【BOND60 公開記念特集】「スカイフォールへの道」(その2)/原点にして頂点。アストン・マーチンDB5の劇的復活!『007/スカイフォール』『007/リビング・デイライツ』『007/サンダーボール作戦』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
前回:【BOND60 公開記念特集】「スカイフォールへの道」(その1)/『007 スカイフォール』怒涛のアクションと郷愁に揺れ動く、最強のオープニングシークエンス!
『スカイフォール』は007シリーズの中でも屈指の名作といわれていますね。評価ランキングなどでは常に『ロシアより愛をこめて』『カジノロワイヤル』などと並んで1位の常連となっています。
でもこの『スカイフォール』、突然観たらだめです。
いや、ダメじゃない、突然見てももちろんエンタメとして十分面白んだけど、いくつか過去の007映画を経由して、“その想いを抱いて観る”とさらに味わい深い映画で、スクリーンの向こうに過去のジェームズ・ボンドが次々に脳裏をよぎる、つまりシリーズ集大成の007が見れるわけで、その意味では、これこそ紛うことなき最高傑作だと思います。
なので、今回は『スカイフォールへの道』と題して、スカイフォールをより愉しむための007シリーズ心得みたいな感じで行ってみたいと思います。
もちろんポイントは第一弾からの流れで「女とクルマと007」です。
今回は11月17日からの第二弾上映作品を基本抑えつつ語れればと思います。さあ、そんな感じで「スカイフォールへの道」いってみましょう!
原点にして頂点。アストン・マーチンDB5の劇的復活!
ジェームズ・ボンドの愛車といえば、アストン・マーチンであって、途中ロータスやBMWに浮気はしたものの、やはりここに戻ってくる基本です。
アストン・マーチンは、知る人ぞ知る英国の超高級スポーツカーメーカー。知名度はポルシェやフェラーリに及ぶべくもありませんので、そのために英国諜報部の007、ジェームズ・ボンドがセールスマンとして世界にこの車をPRしているわけです。
ボンドカーの原形たるアストン・マーチンDB5は『ゴールドフィンガー』で登場。機関銃・可変ナンバープレート・ナビシステム・車軸のカッター、煙幕・オイル散布装置・イジェクトシート・などが装備され、これぞスパイのマシンということで、驚きと憧れをもって世界のスパイ映画ファンに受け入れられます。
続く、シリーズ4作目の『サンダーボール作戦』はサイケな世界観がたまらない、ギミックがいろいろ目立った作品。コネリー=ボンドが背中に背負って飛べるロケットや、水中艇などなど。。その中でもボンドカーはさらに進化し、放水銃・せり出し式防弾装甲など、愉快な装備で楽しませてくれた作品でした。
ところが、DB5はここでお役御免となり、『女王陛下の007』ではアストン・マーチンは新型クーペ、DBSを投入しましたが、何がよくなかったのか、その後のロジャー・ムーア=ボンドはアストン・マーチンに乗ってくれませんでした。(「キャノンボール」で乗ってましたけどね。。)
そこで出てくるのがティモシー・ダルトン。『007/リビング・デイライツ』ではパワフルな新型クーペ、アストン・マーチンV8ヴァンテ―ジと共にデビューするわけです。V8ヴァンテ―ジはフロントホイール中央部にレーザーカッター、防弾ガラス、フロントガラスにミサイル用のディスプレイ表示、ミサイルランチャー、リアタイヤに出し入れ式大型スパイク、スキーアウトリガー、ロケットブースター、自爆装置など。DB5以来のギミック満載カー、あまりに色々あり過ぎたためかボンドは氷上カーチェイスの後、自ら自爆装置を作動させちゃいました。
ピアース・ブロスナン=ボンドはDB5をプライベートカーとして乗っていたものの、任務は最新のヴァンキッシュを使っていました。
『カジノロワイヤル』『慰めの報酬』では最新作DBSを操って過激なカーチェイスを繰り広げているダニエル・クレイグ=ボンドですが、彼の特徴はクラシックカーのアストン・マーチンDB5をまあまあ本気で任務で使っているところです。
それが顕著なのが『スカイフォール』。
もはや、周りは敵だらけ、自分と上司のMを守れる最後の砦・故地スカイフォールへと導くための重要な役割としてガレージからこのシルバーボディのDB5が現れた時の感激は、、もう言葉もありません。
「これだよ!これ」
007のテーマ曲が流れる中、至福の瞬間です。
それまでクレイグ=ボンドはおもちゃ的な装備に見向きもしませんでしたが、そこがサム・メンデス監督の偉大さ、『スカイフォール』は過去と現在をくっつけてしまった。ファンにとってこんなに嬉しいことはありません。
ところが、ホントにクレイグ=ボンドはDB5をちっとも大事にしない男で、懐かしがることも、もったいぶることもなく、ゴールドフィンガー以来のボンドカーのギミックを使いまくります。
ドリフトしたり、ぶつけたりも全然あたりまえ。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では銃撃で満身創痍の中、MAXターンで機関銃をぶっ放すDB5狂い咲きの姿がご覧になれます。
うひゃー!!!って感じです。
でもね、そこが007の魅力、アクション映画の醍醐味なんですね。壊せば壊すほどカッコイイ!ダニエル・クレイグは世にも偉大なボンド役者です。
勢いあまって、アストン・マーチン社は復刻モデルである『DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーション』を25台限定で発売することを発表。2020年7月6日に最初の1台が出荷。スペックは、4,000cc直列6気筒エンジンにZF製5速MTが組み合わされる他、機械式LSDやサーボ付きのディスクブレーキなどを装備しています。また、作中で登場したほとんどの装備もダミーではあるが標準装備している他、イジェクトシート用脱着式助手席ルーフパネルをオプションで設定。但し、公道を走行することは不可となっています。
つまり日本でいえば、トヨタ2000GTが復刻されるようなものですよね。。絶対ないと思います。
まさに原点にして頂点。英国人の深いボンドカー愛を感じます。
余談ですが、最終の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で、ついにアストン・マーティン・V8ヴァンテージが『リビング・デイライツ』以来34年ぶりの復活をはたしています。ガレージから引っ張り出す私用車として登場し、ナンバーも『リビング・デイライツ』と同じ。Mのもとに向かう際やマドレーヌの邸宅に向かう際に登場したほか、ラストではマドレーヌが娘を乗せている。ダルトン=ボンドのファンの溜飲も下がったことでしょう。
次回:「スカイフォールへの道」(その3)/『007/スカイフォール』ジェームズ・ボンドとボンドガール「M」の気になる関係、最期のセリフの意味は?
<BOND60 007 4Kレストア 10作品 上映作品一覧>
第2弾:11月17日(金)〜
■『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ No Time to Die』2021年/ダニエル・クレイグ
■『007/スカイフォール Skyfall』2012年/ダニエル・クレイグ
■『007/リビング・デイライツ The Living Daylights』1987年/ティモシー・ダルトン
■『007/サンダーボール作戦 Thunderball』1965年/ショーン・コネリー
■『007/ドクター・ノオ Dr. No』1962年/ショーン・コネリー
◎劇場情報はコチラ
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=cQkXFvH7
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