MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『Mr.ノーバディ2』人の家族サービスを邪魔する奴は、頭を撃たれて死んじまえ!

この映画は、つまり―
  • アドレナリン全開映画から、完全なアドレナリンジャンキー映画へ!?
  • 意外にも『ジョン・ウィック』とは似て非なる……いややっぱり『ジョン・ウィック』!?
  • 今度は遊園地で『ホーム・アローン』だ!!

記事を見る

◆配信中の注目作

『Mr.ノーバディ2』
配信先:Amazonプライム

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

本作『Mr. ノーバディ2』ほど、何も考えずに楽しめる映画……、否、思考を放棄したくなる映画もそうない。もしかしたら前作の時点でそうだったのかもしれないが。本シリーズの脚本を担当しているデレク・コルスタッドは『ジョン・ウィック』シリーズの脚本も務めており、製作には『ジョン・ウィック』シリーズ責任者のチャド・スタエルスキと1作目を共同監督したデヴィッド・リーチの87ノース・プロダクションが入っている。そしてアクション面でも、異常な殺人スキルを持つ物静かな男が荒くれ者どもをばったばったとなぎ倒していくスタイルが共通しているので、両シリーズは何かとセットで語られがちだ。しかし前作がどんな話だったか思い出してみると、現在冴えない父親/夫として周りに認知されている中年男性ハッチ・マンセルが、過去に置いてきたはずの暴力の世界にカムバックしたことで気持ちに張りが生まれ、家族関係も万事OKになるという暴力上等アドレナリンジャンキー上等な内容だ! 『ジョン・ウィック』というより、むしろ『ファイト・クラブ』などに近いような。

さあ、そうして迎えた2作目では、余計にこの傾向が加速している。見ているとだんだんアクションが麻薬的に作用してくるのだ! 前作でも不謹慎ギャグが至るところにまぶされていたが、監督がロシア人のイリヤ・ナイシュラーからインドネシア人のティモ・ジャヤントにバトンタッチし、武器としてはデカい刃物が、そして本当に笑って良いのか分からないブラックな笑いが増えた。ハッチは前作でかなりスカッとすることをやってのけたが、本作ではその埋め合わせのためにお仕事三昧の日々を送っている。あまりにブラックな環境に嫌気が差したハッチは仕事をバックレることにして、家族でリゾートに出かける。ところがそこを仕切る別の組織に目を付けられ、またドンパチする羽目になる。恐ろしくバカなストーリーだろう。本作はもうバカ映画と言って良い領域に両足を突っ込んでいる。

観客は、すでにハッチが「何者でもない男」ではないと知っている。だがハッチは人を殺しすぎて、スイッチが入るとすぐ暴れるモードに突入するほど暴力中毒になっており、以前からその気があったのに本作では余計に怪我を厭わない。これがジャヤントのギャグセンスと悪魔的に相性が良く、観客の常識・倫理観その他大事な判断力をもバカにさせる。一応、シリアスに考えようと思えばそうできるテーマもあると言えばある。ハッチの暴力は、ハッチの家族にも影響を与えてしまうのだ。ただし、それを小難しく真面目に批判的に描くのは本シリーズの仕事ではない。とにかく暴力をエンタメとして描く、そういった、緩んだ頭のネジを飛ばして敵の頭に風穴を開けるようなスタンスがシリーズの売りなのだ。

ルックはともかく、内容的には思ったほど『ジョン・ウィック』ではないと先に書いたが、本作は意図的にパロディをやっているようにも見える。ミラーハウスでの戦闘など、どう考えても『ジョン・ウィック:チャプター2』のマネだろう! 銃の他にもグレネードやナイフ、その辺にある鈍器などを武器にしていく変幻自在の戦闘も踏襲され、ジャヤント監督の趣味なのか日本要素までミックス(『ジョン・ウィック:パラベラム』じゃないか!)。これはネタバレでも何でもないが、もちろんクライマックスは遊園地中のアトラクションを巻き込んでの大乱闘だ! ラスボスのシャロン・ストーンもとにかく極悪な雰囲気をまとっており、ベテラン女優の使い方まで景気が良い。死傷者数が大変なことになっているのはさておき、やっぱり家族サービスってだいじだなあ。

【ストーリー】
何者でもない男ハッチは、ロシアン・マフィアとの決闘から4年、消失させた3000万ドルを肩代わりした組織への借金返済のため、休日返上で任務を請け負っていた。一方で家族関係は崩壊寸前、その修復を兼ね一家でバカンスを計画する。だが、全米最古のウォータースライダーが売りの何でもないリゾートは、巨悪組織を率い、薬物と汚職にまみれた警官を支配する、一切容赦のない女レンディーナの密輸ルートだった。地元保安官との些細なトラブルが、たちまち巨悪組織とのド派手な全面戦争へとエスカレートする!

【キャスト】
ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、ジョン・オーティス、RZA、コリン・ハンクス、クリストファー・ロイド、シャロン・ストーン 他

【スタッフ】
監督:ティモ・ジャヤント
脚本:デレク・コルスタッド、アーロン・ラビン

 

★配信エンタの過去記事はこちら

『ザ・コンサルタント2』人間は決して一面的なものじゃない。そして、それは映画も同じ。

『コンパニオン』運命を、“愛”を超えろ。真の“わたし(I)”になるために。

『室町無頼』これは時代劇の皮をかぶったアウトローたちの生存劇だ!

『ザ・ヒューマンズ』たわいもない家族の団欒。“他愛”もない人間たちの寄せ集め。

「止まったら爆発」から50年——再起動するスリルとリアル『新幹線大爆破』Netflix版の真価

 
バックナンバー