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『ピースメイカー』 平和の使者というよりトラブルメイカーなヴィランは、果たしてスーパーヒーローになれるのか!?

この映画は、つまり―
  • 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党集結』のヴィラン、ピースメイカーが主人公のスピンオフドラマ
  • 素顔は意外にもチャーミング
  • 『ザ・スーサイド・スクワッド』より過激に!?

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◆配信中の注目作 
『ピースメイカー』(2022)

U-NEXTで視聴するこちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で知られるジェームズ・ガン監督の新作ドラマ『ピースメイカー』の配信がスタートした。本作は、ガン監督が過去の発言を問題視されてマーベルから放り出され、DCに拾われてマーベルにはできない過激さで撮った『ザ・スーサイド・スクワッド(以下、「前作」)と呼ぶ』のその後のストーリーであり、キャラクターのひとり、ピースメイカーに焦点を当てたスピンオフドラマである。彼は前作の「スターフィッシュ計画」に引き続き、減刑と引き換えに「バタフライ計画」に身を投じることになる。

ピースメイカーと言えば、「平和のためなら女子供も殺す」とのたまう超危険人物である。本人はいたってマジメに世界平和を目指しているが、前作ではヴィランばかりで結成されたチームの中でもさらにヒール的な扱いだった(ちなみに、演じているジョン・シナは実際にプロレスラーだが、女性・子どもからの人気が高い)。ヴィランに好感を持つというのもおかしな話だが、筆者含め、その行いから彼があまり好きになれなかった観客も一定数いたのではないかと思う。しかし、本作では魅力が爆発している。

前作で、ヴィランたちのサイテーな面とサイコーな面を両立させてみせたガン監督は、視聴者がピースメイカーに共感できるようにするため“いつの間にか良い人になっていた”なんて安易な設定は用いていない。やはりサイテーなままである。店員に「スウィートピーチちゃん(吹替版)」と呼びかけるなどナチュラルにセクハラ発言を繰り返すし(作品としてそれに否定的な視線はちゃんとある)、あまりにも単純すぎて逆に理解不能な行動理念もそのまま。しかし、ドラマ冒頭から彼自身のスウィートピーチもバッチリ映るなど(2回も!)、度を越したマヌケさがむしろチャーミングさに繋がっている。

前作では、ヴィランたちの命を何とも思わず任務にあたらせていたアマンダ・ウォラー司令官がピースメイカー以上のヴィランに見えたが、今回は彼の父親オーギー(『ターミネーター2』で液体金属製のターミネーター、T-1000を演じたロバート・パトリック!)がそのような立ち位置だ。差別的で男性主義的なピースメイカーの性格は父親の歪んだ教育から培われたようで、オーギーの前では筋骨隆々のピースメイカーさえ萎縮する。しかしオーギーの秘密部屋にはピースメイカーのための特殊兵器が並んでおり、どうやら今後も複雑な関係を続けていかざるを得ないようだ。

前作同様に過激な残酷描写に加え、前作でもできなかったラブシーンまである本作。本作でピースメイカーの仲間になるのは、前作で非情すぎるウォラーに歯向かうという、一般人ながらヒーロー的振る舞いを見せながらそのせいで左遷させられたエミリア・ハーコートたちだ(演じるジェニファー・ホランドはガン監督の婚約者)。ジョン・シナは、プロレスラーとしてはヒールから後にヒーローに転じた存在である。果たして、ピースメイカーもエミリアたちと関わる中で立派なヒーローになっていけるのだろうか? 愛すべきマヌケの行く末を見守ろう。

【ストーリー】
「スターフィッシュ計画」での負傷から一命を取り留めたピースメイカーは、引き続きアマンダ・ウォラーの監視下で、蝶型の地球外生命体を駆除する新任務「バタフライ計画」を命じられ、彼女の部下・エミリアらと寄生された人間たちの調査にあたるが…。

【キャスト】
ジョン・シナ、ダニエル・ブルックス、ジェニファー・ホランド、ロバート・パトリック

【スタッフ】
監督・脚本:ジェームズ・ガン

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