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『ツイスターズ』自然VS科学。乗りこなすしかない、このビッグストームを!

この映画は、つまり―
  • あの『ツイスター』の(精神的?)続編!
  • もう竜巻を予測するだけじゃない。竜巻を破壊せよ!
  • ルックから想像できない繊細さ

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『ツイスターズ』(2024)

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

数十年ぶりの続編などというものは今時珍しくもなんともないが、まさかあの映画の続編が作られるとは! 竜巻をフィーチャーしたディザスター映画『ツイスター』の続編、それが本作『ツイスターズ』だ(『エイリアン』の続編『エイリアン2』の原題が「エイリアンズ」なのを思い出す)。まあ続編と言っても、実際に見てみるとストーリー的な繋がりはないに等しいので、精神的続編とか現代的リメイクと呼んでも良いだろう。共通しているのは、主人公たちが自ら竜巻の暴風に飛び込んでいき調査をする“ストームチェイサー”である点と、竜巻に吸い上げさせてデータ収集するための装置「ドロシー」(『オズの魔法使』ネタ)が再登場する点くらいだ。そのため、前作を見ていなくても特に支障はない。

本作の主人公ケイトはかつて最前線で仲間とともに竜巻を観測していたが、その危険性を十分に把握できていなかったために仲間を失った過去を持つ。その後トラウマを抱え、竜巻予報のエキスパートとして働くも実際の竜巻には近づかないようにしていたが、ともに生き残った元仲間のハビと再会し、竜巻の多い地元オクラホマへ帰ることになる……。『ツイスター』や『ツイスターズ』が普通のディザスター映画と一線を画しているのは、災害に一矢報いる展開が用意されているからだろう。もちろん仲間を奪った竜巻と目の前の竜巻には何の関係もないが、本作では竜巻に放り込むことで弱体化させるアイテムが出てくるので、怪物とのバトルもののようにも見えてくる。風を読み、竜巻の進路を予測し先回りして、渾身の一撃を食らわすのだ。

前作で有名なのは、竜巻に牛が飛ばされていくシーンだろう。本作にも、ある意味その魂は引き継がれている。何せ、本作で一番面白いキャラクターであるグレン・パウエル演じるタイラーは、ストームチェイサー系Youtuberで竜巻を“乗りこなす”カウボーイなのだ! 竜巻に近づくどころか、ど真ん中で車を停め花火を打ち上げ始めるトンデモさには笑ってしまう。タイラーのチームはケイトのチームとライバルになっていき、その対決も面白い。ディザスター映画は災害を楽しむ不謹慎な一面があるのを否定できないが、タイラーは竜巻を不思議で雄大な自然現象としても捉えており、やはり竜巻には人を魅了するものがあるのだなと再認識させられる。人を傷つけるのには反対だが、科学の結晶としての兵器には興味がある人は少なくない。同じような感覚かもしれない。

戦いというアツい面を持ちながら、竜巻による被害についても大きく取り上げている。このバランス感覚の良さが本作の美点だろう。やはりこのシリーズが単なるディザスターものではないことの証明になっている。アクションと程良いロマンスのブレンドも上手くマッチしており、後味は爽やかだ。スクリーンで見るべき映画だったのは間違いないが、まだ遅くない。今すぐに、この竜巻を追いかけるのだ。

【ストーリー】
気象学の天才ケイトはニューヨークで自然災害を予測し被害を防ぐ仕事に熱中していた。そんな中、故郷オクラホマで史上最大級の巨大竜巻が群れをなして異常発生していることを知る。竜巻にトラウマを抱えたケイトだったが、学生時代の友人ハビからの懸命の依頼で、夏休みの一週間の約束で竜巻を倒すために故郷へ戻ることに。そこで出会った知識も性格も正反対の竜巻チェイサーのタイラーら新たな仲間と、無謀ともいえる“竜巻破壊計画”に立ち向かっていく。

【キャスト】
デイジー・エドガー=ジョーンズ、グレン・パウエル、アンソニー・ラモス、ブランドン・ペレア、サーシャ・レイン、ハリー・ハッデン=ペイトン、トゥンデ・アデビンペ、ケイティ・M・オブライアン、デヴィッド・コレンスウェット、ダリル・マコーマック、キーナン・シプカ、ニック・ドダニ、モーラ・ティアニー 他

【スタッフ】
監督:リー・アイザック・チョン

 

 

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