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【プロが見たこの映画】オンライン番組ディレクターが語る「反劇開始!『ジョン・ウィック:コンセクエンス』 ネオンノ・ワールで観る映画」

キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋を演じる映画『ジョン・ウィック』。本シリーズは、彼の復讐劇から逃亡劇へと変遷をたどり、4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』では、自由を得るべく反劇(撃)を開始する。監督は、シリーズすべてを手掛けているチャド・スタエルスキ監督。

本作は、シリーズお馴染みのイアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーン、ランス・レディックはもちろん、ドニーイェン、真田広之、ビル・スカルスガルド、リナ・サワヤマなどの豪華キャストをはじめ、シリーズ最長の上映時間、アクション映画の歴史を更新したと言っても過言ではない過剰なまでのアクションなど、すべてにおいてオーバーロード状態にある。
そんな中、本記事では、改めてジョン・ウィックの世界における照明の使い方、ライティングのスゴさを強調したい。

ジョン・ウィック:コンセクエンス

映画『ジョン・ウィック』は、シリーズを通して、照明・ライティングが超一流である。ニューヨーク、ベルリン、パリ、そして、大阪と戦いの舞台がスケールアップした本作では、アクションシーン別にライティングが異なり、そのクオリティはもちろん、映画にとって照明が如何に重要かが際立ってわかる。

例えば、本作のヴィラン的立ち位置であるビル・スカルスガルド演じるグラモン侯爵。彼のイメージカラーは、キャラクターポスターからもわかる通り、オレンジイエロー・暖色なイエローがテーマになっている。このカラーに注視すると様々なシーンでライティング・演出がされており、グラモン侯爵の狂気・息詰まる感じを想起させる。マッスルカーの見せ場である凱旋門やエッフェル塔の明かりでさえもどこかジョンを見張っているかのような、彼の威圧を感じる演出に見える。

ジョン・ウィック:コンセクエンス

映画のジャンルの一つに「フィルム・ノワール」というジャンルがある。ノワールはフランス語で黒という意味。このフィルム・ノワールの進化系と言われているのが、「ネオ・ノワール」(陰影を利用した黒い画面で物語の不穏性・悲劇性を強調する特徴)と称される近代系であり、さらに進化したものが「ネオン・ノワール」と呼称されている。
『ジョン・ウィック』がまさにこの「ネオン・ノワール」に位置付く映画である。「ネオン・ノワール 画像」とググってみれば、なんとなく『ジョン・ウィック』の世界観を表現しているとわかるだろう。

チャド監督も来日インタビューで「ネオン・ノワール」の大ファンだと明言しているほど。「ネオン・ノワール」のような自然では見られない黒を中心としたルックに、香港映画と日本映画の血を継ぐ、ドニー・イェンと真田広之の対峙シーンをグリーン×オレンジで演出するような独自のカラー展開を魅せており、ネオン・ノワールとしての美しさを非常に堪能できる映画に昇華している

アクションの連続に驚愕する『ジョン・ウィック』シリーズの背景には、計算し尽くされた照明の使い方と絶妙なライティングがある。本作もそれらに長けた極めて優秀な映画であり、見せ場に次ぐ見せ場をしっかりと視覚的に楽しませてくれる。シリーズも4本目に突入するが、今回もまた、過剰なまでのアクションを、照明・ライティングで彩る世界観<ネオン・ノワール>の虜にされてしまった。

オンライン番組ディレクター 片山大輔

 


『ジョン・ウィック:コンセクエンス』公開中
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス、ドニー・イェン、ビル・スカルスガルド、ローレンス・フィッシュバーン、真田広之 ほか
(R), TM & (C)2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 

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