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運命がその扉を叩いている…。M・ナイト・シャマランンの新作ホラー『Knock at the Cabin(原題)』の予告編が解禁

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

ホラー映画において、キャビン(小屋)は不吉な場所である。それが人里離れた山や森の中にあるとなるとなおさらだ。すでにホラー映画のクラシックとなっているサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』では小屋で悪霊が蘇るし、キアヌ・リーブス主演の『ノック・ノック』を撮ったイーライ・ロス監督の『キャビン・フィーバー』では小屋で致死性の感染症が広がってしまう。ホラー映画であまりに何度も用いられてきた舞台なので、ストーリーにかなりの捻りを加えた『キャビン』という作品も誕生した。だが、捻りに関して言えば、この男が黙っちゃいない。M・ナイト・シャマラン監督だ。

解禁された新作『Knock at the Cabin』の予告編では原作と同じく、主人公となるのが男性同士のカップルと養子の女の子の3人家族であることが確認できる。大抵のホラー映画で命を狙われるのはイチャイチャしている男女のカップルであり、子どももあまり出てこないので、この時点で新鮮さを感じられる。3人がバカンスのため人里離れた小屋に向かう場面は、シャマランの前作『オールド』の冒頭で主人公家族がビーチに向かう場面よりも陽気な雰囲気だが、訪れた招かれざる客のノックにより団欒は引き裂かれる。

家族が別の集団による襲撃を受けるホラー映画では、最近だとジョーダン・ピールの『アス』が思い出される。しかし、本作はそれよりも壮大な物語になりそうだ。武装している4人の襲撃者グループのリーダー、レナードは、捕縛した家族にこう語りかける。「我々4人はアポカリプス(世界滅亡)を防ぐためにここにいる。君たち家族は恐ろしい決断を下すために選ばれた。選択を誤れば、世界が終わる」…。

予告編の最後には一瞬だけ、死刑囚のように頭に白い布を被せられた人物の姿も。このゾッとする絵面から連想されるのは、それがそのままパッケージの写真にもなっている『ファニーゲーム』だ。やはり家族が暴漢に襲撃されるという内容で、タイトルに反して「胸糞悪い映画」ランキングの常連作品である。レナードの言葉は真実なのか。本当に世界と家族を天秤にかけなければいけないのか。後味爽やかな作品も撮ってきたシャマランは、ここで観客を突き放そうとしているのか。

 

レナードを演じるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でお馴染みのデイブ・バウティスタ。襲撃者のひとり、レドモンド役は何と、『ハリー・ポッター』シリーズのロン・ウィーズリー役で知られているルパート・グリントだ。他にも、カップルの片割れ、アンドリュー役は『マトリックス レザレクションズ』やミュージカル『ハミルトン』のジョナサン・グロフなど、個性的なキャスティングがされている。ところで、「ノック(knock)」は「叩く」という意味だが、それは日本語と同じように「ドアを叩く」以外に「酷評する(叩く)」の意味も含んでいる。シャマラン作品は総じて良くも悪くもオチが印象的であり、そのために作品ごとに評価が著しく上下する。そのため、シャマランは観客からのノックに慣れているのだ。3人家族とシャマランの反撃に期待しよう。本作は2023年2月3日より全米公開予定。

 

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