サイテーだけどサイコー！(一部で)話題沸騰中??「#映画の中の忘れられないババア」特集！

2023.06.05

この頃、あるハッシュタグがツイッターを(局所的に)賑わせています。その名も「#映画の中の忘れられないババア」！　女性に向かってババア呼ばわりするとは何事か？　ぐうの音も出ないほど正論です。しかし、例えば『天空の城ラピュタ』に出てくるドーラのように、畏怖や敬意の念を持って「ババア」と呼んでしまいたくなるキャラクターは山ほどいます。今回はそのような一度見たら忘れられないババアたちを4人紹介します！

文：屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

恐怖！一時停止ババア
1.『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり』(2019)

『IT/イット』と言えばペニーワイズ？　いやいや、もしかしたら本作の場合は別のキャラクターの方がより印象的かもしれません。主人公チームの紅一点ベバリーは、27年前に住んでいた部屋を訪れます。すると、カーシュ夫人という、お客さんをお茶と怖い話でおもてなしする至って普通のババアが出迎えてくれました。ババアはベバリーをビビらせた後、リアクションを見るために最高の笑顔のままで微動だにしません。その間約12秒。しかも、暑いからと言ってお客さんが見てないうちにすっぽんぽんになり、踊るような動きでカクカク歩きます。気になるその正体は何とビックリ人間ではなく、目の離れた歯抜けモンスター！　うん。分かってたよ。

監督：アンディ・ムスキエティ
出演：ジェームズ・マカボイ、ジェイ・ライアン、ビル・ヘイダー、ジェシカ・チャステイン、アンディ・ビーン、イザイア・ムスタファ、ジェームズ・ランソン、ビル・スカルスガルド　他

https://twitter.com/i/status/1189466975409360901

害悪！狂信者扇動ババア
2.『ミスト』(2008)

トラウマ映画として名高い『ミスト』。クトゥルフ神話の化け物と虫が合体したようなモンスターと、最悪すぎるオチが観客を苦しめますが、最も不快感を与えてくるのは主人公たちとともにスーパーに立てこもったカーモディさんです。キリスト教を狂信し、モンスターの襲撃は天罰などと言って人々を扇動、短時間で宗教グループの教祖的存在に上り詰めます。何という才能の無駄遣い。このババアから敵と見なされればもう命はありません。信者によって外に放り出されます。しかし、真に怖れるべきは遠くのモンスターより隣のクレイジーババア。スーパーを出た方が生存率が上がりそうです。もう！　塩まいときなさい、塩！

監督：フランク・ダラボン
出演：トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、ネイサン・ギャンブル、トビー・ジョーンズ、マーシャ・ゲイ・ハーデン　他

不気味！包容力MAX白塗りババア
3.『スケアリーストーリーズ怖い本』(2019)

今回紹介する中で一番優しそうなのがこのババア。実は人間ではなく、呪いの本から現実世界に出てきた“ペール・レディ(青白い女)”と呼ばれる化け物です。全身は真っ白で、人間の皮を張り付けたような笑顔をした肉の塊で非常に不気味。でもすごく優しいスマイルだし、包容力があるんですよ。彼女に気に入られたらもうおしまい。遠くからゆっくり、しかし着実に近づいてきて、どこに逃げても常に目の前に現れます。しかもどんどん数が増える！　もし捕まって柔らかい腕でギュッと抱きしめられたなら、おめでとう、ババアの中に取り込まれふたりは永遠に一緒です。もはや結婚ですね。ゴーン。

監督：アンドレ・ウーブレダル
出演：ゾーイ・マーガレット・コレッティ、マイケル・カーザ、ガブリエル・ラッシュ、オースティン・ザユル　他

勇猛！クマ成敗ババアたち
4.『デンデラ』(2011)

ここまでババアが勢ぞろいしている作品も珍しいですね。姥捨ての風習がある村から追い出されたババアたちは、辛酸を舐め、樹液も舐め、知恵を活かししぶとく生き残って雪山の中に50人のババア共同体「デンデラ」を作ります。メンバーは100歳のデンデラ創設者ババア、眼帯ババア、アーチャーババアなどバラエティ豊か。ババアたちが村人への復讐に向けて爪を研ぐ中、突如、ヒグマに襲われたことから死闘のはじまりはじまり。しかし山に捨てられた時点で一度死んだ身。もう怖いものなど何もない！多くの仲間を殺されながらも戦い続けるババアの勇姿は、まさに『マッドマックス怒りのデス・ロード』の「鉄馬の女たち」。見届けよ！その生き様と死に様を！

監督：天願大介
出演：浅丘ルリ子、草笛光子、倍賞美津子、赤座美代子　他