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『ゴーステッド Ghosted』幽霊の正体見たり赤いバラ!?愛とハリウッド映画は永遠に死なず。

この映画は、つまり―
  • クリス・エヴァンスとアナ・デ・アルマス、3度目の共演にして初のカップル役!
  • 王道のロマコメ・スパイアクションだけど、『007』の裏返し?
  • カメオ出演まで楽しい

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◆配信中の注目作

『ゴーステッド Ghosted』(2023)

Apple TVで視聴するこちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

俳優は皆嘘つきである。スクリーン上でありもしない出来事を演じ、観客にそれを信じさせようとする。嘘をつくのは、共演した俳優に対しても同じだ。本作『ゴーステッド Ghosted』はクリス・エヴァンスとアナ・デ・アルマスの3度目の共演作となる。最初は『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』、2度目は『グレイマン』…、『ナイブズ・アウト』の時点でクリスとアナはすでに意気投合した似た者同士だったようだが、これまでは対立するキャラクターを演じてきた。しかし、三度目の正直というか、本作でようやくふたりは恋人を演じることができた。めでたしめでたし。…とはいかず、やはりここでもケンカばかりしている。まあ、ケンカするほど仲が良いということだろう、きっと。

本作は一言で言えば、何も考えずに楽しめるポップコーンムービーだ。Apple TV+配信作であるため劇場では見れないが、より気軽に見られるのは間違いない。クリス演じる農家のナイスガイ、コールはある日アナ演じる美女セイディに出会い、花の育て方についての意識の違いからいきなりケンカに。第一印象は最悪ながらお互いに惹かれたふたりはデートに繰り出し、良い雰囲気になって結ばれる。往年のロマンティック・コメディのようだ。しかしその日以来、セイディは幽霊のように姿を消す。「ゴーステッド(ブッチ)」されたのだ。出張が多いと話していたセイディを追ってロンドンに飛んだコールはなぜか突然何者かに拉致、拷問されそうになるが、これまた何者かに助けられる。顔を見ると、何とセイディ。そう、セイディはCIAの工作員だったのだ!

まさに、「いつものハリウッド大作」といった安心感のある設定だ。少し違うのは、コール&セイディのキャラクターとクリス&アナのこれまでのイメージだろう。クリスの当たり役といえば、何と言ってもMCUのキャプテン・アメリカ。しかし非常に頼もしいキャップと違って、コールは(ガタイの良い)ただの一般人に過ぎない。一方、アナは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でボンドウーマンのパロマを演じ鮮烈な印象を残したが、今回のセイディはむしろジェームズ・ボンド的だ。様々な男性と恋に落ち、クールに死線をくぐり抜ける女スパイ。“ジェイミー・ボンド”と“ボンドボーイ”がケンカしたりイチャついたりしながら世界を救う。それが本作なのだ。

脚本を務めたのは『デッドプール』シリーズのレット・リース&ポール・ワーニックと、MCU版『スパイダーマン』シリーズのクリス・マッケナ&エリック・ソマーズで、ストーリーはほど良くギャグを織り交ぜながら軽快に進んでいく。メガホンを取ったのがエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』を手がけたデクスター・フレッチャーなだけあって、全編にわたってポップミュージックが散りばめられているのも楽しい部分だ。また、カメオ出演が恐ろしく豪華で、アノ超有名スターたちが非常に笑える形で“ゴーステッド”していくのも見所のひとつと言えるだろう。彼らと違い、愛とハリウッド映画は永遠に不滅。受け取れるメッセージとしてはそんなところで、全く高尚でも何でもないけれど、そういうのも全然悪くない。

【ストーリー】
実直なコールは謎めいたセイディと出会い、たちまち恋に落ちる。ところが彼女はCIAであることが判明。2回目のデートすら決まらないうちに、コールとセイディは世界を救うための国際ミッションに放り込まれる。

【キャスト】
クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、エイドリアン・ブロディ、マイク・モー、ティム・ブレイク・ネルソン、ムスタファ・シャキール、マーワン・ケンザリ 他

【スタッフ】
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:レット・リース&ポール・ワーニック、クリス・マッケナ&エリック・ソマーズ

 

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