MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『ザ・ハント』もはや右とか左なんてどうでも良い! 前後不覚に陥るストーリー展開に身を任せよう。

この映画は、つまり―
  • 公開前から話題も怒りも沸騰、当時のアメリカを皮肉った(一応)政治的なバイオレンススリラー……?
  • 実は全編ギャグばかり!
  • 新鮮すぎるアクションスター、ベティ・ギルピン爆誕!

記事を見る

◆配信中の注目作 

『ザ・ハント』(2020)

Amazonプライムで観るこちら

U-NEXTで視聴する(31日間無料トライアル)で視聴するこちら

 

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

本作は色んな意味で過激な描写を多数含んでいるので、公開に際して様々なトラブルに見舞われてきた。ひとつは、公開日直前に銃乱射事件が起きてしまったこと。そのために、公開は約半年延期された。そしてもうひとつは、当時のアメリカ合衆国大統領、ドナルド・トランプ氏に目の敵にされたことだ。本作には“マナーゲート”と呼ばれる、セレブ・エリート層(はっきり言うとリベラル、トランプ反対派)が庶民(はっきり言うと保守、トランプ支持者)をハンティングする凶悪な殺人ゲームが登場する。劇中では、「トランプ支持者の間でまことしやかに語られている陰謀論が実在した」という設定になっている。もちろんこれはフィクションだが、現実世界でもトランプ支持者の中には似たような陰謀論を信じている者がおり、そのパロディだ。映画の中でとは言え自らの支持者を蔑ろにされたトランプ氏は、ハリウッドの人々をレイシストと呼んで批判した。

こう言われると、政治に明るくない方は観るのをためらうかもしれない。しかし、本作は難しいことを考えずとも問題なく楽しめる(問題作ではある)。一応R-15ではあるが、実際は全編がジョークで埋め尽くされているのだ。そもそも、この映画を観て本当に怒るべきはトランプ氏とその支持者ではなく、陰謀論の内容通りに人でなし扱いされているトランプ反対派のはずだ。そこがまず笑える。しかも、劇中のエリートたちはバンバン人を撃ちながら黒人差別や女性差別に怒ったりしていて、倫理的なのかそうでないのかよく分からない。劇中の庶民は庶民で、陰謀論をネットでばらまく困った人たちだ。映画自体は庶民たちの目線で進むので、どちらかと言うと観客は、文字通り死に物狂いで戦う彼らを応援することになるが、どちらか一方に完全に肩入れさせようとはせず、双方をバカにした喧嘩両成敗の作風なのだ。

物語を引っ張るのは、常に唇を真一文字に結び、口数も少なく何を考えているか分からないが、サバイバル術と戦闘力に異常に長けた庶民のクリスタルだ。変顔ギリギリの鬼の形相で決めゼリフを言う所もニクい。演じているベティ・ギルピンは日本じゃまだまだ無名だが、やけに静かだと思ったらいきなり相手をボコボコにし始めるこの予測不能でクールなキャラクターは、確実に観客の記憶に刻まれるだろう。そんな主人公に首根っこを掴まれながら怒涛のストーリー展開に振り回されるのも、きっと悪くない体験だ。

【ストーリー】
広大な森の中で目覚めた12人の男女。ここがどこなのか、どうやって来たのかも分からない。あるのは巨大な木箱に収められた一匹の豚と数々の武器。すると突然、銃声が鳴り響き、何者かに狙われる。武器を取り、逃げまどいながら、やがて彼らは気づく。ネット上にはびこる噂、「人間狩り計画」.セレブが娯楽目的で一般市民を狩る“マナーゲート”が実在することを。

【キャスト】
ヒラリー・スワンク、ベティ・ギルピン、エマ・ロバーツ

【スタッフ】
監督:クレイグ・ゾベル

バックナンバー