スティーブン・スピルバーグ監督の半自伝的作品『The Fabelmans(原題)』の予告編・ポスターが公開!
巨匠スティーブン・スピルバーグももう御年75歳。この年齢になっても、未だに非常に精力的に活動している監督のひとりであり、ここ20年ほどはどんなに長くとも3年以内のスパンで次々に作品を発表し続けている。去年も名作ミュージカルをリメイクした『ウエスト・サイド・ストーリー』を撮った彼は、今年最新作となる『The Fabelmans』を完成させ、ポスターと予告編が解禁された。
本作はスピルバーグの半自伝的作品と言われている。主人公は、本人と全く同じく第二次世界大戦直後に生まれ、7歳から10代までをアリゾナ州で過ごし、映画監督を目指している少年サミー・フェイベルマン(Fabelman)。予告編は、「映画は、決して忘れられない夢よ」「光(ライト)は全てのものの見え方を変える」という台詞から始まる。映画の起源は19世紀末にあり、トーマス・エジソンと並ぶ映画の偉大な発明家にフランスのリュミエール兄弟がいる。リュミエールとはフランス語で「光」の意味だ。その名を冠す者が光の芸術を発明した。必然のような偶然であり、その“光”によって人生を変えられたのはもちろん他ならぬスピルバーグ自身である。
フェイベルマンというのも変わった名字で、英語の「fable(寓話)」にスペルが似ているが、同じ意味のドイツ語は「fabel」と綴るようだ。「Fabelman」は直訳すれば「寓話を語る者」、つまり映画監督、スピルバーグ自身を指していると考えられる。自分を“投影”したキャラクターにつけるにはピッタリな名だ。ちなみに、「スピルバーグ(Spielberg)」はドイツ語で「芝居山」、または「遊戯山」の意味になる。これも、幼少期から遊びで8ミリカメラを使って映画を撮っていた彼をこれ以上ないほどよく表した名なのだ。
予告編冒頭には、おもちゃの列車が画面に向かって突っ込んでくる映像が映っている。映画と列車には深い繋がりがある。リュミエール兄弟が手掛けた『ラ・シオタ駅への列車の到着』は、最初期の映画の中で有名なもののひとつだ。これはタイトル通り、列車が駅に停車するまでの様子を斜め前方から撮っている“だけ”の映像なのだが、それを見て実際に列車が突っ込んでくると思った観客がパニックになったという都市伝説が残っている。また、サミーが訪れる映画館で上映中の『地上最大のショウ』は、スピルバーグが生まれて初めて鑑賞して映画としても知られている。
サミーの母がピアニストで、父がコンピュータ技術者という部分も事実通りで、予告編にあるように不仲だった。スピルバーグが18歳の頃両親は離婚しており、2002年のNZ Heraldのインタビューではその辛い体験を指して「まだ少年時代を引きずっている」と語っている。そして、「たとえ商業的な大作ポップコーン映画のように見えても、私はプライベートな映画を作っているつもりだ」とも。スピルバーグは、20年以上前から自分の家族を忠実に描いた映画を撮りたいと考えていたが、同時に「それには大きな勇気が求められる」として中々実現しなかった。75歳という年齢になって、ようやく踏ん切りがついたのだろうか。
幼い頃から映画とともに育ってきたスピルバーグの人生を振り返ることは、ある種映画史を振り返ることにも近いのかもしれない。ミシェル・ウィリアムズやポール・ダノ、セス・ローゲンなど豪華俳優陣が集結した本作は、すでに本国の批評家から絶賛されている。集大成のような本作で、監督人生の最後に有終の美を飾ろうとしているのだろうか? そう思いきや、今年の2月には米Deadlineによって、スティーブ・マックイーン主演作『ブリット』の主人公の物語を新たに描く新作を準備中であると報じられている。すぐ次の監督作がこれになるかは不明だが、少なくともスピルバーグはまだ人生の幕を下ろすつもりはないようだ。『The Fabelmans』は11月11日より米国公開。
ソース
https://www.nzherald.co.nz/lifestyle/spielbergs-future-imperfect/MY5KHO5AUKLSK3IB2WEOJOFT7I/
https://deadline.com/2022/02/steven-spielbert-bullitt-at-warner-bros-and-amblin-1234960542/
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