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『カポネ』犯罪で頂点にのし上がった男の、知られざる最終盤が描かれる!

◆公開中の注目作 
『カポネ』

アル・カポネと聞けば誰もが恐ろしいギャングスターの姿を思い浮かべるだろう。禁酒法時代のシカゴでその頂点に君臨した男、暗黒街の顔役である彼の人生は、常にそういったギャングの抗争と一緒に描かれることが多い。もしくは『アンタッチャブル』のように彼が脱税で逮捕されるまでを描いた作品もある。このように、映画的にも非常に描きやすい人物であるが、その後彼がどのような人生を送ったかはあまり知られていない。そんなカポネの最晩年を描くのが本作『カポネ』だ。

本作で描かれるのはアル・カポネが11年に渡る刑期から出所した後の物語。「暗黒街の顔役」と呼ばれた男の面影はそこにはなく、梅毒とそれによる認知症によって変わり果てた姿になったカポネが本作で描かれる。しかし、未だにカポネを危険視するFBIからは執拗な監視を続けられてしまう。身も心も壊れてしまったカポネの驚愕の姿が明かされる作品となっているわけだ。私たちが抱く「アル・カポネ」とは全くかけ離れた男がそこにいる。

多くの映画ファンにとってアル・カポネといえば、何と言ってもロバート・デ・ニーロが『アンタッチャブル』で演じたあのイメージが強いだろう。しかし、本作で描かれるカポネはそれとは全く逆だ。弱々しくて、覇気が全くない。私たちが知るアル・カポネはそこにはおらず、生々しい現実がそこにある。シカゴの頂点に君臨した男の最晩年がこのようなものだったとは誰も想像しえないだろう。私たちは初めて「犯罪の王」としてでなく「一人の人間」としてのアル・カポネの姿を目撃するのだ。

そんな最晩年のカポネを演じたのはトム・ハーディだ。毎回4時間もかかる特殊メイクを施し、アル・カポネになり切った彼の演技はとにかく見事。かつて栄華を極めた男の、あまりにも残酷な最晩年を悲哀たっぷりに演じる。これまでも作品毎に色んな顔を見せてくれたハーディだが、そのカメレオン役者ぶりを本作でも堪能することが出来る。

アル・カポネの最晩年が描かれる『カポネ』。無数の屍を築き上げ、頂点に上り詰めた男の人生の最終盤がこのようなものだったことは、あっけなさと衝撃の両方を感じるが、一方で彼も一人の人間だったことが分かる。映画で知ることのなかった彼の人生の知られざる部分を、映画が光を当てる。見逃せない作品だ。


【ストーリー】
1940年代。長い服役生活を終えたカポネは、フロリダの大邸宅で家族や友人に囲まれながらひっそりと暮らしていた。かつてのカリスマ性はすっかり失われ、梅毒の影響による認知症が彼をむしばんでいる。一方、FBIのクロフォード捜査官はカポネが仮病を装っていると疑い、1000万ドルとも言われる隠し財産の所在を探るべく執拗な監視を続けていた。カポネの病状は悪化の一途をたどり、現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返すようになっていく。

【キャスト】
トム・ハーディ、マット・ディロン ほか

【スタッフ】
監督・脚本:ジョシュ・トランク

公式サイト:https://capone-movie.com/

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