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『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』きっと夢は叶う。……悪夢だって。

この映画は、つまり―
  • 悪夢のようなSFホラー
  • 考察好きなあなたに
  • この夢が終わったら、“二度寝”しよう

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◆配信中の注目作

『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』(2024)

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

映画は夢である。現実には起こり得ないようなハッピーな出来事、または悲劇を描くことで、観客に(悪)夢を見せられる。だがそれ以前に、単純に映画を見るのと夢を見るのは体験として似ている。目を開けているか閉じているかの違いはあれど、勝手に流れ続ける映像をただ見続けるしか選択肢はないのだ。本作『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』の主人公サラは不眠症で、眠れてもすぐ悪夢で飛び起きる生活を送っており、観客は彼女とともに不気味な脳内イメージに怯え続ける体験を強いられる。ちなみに本作は、未公開映画がまとめて公開されるマイナー映画好き御用達のイベント「未体験ゾーンの映画たち」の2024年セレクションの1本でもある。

ジャンルを一言でいうとSFホラーだ。サラは母親との関係が良くないらしく、顔を合わせないようほとんど自宅に帰っておらず半分家出状態であり、公園か友人宅で寝泊まりしている。学校でもずっと眠い顔のサラだが、ある日寝るだけで報酬がもらえるバイトを見つけ、睡眠の実験に参加することに。この実験は、睡眠時の脳が見ている映像をモニターに映し出そうとする画期的なものだったが、被験者全員の夢の中に謎の黒い人影が現れはじめ……。果たして、サラは最終的に死んだように眠れるのか。それとも、眠るように死ぬ?

本作はかなり“雰囲気映画”だ。観客に対しての説明があまりないので、“夢分析”とでも言おうか、観客側が積極的に内容を汲み取ろうとしないと楽しめない。例えば、サラの不眠症や母親との関係悪化の原因についてなど、当然観客が気になる部分にも触れない。『インセプション』の中では、「どうやってここに来た?」という問いによって自分が今いる場所が夢か現実かを判別できていたが、本作では「どうしてこうなった?」のかが中々分からなく、捉えどころがない。そういう意味でも、夢を見ているのに近い。ただし、雰囲気映画と言った通り、雰囲気は抜群に良い。夢を可視化する“夢の機械”は思いっきりレトロな外見で愛着が湧くし、スマホは登場するが時代感が曖昧だ。この辺りは『イット・フォローズ』にも通ずるだろうか。

実験が進むにつれ夢に現れる、男性型の黒い人影(もしやTHIS MAN!?)は、徐々に現実にせり出してくる。タイトルの「COME TRUE(叶う、現実になる)」の通りだ。悪夢の映像は不気味ながらジャンプスケアはほとんど使われないので、ホラーというよりアート映画的でもある。非常に静的な作品であるため夢の世界に誘われる者も多そうではあるが、最後の最後に目が覚めるような大きな謎を観客に与えて終わるなど、意欲的な作りなのは間違いない。繰り返し見てやっと内容が理解できるタイプと言える。もしもあなたが好き者ならば、夢中になったらいかがだろう?

【ストーリー】
不眠症に悩む高校生のサラは、睡眠を利用したとある臨床試験に参加する。被験者の夢の中に現れる人影。次々と奇妙なことが起こり、サラもより深い闇へと飲み込まれていく……。

【キャスト】
ジュリア・サラ・ストーン、ランドン・リボアイアン、カーリー・リスキィ、クリストファー・ヘザリントン、テドラ・ロジャース 他

【スタッフ】
監督:アンソニー・スコット・バーンズ
脚本:アンソニー・スコット・バーンズ、ダニエル・ワイセンバーガー

 

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