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『呪われし銀』雄弁は銀、沈黙も銀。巡り巡る呪いを打ち消す解決策(シルバーブレット)は存在するのか?

この映画は、つまり―
  • “ジェヴォーダンの獣”をモチーフにしたホラー
  • 写真家でもある監督が作り出す陰鬱な雰囲気
  • ハッキリ見せる怖さと、ボンヤリ見せる怖さ

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◆配信中の注目作

『呪われし銀』

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

これまた異様な雰囲気に包まれた作品が現れた。19世紀末のフランスを舞台にしたゴシックホラー、『呪われし銀』だ。面白いことに、主人公で病理学者のマクブライドは“ジェヴォーダンの獣”の惨劇に関わったというキャラクターになっている。ジェヴォーダンの獣は、実際の歴史にも残っている、フランスで多くの死者を出したとされる狼に似た正体不明の生き物だ。まあ、史実では18世紀のフランスに現れたとされているので、本作の時代とは100年以上の開きがあるのだが、史実を絡めたフィクションならではの魅力がしっかりある。

本作はトリッキーな構成になっており、最初は19世紀末ではなく20世紀初頭、第一次世界大戦のソンムの戦いで始まる。最大にして最も悲惨だったと言われる戦闘なだけあって、このシーンの凄惨さには目を背けたくなる。ホラーと間違えて戦争映画を見始めてしまったかと思うほどだ。逆に言えば、この時点で残酷描写に関して力が入っているのは痛いほどよく分かる。ある軍人が撃たれ瀕死の重傷を負い、治療のため体内の銃弾が取り除かれている最中に、普通の弾丸に混じって銀の弾丸が出てくる。なぜ? そして場面が変わり、ある女性が誰かの死に目に立ち会おうとしているところで時間が35年遡り、本編開始となる。何だ? 一体何が起こっているんだ!?

ジェヴォーダンの獣と、銀の弾丸。もう察していただけたかと思うが、本作はあるモンスターについてのホラーである(一応伏せておく。沈黙は“銀”だ)。マクブライドはジェヴォーダンの獣を追ってある村を訪れるが、村はやはり凄惨な事件を経験した後だった。事件には曰く付きの銀が関わっており、事件後にそれに関わる人々をモンスターに変えていってしまう。この銀が、雄弁と言うにはあまりにも耳障りな阿鼻叫喚の地獄の始まりとなるのだ。だが明らかに、例のモンスターを沈黙させられるのもこの銀のはず。冒頭の戦争とどう繋がっていくのかが予想できない中、我々はモンスターによる失踪・殺人事件をマクブライドとともに追いかけることになる。

 

監督は若くから写真家として活動してきたショーン・エリスで、撮影も担当しているので、雰囲気は抜群だ。マクブライドが泊まり込む屋敷は暗い森と深い霧に囲まれ、すぐ近くに何者かが潜んでいそうな不気味さがある。「One for Sorrow, Two for Joy(1羽は悲しみ、2羽は喜び)」……と続くカササギの数え歌を基にしたと思われる歌が劇中に登場し、それもまた良い味を出している。ちなみに、実際の数え歌では「Five for Silver(5羽は銀)」だが、本作の原題も劇中の歌でも「Eight for Silver(8羽は銀)」になっているのが意味深だ。人体破壊をモロに見せたかと思えば、何かが起こったりナニカがいるのをあえて遠くに映すロングショットも使われており、恐怖演出にはしっかり緩急がついている。ハリウッド映画とは全く違う空気感のホラーを求めているなら、本作は地味ながらも期待に答えてくれる大銀星になってくれるのではないだろうか。

【ストーリー】
19世紀後半のフランス。報復を求めて暗い過去をもつ村にやってきたよそ者は、村人たちを襲う恐ろしい悲劇の連鎖を止めるため調査に乗り出す。

【キャスト】
ボイド・ホルブルック、ケリー・ライリー、アリスター・ペトリ 他

【スタッフ】
監督・脚本・製作・撮影:ショーン・エリス

 

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