何を間違えたのか?でも愛さずにはいられない!「絶望的アメコミ映画特集」
今や、洋画の中でアメコミの位置は絶対的だ
2022年の上半期でいっても『スパイダーマン:ノーウェイホーム』『ドクターストレンジ:マルチバーズ・オブ・マッドネス』は堅調だし、コロナ前の2019年は『アベンジャーズ/エンドゲーム』『ジョーカー』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』2018年『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『デッドプール2』『ブラックパンサー』などビッグヒットが居並び、まさに隆盛を極めている感があります。
これ実はひと昔までは、全然そんなことなくて、70年代の「スーパーマン」80年代の「バットマン」は別格として、その他はほとんど映画として作られてない。
この流れに一石を投じたのが2002年のサム・ライミ版『スパイダーマン』で、75億円を超えるメガヒットを記録、それ以降、おっさん系アクション洋画に飽きていた若者を虜にするブロックバスターアメコミ映画がどんどん作られていくことになります。
しかし、どの業界にも落ちこぼれというか変わり者がいるわけで、今週は「絶望的アメコミ映画特集」ということで、何か間違えてしまったのか?でも愛さずにはいられないというアメコミ映画を紹介します。
新作「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」公開されるので、それも楽しみです。
①『グリーン・ランタン』(2011)
監督:マーティン・キャンベル
キャスト:ライアン・レイノルズ、ブレイク・ライヴリー、ピーター・サースガード、マーク・ストロング、アンジェラ・バセット、ティム・ロビンス
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何を間違えた?
ランタンという緊張感のなさとアメコミ屈指の大所帯?
主演はいまときめく「デッドプール」のライアン・レイノルズ。そのデッドプールでいじられてたDCヒーローがこのグリーン・ランタン。まず名前が究極ダサい。キャンプか?ただしコイツが付けているパワーリングは想像さえできれば無限のパワーを出すことができる必殺の武器なのだ。ライアン・レイノルズ演じる主人公の戦闘機乗り、ハル・ジョーンズは、死に際の一代目グリーン・ランタンから、ほとんどダライ・ラマのように後継者に指名される。全く心の準備なくグリーン・ランタンになってみると、緑色の簡素なコスチュームの割にそのパワーのすごいこと。宇宙もひとっとび!さらびっくりはこのグリーン・ランタン、一人じゃない。同時期公開のライバルのマーベルのメガヒット「アベンジャーズ」がマックス20人くらいのチームなら、こっちはなんと3000人超ものグリーン・ランタンがいる(勝った!?)。つまり人間だけなく顔かたちの全く違う異星人も無理にそのグリーンスーツを着こなしているのだ!これならヒーローにありがちな「特殊能力だれもわかってくれない」症候群などの悩みの心配もない。とにかく圧巻?である。
②『スポーン』(1997)
監督:マーク・A・Z・ディッペ
キャスト:マイケル・ジェイ・ホワイト、ジョン・レグイザモ、マーティン・シーン、テレサ・ランドル
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早すぎた?
グロカッコいい、こだわり過ぎなダークヒーロー!
マーベルでもない、DCでもないスーパークールな暗黒ヒーローがいた!トッド・マクファーレン原作のスポーンは多くの人はフィギュアから入っているのではないでしょうか?これがめちゃくちゃカッコイイ!赤い巨大マントと、チェーン、スパイク、両腕の鉤爪など邪悪なギミックを装備した、デビルマン好きな日本人にはたまらないヒーローなのです(何パターンもあった)。ただこれ解説を見てみるとちょっとエグイ。スポーンを構成するのは魔界の寄生虫で、かっこいいのはそれにのっとられたお姿。中の人=アル・シモンズ(黒人・死人)の顔は赤くただれており、もちろん魔力で普通の人間に化けることもできるが白人にしかなれないため、黒人であることにプライドを持つアルはやらないという謎のおこだわりぶり。
GAGAが配給した97年公開の「スポーン」はダークヒーローにふさわしい邪悪風味のSFX満載でニッチな人気を獲得していた。これが、「ヴェノム」をはるかにさかのぼる20世紀にできていたとは早すぎるグロヒーロー。暗黒の現代に復活してほしいです。
③『ゴーストライダー2』(2007)
監督:マーク・ネヴェルダイン、ブライアン・テイラー
キャスト:ニコラス・ケイジ、ヴィオランテ・プラシド、キアラン・ハインズ、イドリス・エルバ、ジョニー・ホイットワース、ファーガス・リオーダン、クリストファー・ランバート
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強すぎた?
「ニコケイ映画」の棚に入れられたしまった悲劇の最強アメコミヒーロー!
以前、アメコミライターの杉山すぴ豊さんに最強のヒーローは誰ですか?ときいたところ
む?と考えて「ゴーストライダー!」と答えてたのを覚えている。
ドクロの顔でバイクにのって鎖を振り回している奴というだけでは全然「地上最強」を実感できないが、確かにちょっとマーベル資料を調べるとドクター・ストレンジは、パワー全開であれば最強モードのハルクを倒せるはずだと考えていたとか、デッドプールを一時的に正気に戻したことまであったとか。何が凄いのかよくわからないが傍証が出てくる。そもそもこのヒーロー、悪魔その契約不履行によって「スピリット・オブ・ヴェンジャンス(復讐の精霊)」となった男なので、もはや人間ともいえず、死んだものは死なないの理屈で言えば最強なのかもしれない。公式設定では彼の防御力はクラス7(最高クラス)であり、つまりほとんどの物理攻撃は効かないのだ。つまり彼は無敵とはいえる。
だとすれば、申し訳ないがアベンジャーズに是非参戦してほしいと思うのは私だけではないだろう。(私だけか。。)
とはいえ、このケレン味溢れすぎるルックと動きによって、MCUより、むしろニコラス・ケイジに世界観として寄ってしまったという珍しいキャラクターである。苦笑を伴う無敵キャラ。陰ながら応援したい。
作品として「ゴーストライダー2」をあえて挙げたのは、VMAXというヤマハのバイクが、1の腑抜けたハーレーより100万倍かっこいいからです。
④『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』
監督・製作:フィリップ・ラショー
キャスト:フィリップ・ラショー、ジュリアン・アルッティ、タレク・ブダリ、エロディ・フォンタン、アリス・デュフォア、ジャン=ユーグ・アングラード、アムール・ワケド
7月15日(金)より全国ロードショー
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://badman-hero.com/
©CINÉFRANCE STUDIOS – BAF PROD – STUDIOCANAL – TF1 STUDIO – TF1 FILMS PRODUCTION ©STUDIOCANAL ©Julien Panie
ヒーローは勘違いから生まれる?
記憶をなくした売れない役者が覚醒する。世界の運命は勘違いヒーローに託された!?
心が折れかけていたダメ役者が、新作映画「バッドマン」の主役に抜擢される。そう、「バットマン」ではなく「バッドマン」だ。“バッドモービル”に乗り、宿敵“ピエロ”と戦うヒーロー映画。このチャンスを逃してはならないと、彼は体を鍛え上げ、武術を学び撮影に挑む。戸惑いながらも撮影初日が順調に終わろうとする中、妹から父親が倒れたという知らせが入る。焦ったセドリックは、バッドスーツのままバッドモービルに乗り病院へと急ぐが、その途中で事故に遭い気絶してしまう。そして目を覚ますと、自分の名前や過去の記憶を失っていた―。
あるのはこのコスチュームだけ「・・・・。」
そして誕生するヒーロー。
悲喜こもごもの参院選を終えた日本で改めて再認識する「ヒーローとは信じる力」だということ。
何もなくなった後でも「正義感を持っている人間」でいたいものです。
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