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『コンフィデンスマンKR』詐欺は知恵と遊び心の結晶。騙す者も騙される者も真剣勝負。

この映画は、つまり―
  • “悪党限定”のターゲットで罪悪感ゼロ、むしろ痛快
  • 計画の裏にさらに計画、仕掛けの多層構造に翻弄される
  • 三人のキャラクターの凸凹感が絶妙で愛嬌たっぷり

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◆配信中の注目作

『コンフィデンスマンKR』
配信先:プライムビデオ

悪党を騙す詐欺師という存在は、フィクションの中でも妙に後ろめたさが薄い。そもそもターゲットが冷酷な財閥や腐敗した権力者であれば、彼らを出し抜くことはむしろ正義に見えてしまう。『コンフィデンスマンKR』は、そんな“罪悪感ゼロ”の爽快感を徹底的に突き詰めたドラマだ。原作である『コンフィデンスマンJP』を土台にしつつ、韓国版ならではのスピーディでスタイリッシュな演出が加わり、犯罪劇でありながらどこかゲームを観ているかのような軽やかさがある。

仕掛けの妙も見逃せない。本作では一つの計画が進行しているように見えて、その裏にさらに別の計画が潜んでいることが多い。観ている側は「これで決まった!」と思った瞬間にもう一段階騙される。まるでマトリョーシカのように次々と開かれていくトリックの多層構造は、視聴者に「次はどこまでが本当なのか」と不安と期待を同時に抱かせる。最後にすべての種明かしが行われた時の爽快感は、頭を使った娯楽を好む人にとって格別のものだろう。

そして忘れてならないのは、三人のキャラクターが生む絶妙なバランスだ。愛嬌のあるリーダー・イラン、プロフェッショナルな経験を持つジェームズ、そしてちょっと抜けているグホ。計画を進める中での掛け合いや、思わぬ失敗から生まれるユーモラスな場面は、シリアスな駆け引きと交互に訪れることでリズムを作り出している。観客は彼らを完全なヒーローとは思わないが、気づけば応援してしまう。人間味のある詐欺師像は、オリジナル版を知る人にとっても新鮮に映るはずだ。

犯罪を扱いながらも、どこか軽妙でユーモラス。それでいて「信じることの危うさ」という普遍的なテーマを背後に抱える『コンフィデンスマンKR』は、ただのリメイク以上の存在感を放っている。悪党を出し抜くという行為がこれほど痛快に見えるのは、現実社会に潜む欲望や欺瞞が、作品の中で見事に整理されているからかもしれない。

【ストーリー】
狡猾な悪党と泣き寝入りする被害者で溢れる世界で、3人の詐欺師イラン、ジェームズ、グホは“悪党だけ”をターゲットに巧妙なトリックを仕掛ける。裏切りと逆転の連続で、真実は最後まで明かされない。

【キャスト】
パク・ミニョン(イラン)、パク・ヒスン(ジェームズ)、キム・ヨンウン(グホ)ほか

【スタッフ】
原作:『コンフィデンスマンJP』(脚本:古沢良太)

制作:Studio Dragon

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