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【プロが見たこの映画】文学系女子が語る「予想を裏切られた2つのこと」

先日、『ザ・クリエイター/創造者』を観た。
映画を観る前の私は、舞台はAIと人間が戦争状態にある近未来で、最大のみどころは恐らく激しい戦闘やアクションだろう、となると、正直大体ストーリーは予想がつくなあ…なんて思っていた。
このことを鑑賞し終えた今、とても深く反省している。
なぜならこれまでに見たことのない光景と、深いメッセージ性が込められており、良い意味で大きく予想を裏切られたからだ。

まず、圧倒されたのは世界観だ。
“AIの存在が身近になった50年後の未来”と言われると、つい、空には車が飛び交っていたり、人々が今でいうスマホの最新型を持っていたり、最先端技術を駆使した3Dやら4Dやらの電工掲示板がそこら中にあるような都市が舞台の中心だろうと思い込んでしまっていた…。
確かに、そのような未来型の都市も出てくるのだが(しかも日本の渋谷・新宿が元になっている…!)、一方で、本作の中心となるのは田畑や山々など自然溢れる”ニューアジア”と呼ばれる世界だ。
自然に囲まれて生きる人々の中にAIロボットたちが溶け込んでいるという見たことのない光景に衝撃を受けた!なんとAIロボットたちが人間と共に田植えをしているのだ!
さらに不思議なことに、初めはそれらの光景に驚いていたのだが、映像のクオリティが高いが故にしばらくすると日常にAIロボットがいる光景に全く違和感を感じなくなっていたのである。
この驚くほどリアルな世界観を堪能するためだけでも、この映画を見る価値があると思う。

もう1点の予想を超えてきたこととは、作品に込められたメッセージ性だ。
これまでもAIを題材にした作品で何度も問いかけられてき“AIにも感情があるのか?”ということが、本作でも投げかけられているのだろうと思っていたのだが、こちらもどうやら完全に侮っていたようだ。
本作ではその問の答え以上のことが間違いなく描かれている。
AI と人間が戦うことになる根本的な理由は、AIを受け入れるか派か受け入れない派という単純な2択論争ではない。その根本的な要因は人の心理というか道徳的な問題で、それは偏見や差別ということにも通じるものでもあり、悲しくも戦争が身近になっている現在だからこそ深く考えさせられるものがあった。

この作品を観た後の自分は観る前よりも、自分とは異なる考えを持つ人の言葉にも耳をかけるようとしている気がしている…。
余談だが、私の中で全人類が観たら世界が幸せになると思う作品のラインナップに本作は見事ランクインした。
(ちなみに、このラインナップにおける邦画のトップは石井裕也監督の『町田くんの世界』である。その話はまたいつか…)

とにもかくにも、ぜひとも、”今”多くの人に観てもらいたい。
そして、一日でも早く世界が平和になることを心から願って止まない。

 

真面目が取り柄の文学系女子 kimurama

 


ザ・クリエイター/創造者
10月20日(金)全国公開

監督・脚本:ギャレス・エドワーズ
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、渡辺謙、ジェンマ・チャン、アリソン・ジャネイ、マデリン・ユナ・ヴォイルズ 他
(C)2023 20th Century Studios

 

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