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『ブラックアダム』2番手に甘んじてきたDCが上げた反撃の狼煙。誰にも止められない勢いでマーベルを食え!

◆今週公開の注目作

『ブラックアダム』

 

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

太陽があれば月がある。現在のヒーロー映画界において、マーベルが燦々と輝く太陽だとすれば、DCは残念ながらその光を受けて茫々と浮かび上がる月といったところだ。アイアンマンなど、各ヒーローのソロ映画の後で皆を集合させた『アベンジャーズ』と違い、『ジャスティス・リーグ』は各メンバーの紹介もそこそこに、見切り発車的に公開された(メンバーのひとり、サイボーグのソロ映画はきっと作られないままなのだろう…)。DCは、コミックス出版社としてはマーベルより5年先輩でありながら、映画では逆に5年かかっても追いつけるか分からないほどの差をつけられている。

本作と最も関係のある『シャザム!』(2019)は、子どもである主人公のビリーが「シャザム!」と呪文を唱えるとスーパーパワーを持った大人の姿になれるというもので、DCエクステンデッド・ユニバース中最も楽しい1本と言っても過言ではなかった。ただし、その成功はマーベルの作風に近づけたからこそ成せた、とも言える。フラッシュ役のエズラ・ミラーの不祥事や、『Batgirl(原題)』のお蔵入り事件など、作品のクオリティと直接関係ないところでのマイナス要素も浮上して、あまりにも悪い流れになってきたDC。1年に何本も作品を公開するマーベルと違い(その方が異常なのだが)、1年以上のブランクの後に放たれたのがこの『ブラックアダム』だ。この一手がどのような結果をもたらすか。これが何と、現状を打ち破る…いやブチ壊す破壊力を秘めた快作なのだ!

ブラックアダム(テス・アダム)は元々、紀元前2600年に小国カーンダックで生まれた奴隷だった。魔術師から“シャザム”パワーを与えられた彼は自由のために戦うが家族を奪われ、その力を復讐に用い暴君を打ち倒す(この辺りの話は『シャザム!』で少し語られている)。そして魔術師に封印され、約5000年が経過した現在のカーンダックで蘇るのだ。アンチヒーローであるブラックアダムは怒りのままに行動し、刃向かう者は誰であろうと容赦しない。復活直後の戦闘で見せる彼の無慈悲なまでに圧倒的なパワー(と体!!)は凄まじく、まさに敵を蹂躙していく。このアクションが本作最大の見所で、武装したならず者どもを“破壊”していく様は恐ろしくも実に爽快――。しかし、自らの目的のためには人殺しも辞さないこの男を誰が止められるのか?

そこで立ち上がるヒーローチームが、空を飛ぶホークマン、未来を予知するドクター・フェイト、巨大化できるアトム・スマッシャー、嵐を操るサイクロンの4人からなるJSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)。悪人でも殺さないヒーローと、悪人は問答無用で殺すアンチヒーローのぶつかり合いは、ある意味ヴィランとの戦いよりも厄介だ。では、堅苦しく重苦しい初期のDC映画テイストなのかと思えば、全くそんなことはない。ブラックアダムのブラックジョークはキレキレだし、『ターミネーター2』のT-800とジョン・コナーのような掛け合いでも笑わせてくれる。

ちょうど、マーベルの黒人ヒーロー映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が公開されているが、本作もまたブラックペッパーのように刺激的だ。最初の人間アダムの名を冠しているだけに、今はDCの革命前夜(イブ)なのかもしれない。月は時に太陽を食う。それをアンチヒーロー映画である本作で成し遂げられたなら、本当の意味でタイトルを回収することになる。漆黒の太陽が世界を照らす様は、さぞ痛快な光景となるだろう。

【ストーリー】
5000年の眠りから目覚めた破壊神ブラックアダム。かつて彼の息子は、自らの命を犠牲にして父を守り、その力を父に託した。息子の命と引き換えに手に入れた“呪われた力”。ブラックアダムは苦悩と悔恨に苛まれながらも、息子を奪われた復讐心から、その強大な力を使い、現代の地球で破壊の限りを尽くす。そんな彼を人類の敵とみなし立ち向かうのは、スーパーヒーローチーム“JSA”! 果たしてブラックアダムは人類の敵なのか!? 彼が現代に蘇った本当の理由とは?

製作総指揮・主演:ドウェイン・ジョンソン

出演:ピアース・ブロスナン、オルディス・ホッジ、ノア・センティネオ、サラ・シャヒ、マーワン・ケンザリ、クインテッサ・スウィンデル、ムハンマド・アーメル

監督:ジャウム・コレット=セラ

© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/blackadam/

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