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『奈落のマイホーム』人生には落とし穴がある。これは生涯で最大の“シンキングタイム”。

この映画は、つまり―
  • 恐ろしいディザスター・パニック!……なのに?
  • シンクホールは世界中でも、日本でも
  • 一切の希望を捨て……てはいけない

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『奈落のマイホーム』

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

先週アップした『落下の解剖学』に続き、また落下に関する映画である。ところが、スケールは全く違う。同作は夫婦の落下の物語だったが、本作『奈落のマイホーム』は家族の、いやタイトル通り・文字通り自宅のマンションが地下深くへ落下するというとんでもない話だ。世にも恐ろしいディザスター・パニック。だがそれだけではなく……いや、この話は後ですることにしよう。

ストーリーは、会社で毎日頑張っているドンウォンがついに首都ソウルのマンションを購入し、豪雨の中一家で念願のマイホームに引っ越してくるところから始まる。ぶっきらぼうで不親切で安田顕に似ている(関係ない)隣人のマンスに会い、これからの生活に夢とともに一抹の不安を覚えたドンウォンだったが、その不安の方が少しずつ大きくなっていってしまう。息子のスチャンが床でビー玉遊びをしているのを見て、気づいてしまうのだ。ビー玉が、勝手に転がっている。息子が超能力に目覚めた……のではない。この家は傾いている。そして、同僚たちを招いて引っ越しパーティーを行った翌日、雨の影響か地盤が沈下してできた巨大な穴“シンクホール”にマンションは飲み込まれ、ドンウォンと隣人・同僚たちは地下深くへ取り残されてしまう。

韓国映画で豪雨と言えばやはり『パラサイト 半地下の家族』が記憶に新しいが、本作は半地下どころの話ではない。地下500メートル以上だ。韓国で最も高いビルである123階建て、高さ555mのロッテワールドタワーがすっぽり入ってしまうほどの深さ。さすがにこのレベルのものはあまりないとしても、韓国では近年シンクホールの被害が深刻化しているようだ。韓国メディアの中央日報によれば、2017年~2021年の間に1176件もの数のシンクホールが発生したとのこと。2日に1件以上起きている計算になる。マイホームが人生の大きな目標で、クリアできれば大きな安心感を得られると思っている方もいるだろうが、実際はどうやらそうではないらしい。日本でも、2016年に福岡市博多区の交差点で突如巨大な穴が空いたのが記憶に新しい。世界中のそこかしこで、日々“地獄の門”は開いている。

監督のキム・ジフンの前作『ザ・タワー 超高層ビル大火災』が『タワーリング・インフェルノ』だとしたら、本作は『ポセイドン・アドベンチャー』だろうか。マンションが沈み、地上の光が頭上500mとなった後も事態は悪化し続ける。豪雨による大量の水が落ちてくるからだ! 1秒ごとに下がり続ける生還の可能性。しかし、いつだって一縷の望みは残っている。何と本作、ディザスター・パニック・ドタバタコメディなのだ! キャラクターの生死がかかった絶望的な場面でも、死ぬほど面白いギャグが連発される。どうかしているとしか言いようがない。聞いたことのないサバイバルグルメ(?)まで登場する始末だ。もちろん、大規模な事故だけに悲しい展開がないとは言わないが、沈んで(sink)いる時こそ考え(think)なければ。人生で最も大事なものって何だろう?

【ストーリー】
平凡なサラリーマンのドンウォンは、11年間の節約生活を経て、ソウルにマンションを購入、家族とともに引っ越してきた。同僚を招き“引っ越しパーティー”を開くが、大雨で巨大陥没穴《シンクホール》が発生。マンション全体と住人たちを飲み込んでしまう。ドンウォンは反りの合わない隣人マンス、そして不幸にもこのマンションを訪れていた同僚たちと共に、地下500mへと落下。さらに大雨が降り始め、穴はどんどん水で満たされていく……!嗚呼、夢のマイホーム、彼らの運命はいかに……!?

【キャスト】
チャ・スンウォン、キム・ソンギュン、イ・グァンス、キム・ヘジュン 他

【スタッフ】
監督:キム・ジフン

 

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