圧倒的なビジュアルにクギ付け。新生『Hellraiser(原題)』予告編解禁！

2022.09.30

クライブ・バーカー原作、デビッド・ブルックナー監督による『Hellraiser』の予告編が解禁された。本作は『ヘル・レイザー』(1987)から始まったシリーズ通算11本目にして、シリーズのリブートを図った作品でもある。

登場する人間たちはオリジナル版と異なっているが、基本的な部分は変わっていないと思われる。シリーズでキーアイテムになるのは、解くと究極の快楽が得られるパズルボックス「ルマルシャンの箱」だ。それを解いた者のもとには異界の魔道士(セノバイト)が現れ、究極の快楽という名の苦痛をプレゼントされる。No pain, no gain(痛みなくして、得る物なし)。SM的な要素を多分に含んだ、一風変わった作品なのだ。本作の主人公で依存症に苦しむライリーは、危険があるとは知らずにパズルを解いてしまい、シリーズのアイコンでもある顔面に無数の釘が刺さったセノバイト、ピンヘッドを呼び寄せてしまう…。

オリジナル版でピンヘッドを演じていたのはダグ・ブラッドレイ。つまりピンヘッドも男性だったのだが、本作ではトランス女性のジェイミー・クレイトンが演じている(ちなみに、一時期彼女はキアヌ・リーブスのガールフレンドと噂されていた)。退廃的な美しさは失われておらず、改めて見ても実に衝撃的なビジュアルだ。その不気味かつ異様な姿から目が離せない。ライリー役には、『ヘル・レイザー』と同年公開の『バグダット・カフェ』で知られるパーシー・アドロン監督の孫、オデッサ・アジオンがキャスティングされている。

シリーズものは作品を重ねるにつれ人気とクオリティが落ちていくのが常だ。残念ながら本シリーズもその例に漏れず、5作目の『ヘルレイザーゲート・オブ・インフェルノ』以降は本国では劇場公開もされていない(ただし、同作は今では『ドクター・ストレンジ』『ブラック・フォン』で有名なスコット・デリクソン監督の最初の長編である)。例外として、9作目の『ヘルレイザー：レベレーション』は劇場公開されているが、突貫工事で作られたために初めてブラッドレイが出演しない作品となってしまった。同じくブラッドレイのいない10作目『Hellraiser: Judgment』は、日本ではDVDにすらなっていない。

実は、2007年の時点でリメイクの案はあった。当初は、『屋敷女』『ザ・ディープ・ハウス』で知られるフランスのホラー監督コンビ、ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロが監督する予定だった。スタジオは彼らの脚本に満足せず、リライトのため『ソウ』シリーズの脚本家コンビ、マーカス・ダンスタン&パトリック・メルトンを雇うも企画は頓挫。2008年には、次の監督としてやはりフランス人のパスカル・ロジェ(『マーターズ』)が選ばれるも、プロデューサーとの方向性の違いから降板。この中の誰が手がけても、少なくともゴア描写的には満足できる作品になっただろう。2010年には、ジョニー・デップとの泥沼裁判が記憶に新しいアンバー・ハード主演で、ティーン向けの内容で作るという企画もあったが、やはり上手くいかなかった。

紆余曲折の末、ようやく本作は誕生した。監督のブルックナーはすでにホラー映画で高い評価を得ている人物で、前作『ナイト・ハウス』に引き続き脚本家コンビのベン・コリンズ&ルーク・ピオトロフスキとタッグを組んだ。原案として、『ダークナイト』のデビッド・S・ゴイヤーも関わっている。No pain, no gain。逆に言えば、痛みを抱えた本シリーズには復活が約束されているのだろうか？　本作は、オリジナル版から35年周年となる今年の10月7日より米Huluで配信予定。日本では今後、Disney+内のSTARにて配信される可能性もあるだろう。続報を待とう。