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『セーヌ川の水面の下に』セーヌの水底より出でし、嘘嫌いのレーヌ(女王)に青ざめろ。

この映画は、つまり―
  • 意外と便利なギミック、それはサメ!
  • 思ったよりマジメ!? パリオリンピックへの強烈な噛みつき
  • ハリウッドなら絶対ありえないエンディング

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『セーヌ川の水面の下に』

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

さあ、もうすぐサメとホラーの季節である暑い夏がやって来る。サメは言うまでもなくホラーとの相性が非常に良い素材だ。視界が悪い水中から急に現れ人を襲えばジャンプスケアになるし、一度襲われれば十中八九四肢が飛ぶ。いわゆる“切り株描写”というやつだ。残酷なスプラッターが約束されている。本作も数多のサメ映画と同じく、そういった描写が豊富ではある。しかし、それだけではなかった。矛盾したことを言うようだが、サメ映画のくせに意外にもマジメだったのだ。

本作の舞台はフランス・パリ。セーヌ川で行われるトライアスロン大会が間近に迫る中、巨大アオザメ“リリス”の影もまたセーヌに迫っていた。以前研究でリリスを追い、仲間を食い殺されたトラウマを持つソフィアはその事実を知り大会を止めさせようとするが、警察や市長はなかなか取り合ってくれない。なぜなら本来、大抵のサメは淡水に対応できないはずだから。だが対策が進まないのと裏腹に、リリスの体にはある進化が起きていた……。

あらすじだけだと、やはりバカ映画に聞こえる。別にサメ映画はバカ映画で全く構わないのだが、本作は一概にそうとは言い切れない。ソフィアがリリスを研究していた時、リリスの住処は人間が捨てたゴミに汚染されていた。家を奪われたリリスが辿り着いた先がセーヌ川だったのだ。ところが、花の都と謳われるパリでも、中世には通りに捨てられた汚物から服の裾を守るためにハイヒールが用いられたとか、悪臭を隠すため香水が使われたなどの話は有名。セーヌ川の水質もまた汚染されており、現実にも長らく遊泳禁止となってきた過去がある。

パリオリンピックが開催される今年、それも開催直前に本作がリリースされたのには意図があるだろう。というのも、開会式が行われるのが他ならぬセーヌ川なのだ。セーヌ川で行われる競技としてはマラソンスイミングと、やはりトライアスロンがある。パリ市長が自ら泳いで安全性をアピールしようとしたり、過激な市民は川で排泄することで政府に抗議しようとしているなんて報道までされているが、本作はオリンピックに対する排泄以上に強烈な一撃になっていると言えるのではないだろうか。リリスはパリを血の花で彩ってやろうとしているのだから。

 

劇中に、「サメは人間にとって無害」というセリフが出てくる。では、人間はサメにとってどのような存在なのだろうか。リリスは、人間たちが上辺を取り繕い、直視しないように水面下へ沈めた問題を掘り起こすギミックとしても大活躍する。もはや、パリ全体がカタコンベと化すことは避けられないだろう。フランス映画だけあって、ハリウッド映画ならありえないタイミングで終わり(Fin)を迎えるが、それもしょうがない。だって、サメにはヒレ(fin)が付き物だろう?

【ストーリー】
パリで開催されるトライアスロンを目前にして、世界各国から報道陣が集まるなか、大会の成功に全力を注ぐ市長。その意気込みは、巨大ザメの脅威をもってしてもくじかれることはない

【キャスト】
ベレニス・ベジョ、ナシム・リエス、レア・レヴィアン、アンヌ・マリヴィン、森本渚 他

【スタッフ】
監督:ザヴィエ・ジャン

 

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