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『感染家族』/あなたにも笑いが「感染」する癒し系ながらもゾンビ映画の新たな可能性を提示した一作!

この映画は、つまり―
  • ホラー映画が苦手の方にこそオススメ
  • 癒し系ゾンビここに爆誕!
  • 数々のゾンビ映画にオマージュを捧げつつも、オチは斬新!

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『感染家族』(2019)

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文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ゾンビ映画に抱くイメージは? グロテスクなホラー? いや、本作はもはやホラーではない。完全なコメディだ。目を背けたくなるようなシーンもほぼない。さすがに人がゾンビに噛まれるシーンはあるが、それすら笑えるように撮られている。

本作のマスコット、ゾンビのチョンビは、その辺のおばちゃんには無視され、子どもには暴言を吐かれ……自力で襲えたのは主人公一家の父親マンドクだけという落ちこぼれゾンビだ。しかも、噛まれたらゾンビ化するのが世の常だが、本作ではそこを捻り体が若返るという設定が追加されているため、マンドクは中々ゾンビにならない。さらに、チョンビは肉食かと思いきや何と好物はキャベツで、ヒマさえあればバリバリ。韓国と言えば焼肉、まさに某焼肉屋の「やみつきキャベツ」ばりにバリバリだ。そして顔はイケメンと来れば、嫌いになりようがない。ここまで草食系・癒し系のゾンビは史上初ではないだろうか。

ホラーが苦手の方こそ観るべき作品だが、ゾンビ映画好きには向かない作品なのか? 答えは否だ。本作は様々な作品に影響を受けているのが見て取れる。労働力として扱われるゾンビやゾンビとの友情が描かれた『ショーン・オブ・ザ・デッド』に『ゾンビーノ』、イケメンゾンビと女の子が恋をする『ウォーム・ボディーズ』などなど。マイケル・ジャクソンの『スリラー』も意識しているのか、劇中にはゾンビたちのダンス(に見える)シーンまで。特に、劇中で一瞬映像が映る、同じ韓国産ゾンビ映画の『新感染 ファイナル・エクスプレス』を観ている人にはより笑えるギャグが終盤用意されている。同作はかなり刺激的な描写が満載だが、実に感動的な作品でもあるので要チェックだ。

映画作りは、学問の研究にも似ている。良い映画というのは、先行研究、つまり過去の作品を踏まえつつも新たな結論を提示してくれるものだ。本作はゾンビ映画のセオリーを踏まえつつも、要所要所でそれを裏切り、おそらくゾンビ映画として初めてのオチまで見せてくれる。いつか本作に影響された作品も誕生するだろう。ゆるかわなルックスだが、韓国映画のハイレベルさをまざまざと思い知らされる一作だ。あなたも本作に噛まれてみては? きっと爆笑が感染するに違いない。

【ストーリー】
田舎の寂れたガソリンスタンドで暮らすパク一家。定職もなくその日暮らしの彼らは、突然現れたゾンビに噛まれた父親マンドクが若返ったのを見て、一獲千金の<ゾンビビジネス>に乗り出す。日和見主義の長男ジュンゴルと妊娠中の妻ナムジュ、口八丁の次男ミンゴル、芯の強い末娘ヘゴルら、適材適所の家族運営で依頼人も日々増えていく。ついには、ガソリンスタンドの再建にも成功、一見順調なビジネスだったが、若返りを果たした人々に思わぬ副作用が勃発してしまう。そしてゾンビと化した人々が、次々に道行く人を襲い、大群となってついにガソリンスタンドにも襲い掛かる……。

【キャスト】
チョン・ジェヨン、キム・ナムギル、オム・ジウォン

【スタッフ】
監督:イ・ミンジェ

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