MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『X エックス』公開記念!唯一無二の面白さを追求するA24が贈る、得体の知れない怪作4選!

7月8日(金)より、近年注目が集まっている映画スタジオ、A24製作のホラー映画『X エックス』が公開されます。A24製作の作品は、アカデミー作品賞他数多くの賞に輝いた『ムーンライト』のようなクオリティの高さで知られていますが、配給のみ行った作品にも独特の面白さがあり、確かな審美眼を持っていると言えます。そして、手がけた中には名作だけでなく怪作も山ほど。そこで今回は、まさに“X(正体不明)”としか表現しようがないA24作品4本を紹介します。

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

 

①『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018) ※配給のみ
監督:デビッド・ロバート・ミッチェル
出演:アンドリュー・ガーフィールド、ライリー・キーオ、トファー・グレイス

Amazonプライムで視聴する→こちら
U-NEXTで視聴する→こちら
AppleTVで視聴する→こちら
dTVで視聴する→こちら

〈ハリウッドで成功する鍵は“骨”〉

ハリウッドでの成功を夢見て近くの街シルバーレイクに移り住んだものの、芽が出ないままくすぶっている“馬の骨”、33歳のサム。一目惚れした隣人の美女サラが失踪したことから探偵のように彼女の痕跡を追っていきますが、行く手にはポップカルチャーに関連した暗号のようなサインや陰謀の匂いが…。これは展開が全く予想できないミステリーです。なぜなら、サムがヒントだと思っているものが本当にそうなのかが不確かだからです。逆再生するとメッセージが浮かび上がるレコードや、秘密結社の存在について聞いたことは? 実にロマンを感じるワードだと思いませんか? もし感じたならば、「コツ(漢字で書くと「骨」)さえ知っていれば成功できる」と思い込んでいるサムと同じ道をたどるかもしれません。成功に近道はなく、地道に努力する“気骨”が求められる…、それは分かっているけれど、もしかしたら…。非常に入り込みやすく、抜け出せない蟻地獄のような作品です。凡骨のまま終わりたいと思う者などいませんからね。

②『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017) ※配給のみ
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、バリー・コーガン、ラフィー・キャシディ

Amazonプライムで視聴する→こちら
U-NEXTで視聴する→こちら
AppleTVで視聴する→こちら
dTVで視聴する→こちら

〈全ての命が平等ならば…〉

心臓外科医のスティーブンは、救うことができなかった男性の息子であるマーティンを気にかけていました。マーティンは一家とも親しくなる中で、スティーブンを父のように慕っていきますが、ある日突然一家の長男ボブの足が麻痺したのを皮切りに、スティーブン以外の家族に異変が起き始めます。態度が豹変したマーティンが提示した“解決策”は、「父を奪った代わりに、スティーブンも自分の家族を一人殺さなければならない」というものでした…。人命を救う力を持つ医者が神だとすれば、さしずめマーティンは死神。演じているバリー・コーガンの不気味さが際立っていて、リアルな話というよりも、監督がギリシャ出身だけに不条理な神話のよう。ですが、よく「全ての命は平等」と言います。それが本当ならば、マーティンの言い分にも一理あります。しかし実際には、医者によって救われる命があれば救えない命もあります。不平等です。それでも…やはりマーティンが正しいと言えるでしょう。死こそ全ての人に平等に訪れるのです。

 

③『イット・カムズ・アット・ナイト』(2017) ※配給兼製作
監督:トレイ・エドワード・シュルツ
出演:ジョエル・エドガートン、クリストファー・アボット、カルメン・イジョゴ、ライリー・キーオ

Amazonプライムで視聴する→こちら
U-NEXTで視聴する→こちら
AppleTVで視聴する→こちら
dTVで視聴する→こちら

〈この「死に至る病」は実在する?〉

致死率の高い未知の病気が蔓延した世界。ポールの一家は感染を避けるため、森の奥にひっそりと暮らしていました。しかしある日、ウィルと名乗る男とその家族が助けを求めてやってきたことから事態が徐々に悪化。2つの家族はお互いに感染しているのではと疑い始め、恐怖は歯止めが効かなくなって…。本作にはゾンビは出てきませんが、ゾンビによる文明の崩壊を描くゾンビ・アポカリプス映画に近いところがあります。とは言え、予言的な内容にも思えるこの筋書きを、単なるフィクションと笑い飛ばせる人はもはやいないでしょう。ペストなどの新たな病によって人類は甚大な打撃を受けた過去もありますし。しかし、本作で描かれる病気には不自然な点がいくつかあります。そもそも病気は、タイトルのような「夜にやってくる」ものではありません。 登場人物たちは何によって命を落とすのか。不可解な謎の多い映画ですが、もしかしたら、その原因は我々にも馴染み深いモノかもしれません。

③『ライトハウス』(2019) ※配給兼製作
監督:トレイ・エドワード・シュルツ
出演:ジョエル・エドガートン、クリストファー・アボット、カルメン・イジョゴ、ライリー・キーオ

Amazonプライムで視聴する→こちら
U-NEXTで視聴する→こちら
AppleTVで視聴する→こちら
dTVで視聴する→こちら

〈“実際に”灯台は人を狂わせる〉

19世紀末、ニューイングランドの孤島で、2人の男が灯台守の任につきます。反りが合わないベテランのウェイクと新人のウィンズローは、4週間という短く長い期間と訪れた嵐によって少しずつ正気を保てなくなり…。灯台は船を導くものですが、足元には闇が広がっています。新人をこき使う上司、外界から隔絶された環境など精神に多大な負荷をかける嫌な要素に溢れており、極めつけは灯台が発する轟音。狂気を体現したような作品ですが、本作の元ネタのひとつには、1801年の実話「スモールズ灯台の悲劇」があります。2人の灯台守のうち一方が死に、もう一方が狂った、という話です。しかし、単純にその顛末を描いているわけではなく、人魚が登場するなど現実離れした描写とモノクロの映像も相まって、やはり神話のように見えます。そして「灯台」の名を冠した本作は、2人の男だけでなく観客の理性をも侵食していくのです。光に目を焼かれた後に残るのは、やはり闇のみ。

 

いかがだったでしょうか。

鑑賞後、何が面白かったのかを言語化できる映画には確かな面白さがあると言えるでしょう。でも、よく分からないけれど見入ってしまう、という論理を超えた面白さを感じられる映画はさらに貴重なもの。あなたはもう元には戻れません。怪作の世界に魅入られてしまったのですから…。

 

【ストーリー】
1979年、テキサス。女優のマキシーンとそのマネージャーであるウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優のジャクソンは自主映画監督の学生RJと、その彼女で録音担当の学生ロレインと映画撮影のために借りた農場へ向かう。映画のタイトルは「農場の娘たち」。この映画でドル箱を狙う――6人の野心はむきだしだ。農場で彼らを待ち受けたのは、みすぼらしい老人ハワード。彼らを宿泊場所として提供した納屋へ案内する。一方、マキシーンは、母屋の窓ガラスからこちらを見つめる老婆と目が合ってしまう……。

【キャスト】
ミア・ゴス、ジェナ・オルテガ、ブリタニー・スノウ、スコット・メスカディ(キッド・カディ)、マーティン・ヘンダーソン、オーウェン・キャンベル、ステファン・ウレ

【スタッフ】
監督・脚本:タイ・ウェスト

提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:X|R15+|2022年|アメリカ映画|上映時間:105分
©2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.
公式HP:https://happinet-phantom.com/x/
公式twitter:@xmovie_jp

7月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

 

関連記事

A24『X エックス』デザイナー大島依提亜&映画ライターSYO登壇、試写会トークイベントレポート「誰もが気軽に楽しめる最高の映画」

セバスチャン・スタン、A24の奇妙な新作スリラー『A Different Man(原題)』に出演決定!

A24最新作『Men(原題)』のアレックス・ガーランド監督、アニメ『進撃の巨人』から影響を受けたと語る!?

A24が北米配給権を獲得!禁断のネイチャー・スリラー『LAMB/ラム』今秋公開決定&特報映像解禁!