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『F1/エフワン』常にトップのスターが演じる孤高の一匹狼(マーヴェリック)。それこそが勝利のFormula(方程式)。

◆今週公開の注目作

『F1/エフワン』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

現在、ハリウッドの最前線をひた走るトップスターと言えば誰か。そのひとりは間違いなくトム・クルーズだろう。そして、それは数十年前から変わっていない。全くもって恐るべきことだが、『トップガン』から36年後に作られたまさかの続編『トップガン マーヴェリック』を見た誰もが、彼が未だに頂点であると確信したはずだ。同作の監督であったジョセフ・コシンスキーへの信頼感もグッと高まった。あれから3年、コシンスキーはまたも、クルーズと同様に数十年間にわたり常にトップであり続ける大スターと組むことになった。ブラッド・ピット主演の『F1/エフワン』だ。本作には『トップガン マーヴェリック』のようにシリーズ前作があるわけではないが、それは大きな問題ではない。“空”を掌握したコシンスキーは、今度はピットとともに“陸”を手中に収めようとしている。

F1と聞いて、誰もがある程度のイメージはできるはずだ。世界中で実に数億人のファンがいると言われるモータースポーツだ、当然だろう。だが、細かいところまでは意外に知られていないかもしれないので、ここでおさらいしておこう。まず、F1の競技人口は世界で何人か。20人だ。これは冗談でも何でもなく、もちろんステップアップの段階でいくつものレースがあるが、トップのF1という舞台に上がれるのは20人までなのだ。1チーム2人なので、チームも10しかない(現在25歳の日本人ドライバー、角田裕毅もその中にいる)。また、F(フォーミュラ、規定)というだけあり、レースのルールやF1カー自体の作りにも厳格な決まりが定められており、ドライバーたちはその中で1秒……いや、0.01秒、0.001秒でも早いゴールを競っている。

しかし、勝利に寄与するのはドライバーの腕だけではない。F1カーはレースの途中で消耗の激しいタイヤを交換するためにピットに入るが、交換にかかる時間は何と2秒程度! 最短記録は驚愕の1.82秒だ。実際に動画を見てみるとマジックのようにしか見えない。常人には想像もできないほどの俊敏さ、正確さだ。とは言え、たとえ1秒でも作業が長引くと、1000分の1秒を競う世界においては恐ろしいほどのタイムロスとなる。レース時の平均速度を約230km/hとすると、F1カーは1秒あれば約64mも進む。だからこそ、レースはチーム競技なのだ。コースは環状(サーキット)で、日本では、無類の速さを誇った名馬サイレンススズカの名前の由来となった鈴鹿山脈がある三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットが有名。ちなみに、サイレンススズカが生まれたのは伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナが事故死した日と同じだが、それだけの速度でコースを駆け抜けるドライバーは常に死と隣合わせだ。

本作でブラッド・ピットが演じるかつての天才ドライバー、ソニー・ヘイズも、セナの事故の影響で長らく最前線から遠のいている。一匹狼なヘイズだが期待のルーキーとチームを組まされカムバック、そして頂点の栄光を掴まなければならなくなるのだ。カメラをコックピット内に置いて驚愕の臨場感を演出していた『トップガン マーヴェリック』の撮影技術を進化させ、観客もヘイズとともにGを感じ、クラッシュすればともに散りそうになるほどの没入感を生み出している。揚力を利用する戦闘機とは逆に、地面に車体を押さえつけるダウンフォースを利用し地を這うように疾走するF1カー。『トップガン マーヴェリック』とは真逆のようでいて、描いているのは実は同じ精神だ。自分を超えるのは、常に明日の自分。今後AppleTV+での配信もされるだろうが、自分の限界突破に必要なパワーを求めているのなら、すぐに劇場に暴風を感じに行くほかない。

【ストーリー】
伝説的元カリスマF1レーサーのソニーは、最弱のF1チームを救う為、現役復帰を果たす。常識破りなソニーの振る舞いに、チームメイトである若きルーキーやチームメンバーは困惑し、度々衝突を繰り返すが、次第に圧倒的なソニーの才能と実力に導かれていくー。果たしてソニーは、バラバラのチームと共に過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵たちを相手に逆転できるのか?!それぞれの情熱と誇りを胸に、命がけで夢<スピードの頂点>に挑む!

出演:ブラッド・ピット/ダムソン・イドリス、ケリー・コンドン/ハビエル・バルデム

監督:ジョセフ・コシンスキー『トップガン マーヴェリック』
プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー『トップガン マーヴェリック』
脚本:アーレン・クルーガー『トップガン マーヴェリック』 
配給:ワーナー・ブラザース映画 

公式サイト:f1-movie.jp

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