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『寄生獣 ―ザ・グレイ―』日本の名作漫画を実写ドラマ化!韓国からもうひとつの“パラサイト”が忍び寄る。

この映画は、つまり―
  • 韓国らしいバイオレンスが足された『寄生獣』!
  • 登場人物とゼロ距離のカメラワークがすごい!
  • 本当の“パラサイト”とは何か?

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◆配信中の注目作

『寄生獣 ―ザ・グレイ―』

Netflixで視聴する⇒こちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

貧困にあえぐ家族が裕福な家族に寄生していく様を、笑いと恐怖を織り交ぜて描いたポン・ジュノ監督のスリラー『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭のパルム・ドールに輝いたのは記憶に新しい。そして、昨日からNetflixで配信が始まった韓国ドラマもまた“パラサイト”であった。『寄生獣 ―ザ・グレイ―』…そう、岩明均原作の名作漫画『寄生獣』を基にした実写ドラマだ(余談だが、『寄生獣』の英題は寄生生物・寄生虫を意味する「parasite」の綴りを少し変えた造語『parasyte』なのが面白い)。

基本設定は原作と同じ。ある日宇宙からテニスボール大の殻に包まれたヘビのような謎の生物が飛来し、鼻や耳の穴から人間の体に入り込む。侵入された人間は脳を食われ、外見は人間ながら中身は寄生生物に置き換えられてしまう。彼らにとって人間は食料であり、捕食の際には頭部がバカッと花のように開いてそのグロテスクな本来の姿を現す。頭部の動きは変幻自在で、その攻撃は難なく人間を切り裂けるほどに強力。誰が人間で、誰がかつて人間だった者なのかも一目で分からない絶望的な状況の中、人類は自らの存亡を賭けて戦わなければならなくなる。

本作の主人公チョン・スインもこの生物に寄生されるが、その際に大ケガを負っていたため生物は体の回復を優先し、脳を食われずにすむ。その結果寄生されたのは顔の右側のみに留まるが(原作で主人公・新一の右手に寄生した生物は「ミギー」と名付けられる)、変種ということで他の寄生生物から危険視されてしまい…。大体原作に沿った形だが、最初に寄生生物の被害が出るシーンで原作とドラマの違いが出ているように思う。原作では世間に気づかれないまま、一軒の家で妻が寄生された夫に食われるところから侵食が始まる。しかしドラマでは、大勢が踊り狂う音楽フェスの最中に寄生された参加者が暴れ回り大惨事となる。何とも韓国らしいバイオレントなスタートだ。

『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』や『遊星からの物体X』的なスリリングさがありつつ、アクションの側面も強い。寄生生物との格闘シーンや逃走シーンではカメラがかなり登場人物に寄り、驚くべきことに全く離れないまま縦横無尽に動き回る。監督が『新感染』シリーズのヨン・サンホだけに、人間が寄生される瞬間はゾンビの動きらしくもあり、納得の人選だ。そして気になるのはサブタイトルについている「ザ・グレイ」。“グレイ”と言えば、全身灰色で背は低いが頭部と目が異常に大きいアノ姿。そう、典型的な宇宙人のビジュアルだ。劇中でグレイとは対寄生生物特殊チームの名であることが明かされるが、サンホによれば人間でも寄生生物でもない“灰色”のスインのことも指しているようだ。

とは言え、どちらが黒で白なのかが分からないのが『寄生獣』。原作でもドラマでも、最初に言及されるのは「人間こそが地球を蝕む寄生虫である可能性」についてだ。スインがどちらの色に変わるにせよ、彼女の選択によって事態は一気にひっくり返るのだろう。リバーシのように。

【ストーリー】
人間を宿主として寄生し、その肉体を支配する正体不明の生物が突如出現。大きな脅威に直面した人類は、寄生生物の台頭を阻止すべく立ち上がる。

【キャスト】
チョン・ソニ、ク・ギョファン、イ・ジョンヒョン、クォン・ヘヒョ、キム・イングォン 他

【スタッフ】
監督:ヨン・サンホ
原作:岩明均『寄生獣』

 

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