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『人生クライマー』公開記念/大自然のパワーに圧倒され!人間の執念に涙する!「登山映画特集」

秋ですね。秋と言えば紅葉、登山する方にとっては一番楽しいシーズンなんじゃないでしょうか?

そんなわけで、今回は登山映画特集ですが、最強クライマー山野井泰史を見つめた『人生クライマー』が登山映画かと言われれば、少し違うような気がします。映画で描かれるのは彼の人生。人としての特異な生き方。純粋にクライミングに挑戦しつづける山野井泰史の人間像なんですね。なので登山に詳しくなくても「それって、凄くね?」となると思いますし、山野井泰史を知らなくても彼の圧倒的な存在感に感動してしまうドキュメンタリーかなと思います。

とはいえ、山野井さんは空前絶後の世界的クライマーという事は間違いないわけですし、彼の恐るべきサバイバルの伝説の数々はいちいちのけぞるほどで、紅葉シーズンとかそういう行楽ムードでは全然ないのですが、登山映画として観てもやっぱりおもしろいんですね。

ということで、今回は『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』公開記念、大自然のパワーに圧倒され!人間の執念に涙する!登山映画特集です。

 

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

 

 

最高峰エベレスト、その華麗と残酷。
『エベレスト3D』(エベレスト 標高8848m ヒマラヤ山脈)

この映画は2015年に公開された当時、壮大なエベレストの景観、圧倒的な大自然を、IMAX3Dならではの視界いっぱいの没入感で愉しむ映画、みたいに見えたんですが、その実、記録的な大量遭難ものだったんです。主演は「ターミネーター:新起動 ジェニシス」のジョン・コナーで有名なジェイソン・クラークをはじめ、ジョシュ・ブローリン、キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、ジェイク・ギレンホールなどハリウッドの大スターが勢ぞろい。彼らが演じるのはもはや観光化した、金で登らせるためのエベレスト登山。(きっと山野井さんがエベレストに行かないのはこういうところかと思います。)映画の中で金持ち達はベテラン登山家らの様々な助けを借りて頂上を踏みますが、下山が遅れ、天候は急変。綺麗・華麗な8000m峰はたちまち牙をむき始め、生物の生存を許さないデスゾーンと化してしまいます。実際、この高さだと人間は何もしなくても死に至る。どこで何を間違うとこうなってしまうのか?彼らは生き残れるのか?

なんとこれ、1996年に12人もの死亡者を出し、当時エベレスト史上最悪の遭難事故と言われた実話の映画化で、つまり全然生き残れないんですね。自然の容赦なさをヒリヒリ感じつつ、遭難に至る分析も克明で実に興味深いという、検証や反省好きな方にお勧めの映画です。

【キャスト】
ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、ジョン・ホークス、ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、ジェイク・ギレンホール

【スタッフ】
監督:バルタザール・コルマウクル
脚本:ウィリアム・ニコルソン、サイモン・ボーファイ
音楽:ダリオ・マリアネッリ
撮影:サルヴァトーレ・トティーノ
編集:ミック・オーズリ
配給:東宝東和
(C)Universal Pictures

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究極の選択、その意味。
『運命を分けたザイル』(シウラ・グランデ 標高6,600m アンデス山脈)

二人で向かった登山で事故に会い、一人が動けなくなった場合、もう一人が助けようとすればするほど二人とも遭難する危険性が高い場合どうするか?情と共に死ぬのか?冷徹な判断か?

この大きな命題に向き合った作品が「運命を分けたザイル」。2006年「ラストキング・オブ・スコットランド」で、主演のフォレスト・ウィテカーにアカデミー主演男優賞をもたらした名匠ケヴィン・マクドナルドが挑む、本人たちのインタビューと再現映像で構成されたドキュメンタリー作品です。

これは面白いです。普通、再現映像って少しちゃちじゃないですか、ですがこの映画の映像は傑出クォリティで、リアリティが半端じゃない。ほとんど劇映画として最後まで観てしまいます。

1985年、シウラ・グランデ西壁を登頂した英国の若きクライマーのジョー・シンプソンとサイモン・イェーツに待ち受ける運命。ザイルを切る選択を迫られるサイモンの懊悩と決断。足の骨を折ってしまい、友人からザイル切られてクレバス(深い谷になっている雪の裂け目)に落下したジョーの落胆と執念。叫んでも、雪嵐に阻まれて誰にも聞こえない。這い上がろうにも足が動かず這い上がれそうにない。じゃどうする?死を覚悟したジョーに待ち受けるコペルニクス的展開が最高で、自然の恐ろしさと人間の英知の尊さ、そして友情を感じることができる傑作です。

【キャスト】
ジョー・シンプソン、サイモン・イェーツ、ブレンダン・マッキー

【スタッフ】
監督:ケヴィン・マクドナルド

脚本・製作:ジョン・スミッソン
製作総指揮:ロビン・グッチ、シャルル・フェルノー、ポール・トライビッツ
音楽:アレックス・ヘッフェス
撮影:マイク・エリー、キース・パートリッジ
編集:ジャスティン・ライト

 

“マロリーのカメラ“から始まる山岳文学の金字塔
『神々の山嶺』(エベレスト 標高8848m ヒマラヤ山脈)

世界最高峰エベレストに最初に登頂したのは誰なのか?1953年のエドモンド・ヒラリー卿が定説ですが、実はそれより30年前、1924年にジョージ・マロリーという登山家が頂上を踏んでいるのでは?という説があります。マロリーは当時最も有名な登山家で「何故山に登るのか」の質問に対し「そこに山があるからだ」という超有名な言葉を発した男でした。

エベレストで遭難したマロリーですが、それは下山途中だったのではないか?その遺体は高地だけにいまだ腐らずに残っていることでも知られてますが、実はその近くにカメラが遺されており、それを現像したら、その(登頂した)証拠が出てくるのでは??

ネパールの首都カトマンズの古道具屋で骨董品のカメラと出会ったことから、日本人カメラマン深町の運命は動き出します。

「これは、マロリーのカメラだ」。

そして、そのカメラは深町を一人の男と結び付けます。羽生丈二、かつて名声を獲得した孤高のクライマー。彼とマロリーの謎を追うドラマはやがてエベレスト、8000m超のデスゾーンへ向かって加速していきます。

なんと日本の作品【原作:夢枕獏×漫画:谷口ジロー】なのにフランスで映像化され、大人気を博して日本に凱旋したという伝説的なアニメ作品がこれ。羽生丈二のモデルは、森田勝。アルプスのグランドジョラスで歯で登った話など、ちょっと人間業とは思えない逸話があったりします。サスペンスフルなストーリーと、アドベンチャーとは別の、死に向き合う内省的・文学的な登山の側面を見事に映し出した傑作ドラマ。

【日本語吹き替えキャスト】
堀内賢雄、大塚明夫、逢坂良太、今井麻美

【スタッフ】
監督: パトリック・インバート
原作:「神々の山嶺」作・夢枕獏 画・谷口ジロー(集英社刊)
配給:ロングライド、東京テアトル

(C) Le Sommet des Dieux – 2021 / Julianne Films / Folivari / Mélusine Productions / France 3 Cinéma / Aura Cinéma

 

洋画大作もひれ伏す映像世界、日本では山に神がいる。
『劒岳 点の記』(剣岳 標高2,999 m 飛騨山脈(北アルプス)北立山連峰)

この映画の映像は凄い。どの洋画にも負けない。この映画こそIMAX3Dプレミアムラージフォーマットで観るべき映画であると思います。

黒澤組の撮影助手からスタートした監督木村大作の映像に対するこだわりは映画を観ていてもネットリと伝わってくる。浅野忠信が香川照之と山を登って「ああ、ここから富士山が見えるんですね」という富士山は、北アルプスから日本列島をまたいで、はるか彼方に見晴るかす、CGでも何でもない本物の富士山を光学レンズでとらえた姿なわけで、何気ないシーンの凄味がいちいち違う感じがしますね。心がきりりと澄んでくる映画です。

この映画のストーリーは3つの意味での登山の邂逅みたいなもので、一つは陸軍調査部、地図を埋めるための登山。「点の記」というサブタイルはそのことを指してます。二つ目は我々が普段目にしている登山なわけですが、「山を登るために登る」というスポーツ感覚は近代以前の日本人は持っておらず、明治期以降輸入された概念だとわかります。じゃ、日本人は山に登らなかったか?と言えばガシガシ登っていたんですね。その形が3つめで山岳宗教としての登山ですね。古代、役行者(えんのぎょうじゃ)の昔から山伏たちは日本全国の山々を縦走し、峰々に祈りを捧げ、心と体を清く保っていたのです。

この映画を最後まで観ると日本人は只ならぬ山好きだと感じますし、そして山に神を見ている国民なのだとわかりますね。

【キャスト】
浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、宮崎あおい、井川比佐志、夏八木勲、役所広司

【スタッフ】
監督・撮影:木村大作
脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
製作総指揮:生田篤
音楽:池辺晋一郎
編集:板垣恵一
配給:東映
(C)「劔岳 点の記」製作委員会

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 【ストーリー】
「誰も成し遂げていないクライミングを成功させて、生きて還る」世界の巨壁に単独で挑み続けてきたクライマー・山野井泰史。彼は2021年、登山界最高の栄誉、ピオレドール生涯功労賞を受賞した。しかし、山野井の挑戦は終わらない。伊豆半島にある未踏の岩壁に新たなルートを引こうとしていた。そして再びヒマラヤにも…。“垂直の世界”に魅せられた男の激しい生き様とは?貴重な未公開ソロ登攀映像とともに振り返り、山野井の生涯のパートナーである妻・妙子への取材も通して問いかける。

【スタッフ】
監督:武石浩明
撮影:沓澤安明、小嶌基史、土肥治朗
編集:金野雅也
MA:深澤慎也
選曲:津崎栄作
企画・エグゼクティブプロデューサー:大久保竜
チーフプロデューサー:松原由昌
プロデューサー:津村有紀  
TBS DOCS事務局:富岡裕一

2022年/日本/5.1ch/16:9/上映時間:109分
製作:TBSテレビ
配給:KADOKAWA
©TBSテレビ

公式HP:http://jinsei-climber.jp
公式Twitter:@jinsei_climber
公式Facebook:@jinseiclimber

11月25日(金)角川シネマ有楽町ほか全国順次公開

 

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