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『バルド、偽りの記録と一握りの真実』あなたのおうちはどこ?イニャリトゥがメキシコに帰ってきた!

◆今週公開の注目作

『バルド、偽りの記録と一握りの真実』

 

文:大西D(ヒカセン兼業ライター)

 

産まれてから死ぬまで、一つの場所で過ごす人間はそうは多くない。人生の中で故郷を出て違う場所で暮らすことを選ぶ人は多いだろう。本作の監督を務めたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥもそういう人で、『アモーレス・ペロス』で世界的評価を獲得した彼は、メキシコを出て、ロサンゼルスに居を構えた。『21グラム』、『バベル』、『バードマン』、そして『レヴェナント』など数多くの名作を生み出してきた。

なぜこんな話をしたかというとアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督が『アモーレス・ペロス』以来、久々に故郷メキシコで撮った映画『バルド、偽りの記録と一握りの真実』のことを語るためである。Netflixより配信予定のこの映画は、一部の劇場では上映されることが決まっている。イニャリトゥにとっては『レヴェナント』以来の新作映画となった。

本作の主人公はロサンゼルス在住のメキシコ人男性で、職業はジャーナリスト兼ドキュメンタリー映画作家。そんな彼がある日メキシコに帰郷することになったことで起きる、彼自身の心の葛藤を本作は描いている。この映画について「自分自身の体験を多く取り組んだ作品」と語っており、かなり自伝的要素の強い作品であることが伺える。つまりこの主人公はイニャリトゥ本人を投影した作品と言えるだろう。

ただし、イニャリトゥ本人の体験を時系列的になぞると言う様な作品では本作は無い。異なる地に居を構え、久々に故郷に戻る。その時に誰しもがふと思う、自分にとっての「家」とはどこにあるのか?自分はどこに属している人間なのか?イニャリトゥに限らず移住を経験した誰しもが抱え得る葛藤を本作では描いている。なので自伝的映画ではなく、ここ最近のイニャリトゥ作品の中でも特にアート色の強い作品であると言える。それが170分続くので、中々に鑑賞する体力を要する作品ではあるが、かなり見応えのある作品ではある。

「バルド」とはチベットの言葉で「中間の状態」を意味する言葉だ。これはまさに自分にとって帰るべき場所を見失っている移住者=イニャリトゥ自身の心の状態を表している単語と言える。まぁ色々と語りましたが、何と言ってもアカデミー賞受賞監督であるアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の最新作、普通に見逃せない作品であることだけは間違いないので、是非ともご覧頂きたい。

【ストーリー】
ロサンゼルスを拠点に活躍する著名なジャーナリストでドキュメンタリー映画製作者のシルベリオ・ガマは、権威ある国際的な賞の受賞が決まり、母国メキシコへ帰ることになる。しかし、何でもないはずの帰郷の旅の過程で、シベリオは、自らの内面や家族との関係、自らが犯した愚かな過去の問題とも向き合うことになり、そのなかで彼は自らの生きる意味をあらためて見いだしていく。

【キャスト】
ダニエル・ヒメネス・カチョ、グリセルダ・シチリニア 他

【スタッフ】
監督、脚本、編集:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ

公式サイト:https://www.bardo-jp.com/

一部劇場にて11月18日(金)より公開
12月16日(金)独占配信

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