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【BOND60 公開記念特集】「女とクルマと007」(その3)名作のカギはクルマと女だった!『ロシアより愛をこめて』『女王陛下の007』

「女とクルマと007」などというと、フェミニストじゃなくても世の反感を買いそうなタイトルですが、この秋、4Kとなってリバイバル上映される「007」シリーズの見どころを並べるとまさにそんな感じ。「女もクルマも魅力的に美しく描かれているが、全ては007という殺しのライセンスを持った孤独なスパイのための“添え物”であり“乗り物”である」という前提がこの映画を改めてみるとビシビシ感じます。現代映画では再現不可能なファンタジーとして、男のロマンに浸りたい男性、時代錯誤な男の生き様に萌える女性の皆様は是非スクリーンに足を運んでもらいたいと思います。ちなみに「BOND60 007 4Kレストア」上映ラインナップは下記で、今回は9月22日からの第一弾上映作品を基本抑えつつ語れればと思います。さあ、そんな感じで「女とクルマと007」いってみましょう!

<文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

 

【BOND60 公開記念特集】「女とクルマと007」(その1)3人の極端な女たちに囲まれる新世代ボンド『ゴールデンアイ 007』
【BOND60 公開記念特集】「女とクルマと007」(その2)クルマと女はうまく乗りこなせ!!『007は二度死ぬ』『私を愛したスパイ』

特集:「女とクルマと007」(その3)
名作のカギはクルマと女だった!

『ロシアより愛をこめて』『女王陛下の007』

『ロシアより愛をこめて』と『女王陛下の007』はシリーズ屈指の名作といわれていますね。

『ロシアより愛をこめて』は、決まった手順であけないと催涙ガスが噴き出す仕組みのアタッシェケースなどスパイの特殊装備や、ロンドンからヴェネチア、イスタンブール、オリエント急行など旅情を誘いつつ任務をこなすという観光映画的な要素、作りの部分ではあの印象的なテーマ曲と、その前のオープニングシークエンスなど007のスタイルが確立された映画だったわけですが、中でもヒロインのタチアナ・ロマノヴァを演じたダニエラ・ビアンキは、知性の中に色気とチャーミングさを覗かせ、その後のボンドガールの方向性を確立したといえるでしょう。

“女を平気でひっぱたく“というワイルドなショーン・コネリー版ボンドとの相性も抜群で、男女2人で乗るオリエント急行の電車旅で間違いがないわけありません。ボンドガールの原点にして頂点かなと思ったりします。

実は『ロシアより愛をこめて』はもうひとり気になる女が登場します。

その女は掃除のおばちゃんの振りをして近づき突然襲い掛かります。ブーツのつま先から飛び出る刃物を使ってキック攻撃!ちょっとびっくり、怖いんですよね。序盤でメリケンサックをおもむろに拳に付けたかと思うとロバート・ショーの腹にパンチをしてたおばちゃんですから、思ったより全然強い(おばちゃんは元来思ったより強いものですが笑)、“女を平気でひっぱたく“コネリー=ボンドですら、このおばちゃんには難渋して結局タチアナの銃弾に倒れることになりますが、彼女こそスペクターの「No.3」のクレッブなのでした。この後シリーズの最後までつながる悪の組織スペクターの「悪い奴」の層の厚さを感じさせます。

一方、『女王陛下の007』はスペクターの「No.1」、つるつる頭の百田尚樹(失礼!)ブロフェルドとの直接対決が実現します。この作品は、そこまでコネリー版ボンドで断片的に出てきた悪の組織スペクターとの最終決戦ということで、007のグランドストーリー上でも重要な作品です。ジェームズ・ボンドは新人のジョージ・レーゼンビー。彼はオーストラリア訛りがよくなかったのか、ワイルドなコネリー感が薄かったのか、本作だけの出演となり、ロジャー・ムーアにその座を譲ります。ですが、現代では『女王陛下の007』は傑作と言われていますね。映画監督のスティーブン・ソダーバーグはシリーズ最高傑作と評していますし、クレイグ版007は全体的に、そして最後に行くにつれ濃厚にこの作品の影響下にあります。

アルプスの雪山を舞台にしたクライマックス、ルイ・アームストロングの音楽、ボンドが遂に運命の人と巡り合い結婚をするという展開。つまりこれはシリーズイチのラブストーリーなんですよね。前述したボンド・ガール、トレーシーはイタリア犯罪組織のボスの一人娘。おてんばでクルマの運転はもちろん、スキーからなにからボンドに負けないくらいできちゃう。これまでクルマも女も自在に操ってきたボンドも、いつもとどうも様子が違う。ピンチを彼女に助けられ「こりゃまいった」とばかりに結婚を決意。

そのまま行けばジェームズ・ボンドは母ちゃんの尻に敷かれながらも義父から犯罪組織を受けついで、平穏(?)に暮らせたかもしれないのに、運命はそれを許さないー。

007をもっと見たい知りたいという方、クレイグ版ボンド最終章『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の終わり方がどうも釈然としないという方はぜひ本作を観ることをおすすめします。(なんとトレーシー役のダイアナ・リグは「ゲーム・オブ・スローンズ」に出てたやり手のおばあちゃんですよ。さもありなんです笑)

というわけで、今回4Kでみるとしたらやはり『ロシアより愛をこめて』『女王陛下の007』は外せないかとおもいます。映画館でお楽しみください!

【BOND60 公開記念特集】「女とクルマと007」(その1)3人の極端な女たちに囲まれる新世代ボンド『ゴールデンアイ 007』
【BOND60 公開記念特集】「女とクルマと007」(その2)クルマと女はうまく乗りこなせ!!『007は二度死ぬ』『私を愛したスパイ』

 

<BOND60 007 4Kレストア 10作品 上映作品一覧>
第1弾:9月22日(金)〜
■『007/ゴールデンアイ GoldenEye』1995年/ピアース・ブロスナン 
■『007は二度死ぬ You Only Live Twice』1967年/ショーン・コネリー
■『007/私を愛したスパイ The Spy Who Loved Me』1977年/ロジャー・ムーア
■『007/ロシアより愛をこめて From Russia with Love』1963年/ショーン・コネリー
■『女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service』1969年/ジョージ・レーゼンビー

第2弾:11月17日(金)〜
■『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ No Time to Die』2021年/ダニエル・クレイグ
■『007/スカイフォール Skyfall』2012年/ダニエル・クレイグ
■『007/リビング・デイライツ The Living Daylights』1987年/ティモシー・ダルトン
■『007/サンダーボール作戦 Thunderball』1965年/ショーン・コネリー
■『007/ドクター・ノオ Dr. No』1962年/ショーン・コネリー

◎劇場情報はコチラ
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=cQkXFvH7