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【第36回東京国際映画祭】韓国アクション映画の金字塔『シュリ(デジタル・リマスター版)』上映にカン・ジェギュ監督が登壇!「版権の問題もようやく解決できた。来年、韓国と日本で上映を計画をしている」

【第36回東京国際映画祭】
『シュリ(デジタル・リマスター版)』上映にカン・ジェギュ監督が登壇!
「版権の問題もようやく解決できた。来年、韓国と日本で上映を計画をしている」

第36回東京国際映画祭にて、韓国における日本大衆文化開放25周年特別上映として、『シュリ(デジタル・リマスター版)』が上映され、監督と脚本を務めたカン・ジェギュが舞台挨拶に登壇した。

この特別上映では、1998年の「日韓共同宣言」を機に本格化した韓国での日本大衆文化の開放から25周年を記念し、それを契機に両国の映画交流の火付け役となった岩井俊二監督の『Love Letter』、カン監督の『シュリ』の2作品が上映される。本作は、北朝鮮の特殊工作部隊と韓国の情報機関の戦いを描いたアクション大作。南北分断という民族的悲劇を、男女の悲恋に絡め美しく描いている。ちなみにタイトルの「シュリ」とは、朝鮮半島固有の淡水魚の現地名から取られている。韓国では1999年に公開され、国内動員数621万人という当時の記録を樹立。日本でも、翌2000年に公開され18億5000万円の興行収入をあげ、現在の韓国映画ブームの先陣を切った作品として知られている。

カン監督は、「皆さんにお会いできてとても嬉しいです。時間が経つのは本当に早いもので、日本で公開してから23年という時間が経ちました。今日私もこの劇場のスクリーンで見ましたが、昔のことをたくさん思い出して胸が熱くなりました。久しぶりに私の作品を皆さんにご紹介できて嬉しく思っています」と挨拶した。

この映画が生まれた経緯について「デビュー作『銀杏のベッド』(1996)のシナリオを書いていたのが中国だったんです。北京の大学の寄宿舎で執筆していたところ、そこで北朝鮮からの留学生の人たちに会ったんです。私たちの国は分断されていて、なかなか北の人に会う機会がありませんでしたので、とても新鮮な衝撃でした。『銀杏のベッド』のシナリオを書いている最中でしたが心の片隅では、自分たちはいま南北分断の国にある者として、このような話は宝石のような物語、心が痛くなるような物語があるのだろうと考えました。『銀杏のベッド』を作り終えたら、次はこのモチーフで作品を撮りたいと思うようになりました」と当時を振り返った。

本作は南北分断というセンシティブなテーマを扱っている。現在では同テーマのエンタメ作品も多く存在しているが、当時の製作状況について聞かれると、カン監督は「最初にシナリオを書いたとき、まわりの出資者や製作担当者たちから面白そうだという意見もあった反面、南北問題を扱う映画を作るのは興行的にも大変だろうという見方が大きかったです。」と語る。韓国が軍事独裁政権だったころ、北朝鮮をモチーフとした映画は作られていたが、それは共産主義に反対する「反共映画」と呼ばれ、否定的な先入観を持つ人が多かったという。しかし結果的には正反対の記録的な大ヒットとなったわけだが、カン監督は「意外だったのが、映画にも出てくる国家情報院に協力を求めたところ、幹部の中でも上の方にいる方が非常に協力的で、彼らの助けを頂いて撮影をすることが出来たんです。」と語った。

本作は、韓国企業のサムスン電子の映画事業部が出資をしていた。『シュリ』では大成功を収めたが、その他の音楽事業やエンタメ事業の失敗により廃業してしまったという。それが原因で版権がホールディングの状態になってしまい、韓国や日本、その他の国で、ストリーミング配信もできない状態が長らく続いていた。カン監督はこの件について「版権の問題もようやく解決できました。」とうれしいサプライズ報告が。さらに「来年は韓国で『シュリ』公開25周年という記念すべき年なので、来年の上半期あたりに、韓国と日本で上映できないかなと計画をしています。」と話し、これを聞いた観客からは拍手が巻き起こっていた。