベガス』でアカデミー主演男優賞に輝いたが、金遣いが上手すぎるせいで借金まみれに。返済のためB級映画に出演しまくり、カルトホラーのクラシックで『ミッドサマー』の元ネタでもある『ウィッカーマン』のリメイク版では、顔面に蜂をけしかけられる拷問シーンで「やめろ、蜂はやめろ! ああああ! 蜂が目の中に! 目がぁ!」と、ムスカ大佐に全く引けを取らない渾身の演技を見せた。おかげで同作は、観客にホラーではなくコメディとして受け取られ、ニコラスはめでたくゴールデンラズベリー賞最低主演男優賞にノミネートされた。

迷演はとどまるところを知らず、近年でもやはりカルトホラーの『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』では妻を殺された後酒をラッパ飲みしながら慟哭したり、クトゥルフホラー『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』では自宅の庭に落ちてきた隕石の影響で狂いトマトをゴミ箱にスラムダンクし続けたりしている。これまで四度の離婚を経験し、現在は日本人女性と五度目の結婚生活を送っており、昨年初めて娘を授かった。やはりニックはニコラス本人としか思えないが一応役名表記はNick Cageで、ニコラス自身の“ニックネーム”であるNic CageにKが足された形になっている。

ニックは自身の大ファンである億万長者から巨額のオファーを受け新作映画を作ろうとするが、実は麻薬王だった億万長者を追っているCIAからもスパイ役のオファーがあり、ダブルブッキングに苦しむ。聞いているだけでバカバカしいが、本作は麻薬王との友情、娘からの愛情、国家の事情、そしてニック(とニコラス)のカムバックを賭けた内容なのだ。情けないとは言わせない。ニコラスには人を笑わせる、まさにナショナル・トレジャー(国宝)級のとんでもない才能がある。幸い本作は本国ではすでに大好評だ。とりあえず、これまで半笑いでニコラスを見てきた方は、今後彼を見る目に“敬”を足しておくと良い。口は笑ったままで良いけれども。劇中にはニコラスの代表作『フェイス・オフ』などへのオマージュがたっぷりなので、トム・ゴーミカン監督には次作にジョン・トラボルタのためのトラボルタ映画を作ってほしいところだ。

【ストーリー】
ハリウッドスター、ニック・ケイジは悩んでいた。多額の借金を抱え、心から望んでいた役は得られず、妻とは別れ、娘からは愛想をつかされていた。「かつて栄華を極めた俺の人生はもう取り戻せないのか――。」悲観する彼の下に、スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけで100万ドルが得られる高額のオファーが舞い込む。借金返済のため渋々受け入れ、スペインへ飛んだニックを、彼の熱狂的なファンだという大富豪ハビが待ち受けていた。最初は乗り気ではなかったニックだが、映画の趣味が合うハビと意気投合し、友情を深めていく。ところがある日、CIAのエージェントがニックに接近する。ハビの正体は国際的な犯罪組織の首領で、彼の動向をスパイしてほしいというのだ。ハビとの友情をとるか、それとも国家のために働くのか。ニック・ケイジの俳優人生を懸けた一世一代の大仕事(ミッション)の幕が上がる。

【キャスト】
ニコラス・ケイジ、ペドロ・パスカル、シャロン・ホーガン、アイク・バリンホルツ、アレッサンドラ・マストロナルディ、ジェイコブ・スキーピオ with ニール・パトリック・ハリス and ティファニー・ハディッシュ

【スタッフ】
監督:トム・ゴーミカン
脚本:トム・ゴーミカン、ケヴィン・エッテン
製作:ニコラス・ケイジ、マイケル・ニーロン、クリスティン・バー、ケヴィン・トゥーレン
製作総指揮:サムソン・ムク、ケヴィン・エッテン
撮影:ナイジェル・ブラック
音楽:マーク・アイシャム
配給:フラッグ
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公式HP:massive-talent.net
Twitter:@massivetalentjp #WeLoveニコケイ

 

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