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『バレリーナ:The World of John Wick』公開記念!シリーズ全作品を振り返り!<第1回>『ジョン・ウィック』(2014)伝説はここから始まった──最凶の殺し屋、再び立つ!キアヌ完全復活の狼煙!

この映画は、つまり―
  • キアヌ・リーヴス完全復活、シリーズの伝説はここから始まった
  • スタントマンが撮った、リアルで殺意高めなアクション映画
  • 犬を殺された男が裏社会ごとぶっ壊す話

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『バレリーナ:The World of John Wick』公開記念!キアヌ・リーヴス主演の大ヒットシリーズ『ジョン・ウィック』。その世界観を受け継ぐスピンオフ映画『バレリーナ』の公開に合わせて、ムービーマービーでは毎週1本、シリーズ全作(+ドラマ『コンチネンタル』)をおさらい!伝説の殺し屋ジョン・ウィックの戦いを、改めて振り返ります!

『ジョン・ウィック』


[ 発売元・販売元 ] ポニーキャニオン
Motion Picture Artwork (C)2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. (c) David Lee

配信先:U-NEXT(定額見放題)Amazonプライム・ビデオ(定額見放題)Netflix(定額見放題)ABEMA(定額見放題)TELASA(定額見放題)YouTube(レンタル ¥300〜)Google Play ムービー& TV(レンタル ¥300〜)Apple TV(レンタル ¥440〜)

 

文:ウメ氏(スチールブック大好きマン)

伝説の殺し屋が、愛犬の仇を討つために裏社会に舞い戻る。
そのあまりにシンプルな復讐譚が、アクション映画の歴史を塗り替えることになるとは、当初誰が予想していただろうか。

2014年に公開された『ジョン・ウィック』は、いまや世界的な人気を誇るシリーズの記念すべき第1作。主演のキアヌ・リーヴスは当時、俳優としてやや低迷期にあり、アクションスターとしての存在感にも陰りが見えはじめていた。そんななか本作は、ハリウッドの大作ではなく、インディペンデント映画として静かに製作がスタートする。

監督を務めたチャド・スタエルスキは、かつて『マトリックス』シリーズでキアヌのスタントダブルを務めた人物。本作が彼の長編監督デビュー作であり、もう一人のスタント出身者デヴィッド・リーチも実質的な共同監督として深く関わっている(※リーチはクレジット上はプロデューサー名義)。アクションの本質を知り尽くした2人が、主演俳優の肉体と技術を最大限に活かすために、自分たちで監督の椅子に座った。そうして完成したこの作品は、アクション映画における“現場からの革命”でもあった。

物語の始まりは、静かな喪失から。かつて裏社会で“引退不可能”とまで恐れられた伝説の殺し屋ジョン・ウィックは、最愛の妻を病で亡くし、悲しみに暮れていた。妻が遺したのは、一匹の子犬と「あなたに生きる希望を」という手紙。しかしその犬が、ロシアン・マフィアの若造ヨセフ(アルフィー・アレン)に殺されてしまう。さらにジョンの車までも奪われたことで、彼の中で何かが切れる──。

静かに、だが確実に、ジョン・ウィックは“死の世界”に戻っていく。これが単なる復讐劇ではなく、神話的な「地獄巡り」へと化していくのがこの作品の凄みだ。犬を殺されたから殺しに行く、という動機のシンプルさに対し、裏社会の反応が異様に過敏で大げさなのが印象的で、それこそがジョン・ウィックという存在の“伝説”を際立たせている。

とりわけ印象深いのが、ロシアン・マフィアのボス、ヴィゴ・タラソフ(演:ミカエル・ニクヴィスト)と車屋オーレリオ(演:ジョン・レグイザモ)との電話のやりとりだ。
「なぜ私の息子を殴った?」と問うヴィゴに対し、オーレリオは静かに答える。
「ジョン・ウィックの車を盗み、犬を殺したからです」
一瞬の沈黙ののち、ヴィゴはただ一言、「……Oh」。

それだけで観客には伝わる。この世界では“ジョン・ウィックに手を出す”ということが、いかに愚かで、取り返しのつかない行為かということが。名前だけで裏社会全体を震え上がらせる男。そんな彼が再び動き出したという事実が、すべての均衡を崩していく。

本作が革新的だったのは、アクション演出のスタイルだ。銃と近接格闘を融合させた「ガン・フー(Gun-Fu)」を基盤に、長回しと広い画角を活かした撮影が貫かれている。カット割りや手ブレで誤魔化すのではなく、動きを見せることに全振りした潔さ。そして何より、キアヌ・リーヴスの動きが素晴らしい。『マトリックス』で培った格闘術や身体操作の経験が、本作ではより現実味のあるアクションとして結実している。銃撃から関節技へのスムーズな移行、タメのある一撃、確実に相手を制圧するための動き。洗練されながらも殺傷力を備えた所作が、殺し屋というキャラクターに説得力を与えている。

また、舞台となる裏社会の世界観もじわじわ効いてくる。専用のコインで決済されるホテル「コンチネンタル」、血の契約を示す“マーカー”、そして“主席連合”という謎めいた支配構造。第1作ではまだその一端しか描かれないが、こうした設定がのちのシリーズで拡張されていく余地を感じさせ、世界観の深みを予感させる。

本作の評価は極めて高く、公開からじわじわと口コミで話題が拡大。キアヌはこの作品で完全復活を果たし、チャド・スタエルスキは名実ともにハリウッド屈指のアクション演出家となった。しかも『ジョン・ウィック』は“続編ありき”ではなく、単独でもきれいに終わる設計だったからこそ、逆に映画としての完成度が高い。にもかかわらず、観客が「もっと見たい」と叫ばずにはいられなかったのが、このシリーズが奇跡的である証だ。

『バレリーナ:The World of John Wick』は、後の作品で登場する犯罪組織「ルスカ・ロマ」出身の女性アサシン、ルーニーを主人公に据えたスピンオフだ。彼女が生きる裏社会の掟は、まさにこの第1作で築かれた世界観に根ざしている。

次回は、シリーズのスケールを一気に広げた続編『ジョン・ウィック:チャプター2』を紹介する。

『ジョン・ウィック』(2014年/アメリカ)

【ストーリー】
裏社会に語り継がれる一騎当千・伝説の殺し屋ジョン・ウィック。
愛を知り、表の世界へと足を洗い平穏な日々を送っていた彼は、ある日、不運にも彼の愛するもの全てをマフィアに奪われてしまう。
怒りに震え、心の奥底に封じ込めた”殺し屋の魂”を解き放ち、復讐のために独り立ち上がる。

【キャスト】
キアヌ・リーブス(森川智之)、ウィレム・デフォー(山路和弘)、ジョン・レグイザモ(家中宏)、イアン・マクシェーン(安原義人)、ミカエル・ニクヴィスト(堀内賢雄)、エイドリアンヌ・パリッキ(東條加那子)、ブリジット・モイナハン(竹内絢子) ほか

【スタッフ】
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:デレク・コルスタッド
製作:ベイジル・イヴァニク、P.G.A、デヴィッド・リーチ,P.G.A、エヴァ・ロンゴリア、マイケル・ウェザリル
アクション監督:スタント・コーディネーター/ダリン・プレスコット
音楽:タイラー・ベイツ
セット・デコレーション:スーザン・ボード
衣裳:ルカ・モスカ

『バレリーナ:The World of John Wick』
8月22日(金) 復讐は伝播する

【ストーリー】
孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪組織:ルスカ・ロマ。裏社会に轟く伝説の殺し屋:ジョン・ウィックを生み出した組織で殺しのテクニックを磨いたイヴは、幼い頃に殺された父親の復讐に立ち上がる。しかし、裏社会の掟を破った彼女の前に、あの伝説の殺し屋が現れる…

監督:レン・ワイズマン『ダイ・ハード4.0』 製作:チャド・スタエルスキ『ジョン・ウィック』シリーズ
出演:アナ・デ・アルマス、ノーマン・リーダス、アンジェリカ・ヒューストン、ガブリエル・バーン、キアヌ・リーブス ほか
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
2025/アメリカ/原題:From the World of John Wick: Ballerina
®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

公式HP:Ballerina-jwmovie.jp
X:@ballerina_jw
instagram:ballerina_jw

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