『ディヴォーション：マイ・ベスト・ウィングマン』去年が『トップガン』なら、今年はコレか!?フィクションが超えられない高みを目指して飛んで行け！

2023.06.10

この映画は、つまり―

『トップガンマーヴェリック』とあわせて見たい一本！
マーヴェリックに次ぐナイスガイ、ハングマンと制服者カーンの人種を超えた友情！
実話要素で『トップガンマーヴェリック』を超えろ！

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◆配信中の注目作

『ディヴォーション：マイ・ベスト・ウィングマン』

Netflixで視聴する⇒こちら

文：屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

昨年、映画ファンにとどまらず多くの人を夢中にさせた『トップガンマーヴェリック』。同作が公開された後、Netflixはその影に隠れるも興味深い作品をリリースしてきた。ひとつは、同作の監督ジョセフ・コシンスキーの次作となる薬剤スリラー『スパイダーヘッド』。そしてもうひとつが、この『ディヴォーション：マイ・ベスト・ウィングマン』だ。本作は『トップガンマーヴェリック』と同じ戦闘機アクション映画であり、主役のひとりを務めるのはまさかの、同作に出演していたハングマンことグレン・パウエル！　いくらか分が悪い戦いにも思えるが、こちらには『トップガンマーヴェリック』にはなかった良さもきちんとある。

本作の舞台は1950年、朝鮮戦争の直前。ロードアイランド州にあるクォンセット海軍航空基地に転属してきた白人パイロットのトム・ハドナーと、黒人パイロットのジェシー・L・ブラウンが出会うところから物語は始まる。黒人差別的な雰囲気が残っている軍の中でもふたりは互いに腕を認め会い、トムはジェシーのウィングマン(相棒)となる。しかし、今後の任務にあたる上で乗りこなさなければならない機体は操縦の難しさから「ウィドウメーカー(未亡人製造機)」とも呼ばれるF4Uコルセア。ただでさえ事故率の高いこの機体で、男たちは命を賭けて北朝鮮へ飛んでいく…。

まず面白いのは、『トップガンマーヴェリック』で一見いけすかないヤツながら実はナイスガイなハングマン役のグレン・パウエルが、外見通りナイスガイなハドナーを演じていることだろう(しかも名前がトム！)。そしてブラウンを演じているのは、マーベル映画の新たなヴィラン、征服者カーン役のジョナサン・メジャース。今後さらに活躍の場を増やしていくだろうふたりがタッグを組んだのが本作なのだ。しかも、『トップガンマーヴェリック』とは違ってこちらは実話に基づいており、ジェシー・L・ブラウンは、アメリカ海軍の飛行訓練プログラムを終了した最初のアフリカ系アメリカ人パイロットと言われている(ちなみに、彼がプログラムを受けたのはイリノイ州の“グレン”ビュー海軍航空基地である)。

さすがに『トップガンマーヴェリック』のように実際に俳優をコックピットに乗せて撮影はしていないまでも、同作で空中スタントコーディネーターを務めていたケヴィン・ラローサ2世が関わっており、手に汗握るドッグファイトシーンが拝める。アクションだけでなく、人種を超えた男の友情や、ブラウンの帰りを待っている妻子・ブラウンを認めているパイロット仲間との絆も描かれているのが実にアツい。「ディヴォーション(devotion)」には「献身」などの意味がある。ある人物の献身と、本当の意味で“ウィングマン”になる展開には目頭までも熱くなるだろう。先輩である『トップガンマーヴェリック』よりは派手さに欠けしっとりしているが、実話ならではの感動という点では間違いなくこちらに軍配が上がる。ぜひチェックしていただきたい。エンドクレジットも見逃さずに。