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『囚われた国家』かつてアメリカがイラクにした事への痛烈な皮肉

◆公開中の注目作 
『囚われた国家』

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エイリアンが地球に侵略し、アメリカが完全に崩落した近未来を舞台にした社会派SF映画。アメリカ政府は侵略者たちの傀儡に成り下がってしまった。実際に地球にエイリアンが侵略してきたらこうなってしまうのではないかと、思ってしまう程にリアルな描写だ。貧富の差は拡大。市民は政府に従う者と反抗する者に別れた。

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例えば『第9地区』ではエイリアンが難民として南アフリカ上空にやってきた。彼らは人間たちに管理され、虐げられていた。ただし、彼らは地球の科学を凌駕する、非常に高い科学技術を持っていた。しかし、本作では人間にはそんな力はなく、瞬く間に占領されてしまう。そして彼らは爆弾テロで抵抗するわけだ。

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何と皮肉なことか、イラクで戦争を起こし、爆弾テロを仕掛けられて、その度に非難の声を上げていたアメリカがこの映画では爆弾テロを仕掛ける側になっているのだ。国家が外部によって占領された時に取る行動はアメリカでも、イラクでも変わらないと言うことだ。この映画は現実世界のアメリカの行いを痛烈に皮肉っている。

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監督のルパート・ワイアットは『猿の惑星:創世記』でも弱い立場の反抗を描いた。あの映画では知能をつけた一匹の猿が、仲間を集めて人類に対して反旗を翻す様子を描いている。あの映画でも猿たちの反乱の綿密な計画から実行までが描かれていたが、その緻密な描写を本作でも見ることが出来る。

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この映画で描かれているのは予想もしない敵を前にした時の国家の無力さである。まるで今の世界の状況を暗示しているかの様だ。コロナウイルスという想像もしない敵に直面した政府は、その無力さを露呈している。この映画で描かれているのはアメリカだが、日本の政府にも通じる部分があるのではないだろうか。せめてこの映画の様に貧富の格差や暴動が起きないことを切に願う。

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【あらすじ】
地球外生命体(エイリアン)に侵略された2027年の地球。「統治者」と呼ばれるエイリアンの管理下に置かれ、支配されたアメリカでは、全市民の身体にGPSが埋め込まれて死ぬまで監視され、ルールを破った者は地球外に追放されるなど、過酷な監視社会が到来していた。貧富の差が拡大して街が荒廃するなか、自由を取り戻すためひそかに結成されたレジスタンスグループが、市内スタジアムで開催される「統治者」の団結集会への爆弾テロを計画するが……。

【キャスト】
ジョン・グッドマン、ヴェラ・ファーミガ ほか

【スタッフ】
監督:ルパート・ワイアット

公式HP:https://www.captive-state.jp/

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