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芸術の秋は映画から学ぶ!ヌーヴェル・ヴァーグの世界4選

ヌーヴェル・ヴァーグを先導した1人でもあり映画の歴史を動かした巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督が2022年9月13日91歳で亡くなりました。ヌーヴェル・ヴァーグとは「新しい波」を意味し、「作品」を愛するのではなく「作家」を愛そうよという思想で監督自身の個性を活かし、それまでとは様変わりした映画が作られるようになった革新運動です。季節はもうすぐ10月、芸術の秋ということで奥が深すぎる映画の歴史を今一度、ゴダールへの追悼の意味もこめて名作とともに学んでみるのはいかがでしょうか?

文:つみき(大好きなのは銀杏と緑茶割り)

 

〈ヌーヴェル・ヴァーグの代表作品〉
『大人は判ってくれない』(1959)

ヌーヴェル・ヴァーグの代表とも言われる今作は、フランソワ・トリュフォーの初の長編映画作品です。ラストシーンではフリーズ・フレームという一時停止のショットが使われており、新しい映画の在り方を示すような挑戦的でもある今作で、トリュフォーは初の長編映画作品にも関わらずカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しています。ちなみに原題を直訳すると400回の殴打、フランスの慣用句で無分別、放埓な生活をおくるという意味になるそうですが、『大人は判ってくれない』という邦題をつけた方、トリュフォーと同じ圧倒的センスを感じます。

監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン=ピエール・レオ、クレール・モーリエ、アルベール・レミー、ジャン=クロード・ブリアリ

〈松竹ヌーヴェルヴァーグの誕生〉
『青春残酷物語』(1960)

フランスで巻き起こった革新運動は海を渡り、日本の映画監督にも影響を与え始めます。その中でも今作のヒットをきっかけに松竹出身の映画監督達をマスコミが「松竹ヌーヴェルヴァーグ」と呼ぶように。荒々しく削り取ったような映像には放出しきれないエネルギーが満ち溢れており、ものすごくパワーのこもった作品になっています。60年も前の映画ですが、当時の日本情景を観れるということだけでもとても貴重な1作です。

監督:大島渚
出演:桑野みゆき、川津祐介、久我美子、渡辺文雄、田中晋二

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〈ゴダールの再来、ヌーヴェル・ヴァーグの第2世代〉
『汚れた血』(1986)

ゴダールの再来ともいわれるレオス・カラックス監督の初期作品、通称<アレックス3部作>の2作目に当たる今作ですが、デヴィッド・ボウイの「Modern Love」をバックにドニ・ラヴァンが疾走するシーンは映画好きからしたら余りにも有名ですよね。現に様々な映像作品で『汚れた血』のオマージュシーンを目にする機会が多く、映像のかっこよさとお洒落さ、色彩感覚に圧倒されます。カラックスは今も現役で映画を撮り続けており、今年の4月に新作の『アネット』が日本でも公開され来日していました。まだまだこれからも映画を撮り続けてくれることを願うばかりです。

監督:レオス・カラックス
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ミシェル・ピコリ、ジュリー・デルピー、ミレーユ・ペリエ

〈後世映画に多大なる影響を与えた作品〉
『気狂いピエロ』(1965)

ゴダールの作品で1番知名度の高い作品は『勝手にしやがれ』でしょうか…。ですが、たくさんの映画へ影響を与えた作品No.1はきっと『気狂いピエロ』だと個人的には思っています。正直にいうとストーリーは『ハングオーバー!』が大好きな筆者にとっては難解でしたが、『汚れた血』同様に様々な映画で観たことのあるシーンが今作にはたくさん登場します。それほどまでに映画を撮る人々を魅了して真似をしたくなるものを撮ることができる監督の作品、映画好きを名乗るならば人生で必ず観ておくべき映画の1つです!

監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ、グラツィエラ・ガルヴァーニ、ダーク・サンダース、ジミー・カルービ
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ゴダールは生前に「私が死ぬ時、映画も死ぬ」という言葉を残していますが、ゴダールやトリュフォーがそうしたように「作品」ではなく「作家」を愛する精神は、今後もきっと何十年も何百年も映画を愛する人々によって受け継がれていくのだと思います。その時代によって受け取り方も変化していき、またいつかのヌーヴェル・ヴァーグのように若者達の手によって新しい映画の形が誕生する日が来るのかもしれません。

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