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『顔を捨てた男』Face yourself。一度自らを葬った男に降りかかるカルマを描くスリリングなコメディ!

この映画は、つまり―
  • あなたを「あなたたらしめているもの」は顔か?
  • こんなに魅力的“じゃない”セバスチャン・スタン、見たことない!
  • ルッキズムの皮を被った、痛烈なアンチ・ルッキズム

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◆配信中の注目作

『顔を捨てた男』
配信先:U-NEXT

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

「ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れない ガラス玉ひとつ落とされた 落ちた時何か弾き出した 奪い取った場所で光を浴びた」――これはBUMP OF CHICKENの楽曲「カルマ」の歌詞の一部である。非常に意味深な内容だが、本作『顔を捨てた男』の鑑賞中に筆者の頭に思い浮かんだのがこれだ。「カルマ」はゲームのタイアップ曲なのでそのストーリーにリンクする歌詞になっているのだが、本作にも絶妙に(ミス)マッチする。どちらとも、主人公の鏡合わせのドッペルゲンガー的存在が登場する作品だからだ。

本作の主人公エドワードは顔面に神経繊維腫があり、人の目を引く容姿をしている。売れない俳優として活動しているが、外見へのコンプレックスのため性格は暗く、人付き合いも苦手で、特技と言える特技もなく、どころか肝心の演技力すらそれほど高くない。彼はお隣さんの劇作家イングリッドに出会うが、これがお互いに衝撃的な運命の出会いとなった。エドワードは恋に落ち、イングリッドはエドワードの人生を描く劇の脚本を書き始める。イングリッドとしてはエドワードに主演してもらうのが望みだったのだが、彼は大がかりな手術で顔を変え人生をも一変させることを望んだ。かくしてエドワードはハンサムに生まれ変わり、ガイと名を変えエドワードは死んだことにした。正体を隠してイングリッドと再会し、完璧な演技で劇の主演を掴み(当たり前だ)恋人同士になるが、ある日かつてのエドワードのような神経線維腫を患ったオズワルドという男が現れ……。

本作のメインキャストは3人で、うち2人が美形だ。そして、とびきり魅力的な人物も2人いる。エドワードを演じるセバスチャン・スタンはご存じ、誰もが認めるイケメンだ。そしてイングリッドを演じるレナーテ・レインスヴェも美しい。最初こそエドワードの顔に驚くも、その後積極的にちょっかいを出してくるようになるイングリッドの演技は非常にチャーミングだ。では、もう1人の魅力的な人物とは? もちろんセバスタ……ではない。それは何とオズワルドを演じる、実際に神経線維腫症1型当事者であるアダム・ピアソンの方なのだ! オズワルドはエドワードの鏡映しの外見をしているのに、内面は正反対。スカーレット・ヨハンソン主演の『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』への出演で知られるピアソンは、本作で登場する度に笑いをかっさらう。彼の底抜けに明るい性格、トークスキル、歌唱力、その他諸々のレベルの高さに思わず爆笑させられる。何ということだ。光を浴びたのはオズワルドだった。主人公でありながら、エドワードの方が影だったのだ!

せっかく顔がセバスタになり、そこいらの男より遥か高みに行ってしまったはずのエドワードだが、それで解決する問題と解決しない問題がある。事実、エドワードとしてのセバスタには人間的魅力がまるでない。もちろん神経線維腫が原因の部分はあろうが、その言い訳は全てオズワルドの存在がブチ壊してしまう。ある意味、最も外見に囚われていたのはエドワード本人だった。そこからエドワードが辿る道は、カルマと呼ぶにふさわしいものだ。監督・脚本を務めたアーロン・シンバーグは生まれつき口唇口蓋裂があり(ホアキン・フェニックスも同じだ)、エドワードに似た境遇だった。しかし、実際にオズワルドのような人物であるピアソンと出会い衝撃を受け、前作『Chained for Life(原題)』では主演に抜擢までしている。結局、エドワードはFace(顔)のことばかり考えていたものの、きちんとFace(向き合うこと)はしなかったのかもしれない。鏡には映らない本当の自分自身に。

【ストーリー】
顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。隣人で劇作家を目指すイングリッドに惹かれながらも、自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼はある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の“新しい顔”を手に入れる。過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」に似たカリスマ性のある男オズワルドだった。その出会いによって、エドワードの運命は想像もつかない方向へと猛烈に逆転していく──。

【キャスト】
セバスチャン・スタン、レナーテ・レインスヴェ、アダム・ピアソン 他

【スタッフ】
監督・脚本:アーロン・シンバーグ

 

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