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巨匠御用達!マイケル・クライトン原作映画4選

7月29日(金)にはいよいよ『ジュラシック・ワールド』三部作の完結編となる『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が公開されます!原作小説が巨匠ばかりに映画化されてきた小説家マイケル・クライトン。彼の作品はどれも科学技術に基づく大胆な発想や先見性に満ちており、設定を聞いただけで興味を惹かれるものばかりです。ハーバード大学で文学を学んでいた彼は教授と反りが合わず、自然人類学に転向。そちらで学士号を、しかも主席で取得した彼は大学院で医学博士号まで取得してしまいます。開業こそしませんでしたが、医学の知識を活かしながら執筆活動を始めた彼は、後にアメリカ文学を代表する大作家になってしまいました。今回は、そんな彼の特異性が強く出ている4作品を紹介します。

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

 

〈ジュラシック・パークの原点〉
『ウエストワールド』(1973)

彼が脚本と監督両方を自ら務めた最初の作品です。後の『ジュラシック・パーク』にコンセプトが似ており、「ウエストワールド」なる西部開拓時代を疑似体験できるテーマパークが登場します。来園者を出迎えるのはガンマンなどの格好をした人間そっくりのロボットで、そこでは彼らを撃ち殺そうが何をしようが自由。しかしある時、決して反撃してこないはずのロボットたちに次々に故障が“感染”し、人間への反乱を始め…。故障の原因は“ウイルス”のようなものであることが示唆されています。「当然」ですか? 確かに医学に詳しいクライトンらしい発想…というのは冗談としても、当時は最初期のコンピュータウィルスが作られたばかりで、パソコンもなければインターネットも普及していない時代。さらに、近年現実味を帯びてきた「AIの反乱」というテーマも先取りしているし、世界で初めてデジタル画像処理を行った長編映画でもあります。まさに先進性の塊!

監督:マイケル・クライトン
出演:ユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジェームズ・ブローリン 他

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〈医療からアメリカを俯瞰する!〉
『ER緊急救命室』(1994~)

クライトンが医学生時代の経験を基に執筆した『五人のカルテ』を原作とする、言わずと知れた医療ドラマの金字塔です。今なお医療ドラマは大人気ですが、本シリーズのDNAは今日の作品にも大きな影響を与えています。ブレなく移動しながらの撮影が可能なステディカムを用いた手術シーンの臨場感・緊張感は圧巻で、医療現場はまさに戦場のよう。視聴者にクライトンが見てきた光景を追体験させるような作りです。さらにすごいのは、単なる医療ドラマの枠を超えて、アメリカの医療が抱える問題や、当時の社会問題も絡んでくるところ。DV、薬物依存、人種・性差別、宗教問題、安楽死についてなど、切り口は多岐にわたります。本シリーズは、医療現場というレンズから縮図的に描かれたアメリカを覗く顕微鏡のような作品なのです。ちなみに、元々はスティーブン・スピルバーグが映画化するはずでした。その企画は頓挫しますが、これが後の歴史を変えることになります。

監督:ミミ・レダ― 他
出演:アンソニー・エドワーズ、ジョージ・クルーニー、シェリー・ストリングフィールド、ノア・ワイリー、ジュリアナ・マルグリーズ、エリク・ラ・サル 他

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〈よくできた空想物語か、それとも予言か〉
『ジュラシック・パーク』(1993)

『ER』映画化の頓挫後、クライトンから新作が「恐竜とDNAの話」だと聞いた恐竜オタクのスピルバーグは即座に映画化を決意します。これが『ジュラシック・パーク』です。劇中の恐竜たちは、琥珀に閉じ込められた、恐竜の血を吸った蚊の化石から抽出したDNAにより復活させられます。驚くべき発想で、このような琥珀も実在しますが、残念ながら現実的には不可能なことのようです。落胆しましたか? それとも安心? …ただし、それは太古のDNAは保存状態が悪いためそのまま用いるのができないだけであり、“現存する恐竜”である鳥(鳥の祖先は恐竜)のDNAから当時の恐竜に限りなく近い動物を作ることは理論上可能とのこと! また、復活のために用いられたカエルのDNAによって恐竜が性転換する下りがありますが、このようなカエルは実在します。このような虚実皮膜が本作の信憑性を高めていますね。ちなみに、クライトンの名にちなんで名付けられたクリトンサウルスという恐竜もいます。

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム

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〈本題でない部分すら新しい!〉
『ディスクロージャー』(1994)

本作は他の3作品ほど派手ではありませんが、確かな新しさがあります。何と、セクシャル・ハラスメントが描かれているのです! …全く新しいテーマとは思えないでしょうが、扱われているのはありがちな男性→女性のものではなく、女性→男性のセクハラ。かつて恋人だったトムとメレディスが10年後に再会し、トムはメレディスの部下となりますが、彼女からの執拗なアプローチを断った彼はセクハラで訴えられてしまうのです。これは当時「逆セクハラ」として話題になりました。このタイプは今でも典型的なセクハラほど認知されていません。それは、どちらもセクハラに変わりないのに、わざわざ「逆」という言葉で区別していることからも明らかです。逆セクハラはトムが巻き込まれていく陰謀の序章に過ぎず、最も重要なところではないのですが、本作は「逆セクハラ映画」として認知されています。クライトンの先見性は、こういった細かい部分にも現れていますね。

監督:バリー・レビンソン
出演:マイケル・ダグラス、デミ・ムーア、ドナルド・サザーランド

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いかがだったでしょうか。

クライトンが亡くなって今年で14年になりますが、クリストファー・ノーラン(『インセプション』)の弟ジョナサンが手がけるドラマ版『ウエストワールド』や、『ジュラシック・パーク』の続編シリーズ『ジュラシック・ワールド』は多大な人気を誇っています。時代が進んでも古びない、むしろ時代の方が作品に追いついていくようにも感じられるクライトン作品。ちょうど7月29日(金)から『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が公開されるので、ぜひリアルタイムでこの感覚を味わってみてください!

 

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