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『THE GUILTY/ギルティ』想像力を研ぎ澄ませ。しかし磨かれたその刃は、きっとあなた自身をも切り裂く。

この映画は、つまり―
  • 圧倒的高評価のデンマーク映画をハリウッドリメイク
  • 姿は見えないけど豪華キャスト!
  • 一風変わった“密室”スリラー

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◆配信中の注目作 

『THE GUILTY/ギルティ』(2021)

Netflixで視聴するこちら

 

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

相手の姿が見えない中でのコミュニケーションは難しい。人間は言葉だけでなく、表情や言い方、身振りなどをヒントに相手の意図を推測するからだ。映画やドラマで、トラブルに巻き込まれた人が浮かない顔で「最高だよ」と言うシーンを見たことがあるだろう。だが、「何で嬉しそうなんだ?」と思う観客はいない(ですよね?)。言葉のみから得られる情報はごくわずか。今回紹介する『THE GUILTY/ギルティ』は、これを上手く活用した緊張感たっぷりのスリラーだ。911(緊急通報用の番号)のオペレーターであるジョーは、誘拐事件の被害者らしき女性から助けを求められる。警察や他機関に協力を仰ごうにも、運悪く発生している山火事のせいで人員不足の状況。女性は男が運転する白いバンに乗せられ、家にいる娘と話すフリをしてジョーと話している。…あなたならどう被害者を助ける?

本作は、有名な映画批評サイト「ロッテン・トマト」で絶賛された同題のデンマーク映画のハリウッドリメイク版だ。雰囲気と色で例えればオリジナル版は冷静で青く、本作は熱血で赤い。終盤にはハリウッドらしい展開もあるがプロットはほぼ一緒なので、本作から入っても良いだろう。オリジナル版を観た方でも本作に触れる価値はある。見知ったキャストが出ているからだ。いや、正確に言えば顔が映る有名人はジョーを演じたジェイク・ギレンホールくらいか。後は声のみで、『マッドマックス 怒りのデスロード』のライリー・キーオ(ちなみにエルビス・プレスリーの孫だ)や、監督のアントワーン・フークアが『トレーニング デイ』でタッグを組んだイーサン・ホークも出演している。彼らの熟練の演技のおかげで、観客はジョーとともに多大なストレスを受けながら声と音だけを頼りに事件を追うことになる。

本作はある意味“密室”スリラーだ。ジョーはオペレーター室から出られず、電話の向こう側を想像しながら対応する。カメラも部屋から出ないので、普通の映画では主人公が知り得ない情報を神のごとく知れる観客も、本作ではジョーと同じく密室に閉じ込められたただの人間に成り下がる。それが非常にスリリングなのだ。…さて、ちょっとここでクイズを。「父親とその息子が事故に遭い病院に搬送された。父親は亡くなったが、執刀を任された院長は子どもの方を見て『私の息子だ!』と叫んだ。一体どういうことか?」…答えが分からなかった方は、きっとジョーと同じ運命をたどるだろう。

【ストーリー】
ある事情により現場を離れ、緊急司令員として勤務する刑事が受けた1本の通報。電話の向こうの被害者を救うため必死で策を練る彼を、思わぬ真実が待ち受けていた。

【キャスト】
ジェイク・ギレンホール、ライリー・キーオ、ピーター・サースガード、イーサン・ホーク

【スタッフ】
監督:アントワーン・フークア

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