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『ザ・コンサルタント2』人間は決して一面的なものじゃない。そして、それは映画も同じ。

この映画は、つまり―
  • あの個性派アクション? クライム? ヒューマンドラマ? ……のまさかの続編!
  • 主人公の“殺し屋会計士”はやはりベン・アフレックの新境地
  • 人でなしの殺し屋たちの人間的な側面とは

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◆配信中の注目作

『ザ・コンサルタント2』

配信先:Prime Video

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

大抵の映画は、見てみるとすぐに自分の中で何かしらのジャンルにラベル付けできるだろう。銃での撃ち合いシーンがメインだからアクション映画だなとか、主人公がアウトローだからクライム映画だなとか、人と人の触れ合いが感動的だからヒューマンドラマだな……などと。全体からすると、そのような映画の方が圧倒的に多い。しかし、特定のジャンルに当てはまらない“変わった映画”も存在する。……とは言え、世界は広い。割合的には少ないとしても、“変わった映画”だって何本もある。だがこの『ザ・コンサルタント』シリーズは、その中でもさらに変わっている。決して派手ではなくとも確実に見る前の観客の予想を裏切ってくれる、非常に個性的な映画たちだ。

前作『ザ・コンサルタント』(2016)から約10年ぶりの続編なので、まずは簡単に基本設定をおさらいしよう。原題『The Accountant』が意味するように、主人公のクリスチャン・ウルフ(ドイツの数学者クリスティアン・ヴォルフと同じ綴りの英語読み)は地味な風貌の会計士にしか見えないが、それは表の顔に過ぎない。本当は裏社会でも重宝されるほど有能な会計士で、殺し屋なのだ。ただし高機能自閉症のため、他人との円滑なコミュニケーションが苦手で独特の“こだわり”(興味の偏りや決まった思考・言動など)を持っている。アクション映画の側面があるのは間違いないが、ウルフ本人の特性を描くシーンの方が多いと言ってしまっても良く、だからこそ単純にアクション映画とラベル付けするのに抵抗がある“変わった映画になっていた。

それだけでなく、最後まで見ると主軸はアクションではなかったというのがはっきり伝わる。今回のタイミングで本シリーズに触れる方もいるだろう、前作はミステリー的な一面もある映画だったのでここではあまり詳しく説明しないでおくが、とにかくキャラクターの人間性の描写が丁寧なシリーズなのだ。ウルフを演じるベン・アフレックのさすがの演技力と、スターなのに少し野暮ったい“悪いヤツではなさそう”な外見がウルフにピッタリで、彼の新境地を見せてくれた。前作では普段の表の会計士業の様子をユーモラスに描いたオープニングが最高だったが、本作ではさらにコメディ要素が強まっている。最初こそサスペンスフルなアクションシーンながら、その直後にはウルフが意外すぎる場所に現れ観客の笑いを誘う。

これまでウルフは、基本的には単独で仕事を淡々とこなしていたが、本作は凸凹バディものになっている。相手は前作から引き続き登場するジョン・バーンサル演じる殺し屋のブラクストンで、ふたりの会話はもはやコントと呼べるほどコミカル。しかしシリーズの味は健在だ。新たなる非人道的な敵をインドネシアの武術シラットベースの格闘術で倒していくのは相変わらず爽快なのだが、やはり物語はヒューマンドラマ的な方向に進んでいく。あくまでハードボイルド・アクションではなく、“ハートウォーミング・アクション”なのだ! 大多数の人と異なる特性があるが故の生き辛さと、だからこそ持っている特技をフェアに描いており、良い作品であることがしみじみと感じられる。きちんと驚けるミステリー要素も引き継がれており、前作を気に入った方には非常にオススメの1本だ。

『ザ・コンサルタント2』
Prime Videoにて2025年6月5日(木)16:00より独占配信開始
 配信ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F1VCBNVN
※視聴にはAmazonプライム会員登録が必要です。

クリスチャン・ウルフは、複雑な問題を解決する能力に長けた男である。ある日、古い知人が“会計士を見つけろ”というメッセージを残して殺される。ウルフは事件の真相を解明するため、長らく疎遠だった荒くれ者の弟のブラクストンに手伝いを頼む。金融犯罪取締局のメディナ副局長と協力して、彼らは恐ろしい陰謀を暴いていくが、冷酷な殺し屋たちに命を狙われる。

 

■スタッフ・キャスト
出演:ベン・アフレック、ジョン・バーンサル、シンシア・アダイ=ロビンソン、J.K.シモンズ
監督:ギャビン・オコナー
脚本:ビル・ドゥビューク
製作:ベン・アフレック、マーク・ウィリアムズ、リネット・ハウエル・テイラー
製作総指揮:マット・デイモン、マイケル・ジョー、ケヴィン・ハロラン、アリソン・ウィンター

© Amazon Content Services LLC

 

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