ドラマ「5つの歌詩（うた）」レビュー：4回泣いた！共感しすぎるドリカムドラマ、これは「私」の物語..

2022.08.04

文：片山大輔（映画と珈琲とキット・フィストー）

GReeeeNの「キセキ」や「愛唄」、中島美嘉の「雪の華」、MONGOL800の「小さな恋のうた」など、ヒット曲が続々と映画化されるなか、2022年の夏、世代を超えて愛されるバンド DREAMS COME TRUEの楽曲もまた、新しいカタチに彩られる。オリジナルドラマプロジェクト「５つの歌詩(うた)」だ。一流アーティストの“歌詩”の世界を独自の解釈で、超一流の脚本家・スタッフとともに、ドラマに仕立てるという素敵なプロジェクトとなっている。

“聴こえてくるのは「あなた」の物語。”と題された今回のドラマプロジェクトでは、ドリカムの数ある楽曲の中から、「空を読む」「マスカラまつげ」「TRUE, BABY TRUE.」「何度でも」の4曲と、このドラマ企画のために新たに書き下ろされた「新曲」の計5曲が映像化される。

今やドリカムの代表曲の一つともいえる「何度でも」は、フジテレビ系ドラマ『救命病棟24時（第3シリーズ）』の主題歌のために書き下ろされた楽曲であり、NHK紅白歌合戦でも歌唱されたので、一度は聴いたことがある人も多いのではないだろうか。ドリカムファンであれば、もちろん知っているだろう「空を読む」「マスカラまつげ」「TRUE, BABY TRUE.」の3曲。筆者もドリカムの楽曲はいくつか知っているが、これらの曲は聴いたことがなく…。そんな人間でも、「５つの歌詩(うた)」は「私」の物語になるのか。ドラマを拝見した感想を正直にレビューし、作品の魅力を解説していく。

[#1] 2つの時代と3人の関係を描いた「空を読む」

結婚13年目。倦怠期を迎えた夫婦を貫地谷しほりさん（妻）と三浦貴大さん（夫）、妻の元彼を渡辺大知さんが演じている。ストーリーに関しては、｢大人の三角関係｣と｢言葉で伝える大切さ｣の2つのポイントがキーになるかと。大人の三角関係について、三浦さん演じる泰輔と渡辺さん演じる光太の性格が正反対のため、妻に対しての愛情の注ぎ方が二通りあり、でも、どちらも100%正解ではない。その足りない部分が言葉で伝える大切さであるということ。さまざまな伝達手段のツールがある令和を舞台に、大人の恋愛を通して、“言葉で伝えることが大事”だというメッセージ性のある仕上がりになっている。楽曲とのマッチ度合いも3人の心情を歌っているかのような、ドラマとの相性の良さを感じた。

[#2] 恋愛、友情、仕事・・・一人の女性として、前を向いて歩きだす「マスカラまつげ」

高校生のときの失恋から、恋愛に自信を持てない咲良を高梨臨さんが演じている。恋愛、友情、仕事・・・それぞれに悩む世の女性には、刺さるというか、自分だけじゃない、寄り添ってくれる、励みになる。そんな立ち位置のドラマになっている印象を持った。こちらも楽曲との相性は素晴らしく、ラストシーンの高梨臨さんの表情、そして、ドリカム吉田さんの｢マスカラのまつげに♪｣の歌い出しが完璧にリンクし、間違いなく感情を揺さぶられた。

[#3] 時空を超えて、深い絆で繫がる親子の愛を描いた「TRUE, BABY TRUE.」

母親が子を想う気持ち、この気持ちに勝るものはないと実感した。タイムスリップ要素が加わり、新川優愛さん演じる美月と望月歩さん演じる陽翔の距離が物理的に離れたことで、この“気持ち”の部分がよりわかりやすくなったかと思う。タイムスリップ要素についても、複雑な設定ではないため、物語の本筋を邪魔することなく、あくまで要素の一つとして最適だった。劇中『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の話が出てくるが、まさに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の親目線版のような、SFと親子愛を組み合わせたことにより、普遍的な親子愛にならず、物語として純粋に楽しむことができる。そして、思わず目頭が熱くなる仕上がりになっている。

[#4] 失踪した父親との過去、そして、家族と仕事「何度でも」

“親子(父と子)の関係”がテーマの一つとしてあり、その親子を取り巻く、脇の登場人物たちが、みんないい具合に作用している。誰ひとり過度に目立つわけでもなく、でも、吉沢悠さん演じる清一の成長に必要不可欠で、重要な存在だと思う。毎日、頑張って働いている日本のお父さんたちにぜひ、観て欲しい作品。今日から通勤のお供に「何度でも」はマストな楽曲になった。

1話完結型、全5話からなる「５つの歌詩(うた)」。動画配信サービス「スターチャンネルEX」で、独占配信され、初回登録後7日間は“無料体験”を実施しているので、今すぐ視聴することができる。

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テレビ離れが加速する昨今、筆者も毎週欠かさず連ドラをチェックするという習慣はほぼ無くなってしまった。しかし、「５つの歌詩(うた)」は、1話完結であり、起承転結がしっかりしているので、非常に見やすく、飽きることなく1話を完走することができる。また、ドリカムの楽曲には、だれもが共感する歌詞があり、「明日もまた、頑張ろうっ！」そんな思いにさせてくれる。だからこそ「５つの歌詩(うた)」は、ほかの誰でもない「あなた」の物語として届くだろう。

≪「5つの歌詩（うた）」配信情報 ≫

●配信「スターチャンネルEX」
配信中「空を読む」
配信中「マスカラまつげ」
08/04（木）20:00 #3「TRUE, BABY TRUE.」
08/18（木）20:00 #4「何度でも」
10/08（土）20:00 #5「新曲（※詳細は後日発表）」