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『エイリアン:アース』「Alien(理解しがたい異質な存在)」という名は、ヤツにこそ相応しい。

この映画は、つまり―
  • 『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』とは異なる『エイリアン』の前日譚!
  • 新要素、本物の人間の意識を持つ人工体「ハイブリッド」
  • 兄妹ドラマで温まった心を凍えさせる容赦ない残酷描写

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◆配信中の注目作

『エイリアン:アース』 

配信先:ディズニープラス

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ジェームズ・ガン版『スーパーマン』において、スーパーマンことクラーク・ケントは「エイリアン(宇宙人・よそ者)」となじられる。彼は間違いなく非常に信頼できる人物だが、人間に良い人・悪い人がいるように、宇宙生物にも好ましいもの・好ましからざるものがいる。まさに、巨匠リドリー・スコットが観客に消えないトラウマを焼き付けた『エイリアン』の怪物ゼノモーフは、好ましからざる宇宙生物の最たるものだ。対話不可能、理解不可能、殺害不可能……ではないが恐ろしく困難、という絶対に近寄りたくない要素をいくつも備えている。とは言え、異常に好奇心をくすぐられるツミな存在でもある。これまでのシリーズでは他の惑星や宇宙船の中で暴れていたので他人事として見られたが、もうそのような悠長なことは言っていられなくなった。何しろ、この『エイリアン:アース』でヤツらはこの地球に来てしまうのだから!

舞台は『エイリアン』1作目の2年前、2120年の地球。現代から約1世紀先の未来では、人間は不老不死に近づく術を獲得したようだ。まずは身体の一部が機械と融合している「サイボーグ」、次に人工の身体に人工の知能を持っている「シンセ」(これまでのシリーズでお馴染みの「アンドロイド」の前身か)、そして新たに生み出される、人工の身体に本物の人間の意識を移した「ハイブリッド」。冒頭で、宇宙の漆黒よりも闇深いブラック企業「ウェイランド・ユタニ社」のライバル「プロディジー社」によって、このハイブリッドが作られる。世界最初のハイブリッドである「ウェンディ」は、病気で死にかけている幼い少女マーシーの意識を持つ。決して死なず、永遠に子どものままであり、劇中で言及されるようにその名は『ピーター・パン』から取られている。ウェンディ同様にハイブリッド化された少年少女たちはチーム「ロスト・ボーイズ」となるが、その記念すべき最初の任務はやはりエイリアン絡みとなってしまう。

様々な宇宙生物の標本を載せた宇宙貨物船マジノ(やはりウェイランド・ユタニ製)が、サイボーグであるモローの手により地球へ墜落。ウェンディたちは落下地点へ捜索に向かうが、現場にはウェンディの実の兄である衛生兵ジョーも足を運んでいた。妹は死んだと思い込んでいる兄と、想像もつかない形で蘇った妹。果たしてこの兄妹と、おっと忘れてはいけない、地球の行く末はどうなってしまうのか?

現時点ではまだ2話までしか配信されていないが、新鮮な要素と懐かしい要素が入り混じって、確かに新たな『エイリアン』になっているのが分かる。ハイブリッドは、某少年探偵とは逆に「見た目は大人、頭脳は子ども」なわけで、ゼノモーフが暴れ回った凄惨な現場を見てもイマイチ緊張感がなくオフビートな笑いを誘う。しかし、確かに残酷描写はディズニープラス配信作品とは思えないほど過激だ(制作は『SHOGUN 将軍』のFX)。これまでシリーズで見たことがない宇宙生物も色々登場し、どれも想像を絶するほど気色悪い。ゼノモーフはまだ最強の酸攻撃を披露していないので、今後はグロのレベルがもう一段階上がる予感がするが、物語は兄妹愛にもフォーカスしていくだろう。交互にやってくる悪寒と温かな気持ちの温度差でショック死しないよう、気をつけながら彼女らを見守ろう。

【ストーリー】
謎の宇宙船が地球に不時着する。若い女性と寄せ集めの特殊部隊メンバーが不吉な発見をし、地球最大の脅威と対峙するSFホラーシリーズ。墜落回収メンバーたちが残骸の中から生存者を探していると、今まで想像し得なかった恐ろしい謎の捕食生命体に遭遇する。この新たな脅威が解き放たれ、メンバーたちは生き残りをかけて戦わなければならない。そして彼らがこの発見に対していかなる選択をするかによって、彼らの知る地球は変わってしまうかもしれない。

【キャスト】
シドニー・チャンドラー、アレックス・ロウザー、ティモシー・オリファント、エッシー・デイヴィス、サミュエル・ブレンキン、バボー・シーセイ 他

【スタッフ】
企画:ノア・ホーリー

 

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