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『ターミネーター0』再び嵐がやって来る。運命までも吹き飛ばせるか!?

この映画は、つまり―
  • 『ターミネーター』がまさかの日本によるアニメ化!“審判の日”に配信開始!
  • 今までとは一味も二味も、いや三味も違います
  • 逆に、シリーズの新しい未来を生み出せるかも……?

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◆配信中の注目作

『ターミネーター0』(2024)

Netflixで視聴する⇒こちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

『ターミネーター』シリーズ。巨匠ジェームズ・キャメロンによって築き上げられた、誰もが知るSFシリーズである。だがその名の通り、皮肉にも何度も自分で自分を終わらせてきたのも確かだ。『ターミネーター4』に、シリーズをリブートした『ターミネーター:新起動/ジェニシス』。そしてキャメロンが製作総指揮として復帰し、『ターミネーター3』と『ターミネーター4』をなかったことにして、『ターミネーター2』の続編として位置づけられた『ターミネーター:ニュー・フェイト』。全て、成功していれば続編が作られていただろうが、評判や興行成績が芳しくなく、そのような未来は生まれなかった。しかし、『ジュラシック・パーク』でイアン・マルコム博士は言った。「生命は道を見つける」と。それはこの『ターミネーター』も同じだったようだ。文字通り、“アニメート(命を吹き込む、アニメ化)”してシリーズを蘇らせようとしている。

本作『ターミネーター0』は、世界向けに配信されるNetflix作品であり、日本のアニメ制作会社Production I.Gが手がけたアニメだ。Production I.GでSFと言えば、TVアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』は外せない(RIP、田中敦子さん……)。同作の神山健治監督はちょうど今『ロード・オブ・ザ・リング』のアニメ映画を作っており、ほぼ同時に日本のクリエイターによる洋画大作のアニメ化がされているのが不思議で面白い。……『ターミネーター0』の話に戻ろう。本作は1997年の東京を舞台にしている。日本で『ターミネーター』の世界観が描かれるのも不思議だが、それもあってか、これまでの『ターミネーター』らしさは薄いように感じられる。同時に、これまでとは違うことをやりたいようにも見える。

主人公は、なぜか将来、自我を持ったAI「スカイネット」が核ミサイルにより人類を壊滅させると確信している研究者マルコム(!)・リーだ。彼はスカイネットに対抗しうるAI「ココロ(英語版だと「ハート」)」を開発し、1997年8月29日に来たる核戦争の始まり“審判の日”を回避しようとしている。未来からはマルコムや彼の幼い子どもたちを抹殺するためターミネーターが送り込まれるが、それとは別に人間の女性エイコも人類を救うためタイムトラベルしてくる。彼女にとってマルコムは救世主……ではなく敵のようで……というのがあらすじだ(ちなみに配信開始も8月29日から)。

基本的に、『ターミネーター』シリーズはSFアクションである。本作にもアクションシーンはあるし、バイオレンス描写も多い。だが、おそらく一番やりたいのはそこではない。何せ主人公マルコムの映るシーンでは、人間の価値をはかりかねているココロとの哲学的な対話が延々と続くのだ。AI自体が人類の敵なのか、それともスカイネット以外のAIは人類との共存の道を選ぶのか……そういったテーマの作品となっている。メッセージ性の強いSFを目指しているのは、ココロという名前からも明らかだ。

はっきり言って、往年の『ターミネーター』ファンからはそっぽを向かれそうな内容だ。だが、この方向転換は興味深くもある。まさしく、自らを変化させて道を見つけようとしているのだ。日本列島を台風が襲っている中、本作は別のふたつの嵐をもたらしそうだ。核の爆風が吹き荒れる未来と、賛否両論が渦巻く未来を。この変化を進化と呼ぶか否かは未来の我々に任せよう。現在の我々は、これまでとは別の未来が生まれることを祈るしかない。

【ストーリー】
時空を超えて1997年の東京へやって来た、2人の来訪者。ひとりは人間だが、もうひとりはサイボーグだった。寒々とした街に破壊と混乱の渦が広がるなか、人類の運命が決められてゆく。

【キャスト】
アンドレ・ホランド(内田夕夜)、アルマーニ・ジャクソン(下野紘)、カーター・ロックウッド(石上静香)、ソノヤ・ミズノ(行成とあ)、スマリー・モンタノ(早見沙織)、ロザリオ・ドーソン(種崎敦美)、アン・ダウド(横尾まり)、ティモシー・オリファント(間宮康弘) 他

【スタッフ】
監督:工藤昌史
制作:Production I.G

 

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