MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『ブラックフォン2』良心、神、許されざる衝動。あなたを呼ぶのはどれの声?

この映画は、つまり―
  • あの傑作ジュブナイル・ホラー、まさかの続編!
  • 実体のなくなった殺人鬼にどう立ち向かう?
  • 現実とリンクする悪夢の描写が進化

記事を見る

◆配信中の注目作

『ブラックフォン2』
配信先:Amazonプライム

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

“ホラーの帝王”スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒルの短編『黒電話』を原作とした前作『ブラック・フォン』はかなり印象的なホラー映画だった。少年ばかりを狙う気色の悪い連続殺人鬼グラバーを演じるのは名優イーサン・ホーク。誘拐された少年フィニーを主人公とし、彼の酒浸りで暴力的な父親を含め大人は総じて役立たず。フィニーを助けるのは奇妙な夢を見る妹グウェンや、監禁部屋にある壊れた黒電話を通じてメッセージを伝えてくる犠牲者の少年たち。子どもたちの絆でグラバーを倒す、ジュブナイル・ホラーとでも呼びたくなる不思議な味わいの作品だった。

もちろん続編がありそうなエンディングではなかったのだが、幽霊が登場する世界観なのだから予想はできたはずだった。死んだグラバーもまた、怨霊となって再登場する可能性があると。スコット・デリクソン監督他メインキャスト、特に実人生で立派に成長したフィニー役のメイソン・テムズやグウェン役のマデリーン・マックグロウらが続投の本作『ブラックフォン2』もまた、実に見応えのある続編になっていた。

成長したフィニーの姿は、前作でフィニーの前に犠牲になる腕っぷしの強い友人ロビンを思い出させる。しかしそれは、彼に言われた「自分の身を守れるようになれ」という言葉を受けたものというより、グラバーによるトラウマを克服できずに溜め込んだ恐怖と怒りがそうさせているのだ。そこにグラバーからの復讐のベルが鳴り響く。今回ターゲットになるのはフィニー、ではない。最もフィニーを苦しめるのはグウェンの死だ。実体がなくなり反撃も不可能に思えるグラバーの影が再び忍び寄り、グウェンは過去の犠牲者の夢に悩まされていく……。

 

前作が子どもの絆の話なら、今回は家族の絆についての話と言えるだろう。観客のほとんどが唾を吐いたであろう、これまでほとんど蚊帳の外だった兄妹の父を交えたストーリーで、深堀りされていなかった大人側の視点も見せてくれる。“エルム街の悪夢”のフレディよろしく、グウェンの夢の中から現実に影響を与えてくるグラバーとの攻防も手に汗握る。デリクソンが以前ホークとタッグを組んだ『フッテージ』を思わせるような、解像度の荒いアナログホラー的なグウェンの夢のシーンは本作でも変わらぬ不気味さを湛えている。映像面は前作よりもさらに面白みを増しており、犠牲者の死の瞬間が再現される場面はシュールながらも背筋が凍える。

グロテスクな描写がかなり多くなっているので、キングの『IT/イット』にも似た懐かしさ・切なさの面で前作を気に入っていた方はもちろん、ホラーファンならさらに楽しめそうだ。前作は、気になる女の子に対するフィニーの「フィンって呼んで」というセリフが映画の終わり(fin)とかかった洒落たラストだったのだが、本作ではグウェンに対して電話の「コーリング」がかけられているラストと言って良いだろう。恐怖以外の強い感情を呼び起こすエモーショナルなホラーを求めているなら、この受話器を取ると良い。

【ストーリー】
復讐するは我にあり。4年前――13歳の少年フィニーは、連続殺人鬼グラバーによって誘拐される。しかし、これまでに命を奪われた少年たちが断線した黒電話で伝える「死者からのメッセージ」によってグラバーを地獄へと葬り、ただひとり生き残った。だが、真の悪は死をも超越する。そして再び黒電話が鳴り始める。死者となったグラバーから怨念の着信だ。

【キャスト】
イーサン・ホーク、メイソン・テムズ、マデリーン・マックグロウ、デミアン・ビチル、ミゲル・モラ、ジェレミー・デイヴィス、アリアンナ・リヴァス 他

【スタッフ】
監督:スコット・デリクソン
脚本:スコット・デリクソン、C・ロバート・カーギル

 

★配信エンタの過去記事はこちら

『ザ・コンサルタント2』人間は決して一面的なものじゃない。そして、それは映画も同じ。

『コンパニオン』運命を、“愛”を超えろ。真の“わたし(I)”になるために。

『室町無頼』これは時代劇の皮をかぶったアウトローたちの生存劇だ!

『ザ・ヒューマンズ』たわいもない家族の団欒。“他愛”もない人間たちの寄せ集め。

「止まったら爆発」から50年——再起動するスリルとリアル『新幹線大爆破』Netflix版の真価

 
バックナンバー