今年の夏はウォン・カーウァイの夏！特集4選

2022.08.15

子どもの頃の夏休みというと、金曜ロードショーで放送される『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』をテレビで観るのを楽しみしていた日々を思い出します。私は今週末をあの頃と同じ心持ちで楽しみにしています。2022年ついに、海賊でもなく、恐竜でもなく、猫型ロボットの夏でもない、満を持してウォン・カーウァイの夏がやって来ました。8月19日（金）よりウォン・カーウァイ監督5作品が4Kレストアでスクリーンに蘇ります。本日はエモの創設者とも言えるウォン・カーウァイ監督の作品を紹介させていただきます。

文：つみき（大好きなのは銀杏と緑茶割り）

〈賞味期限が切れたパイナップル缶〉
『天使の涙』(1995)

男女5人の恋愛群像劇もウォン・カーウァイの手にかかれば、オサレ映画の出来上がりです。香港ならではのネオンの眩しい光や雑多で退廃的な路地や地下道、匂いまで感じ取れてしまいそうな湿度の高い映像。ウォン・カーウァイらしさが全編に溢れる今作はもともと、ウォン・カーウァイを代表する作品の1つである『恋する惑星』の一部として考えられていたストーリーが独立して1本の映画になったものなんです。『恋する惑星』を観ている方はパイナップル缶に反応された方も多いはず。2作品を跨いで繋がる部分を発見するのも楽しい1作です。

出演：レオン・ライ、ミッシェル・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モク

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〈どっちが誘ったにしろ、もう始まってる〉
『花様年華』(2000)

どこかフランス映画の空気を感じる今作は、同じタイミングで同じアパートに引っ越してきた男女2人のプラトニックラブストーリー。注目していただきたいのは、時間の流れを表すように目くるめく変わっていくマギー・チャンのチャイナドレス。ウォン・カーウァイ特有の湿度の高い映像に煌びやかなチャイナドレスとネオンが美しく際立ちます。タイトルの花様年華の意味通り、まさしく人生で最も美しい瞬間を切り取ったような映像美はぜひこの機会にスクリーンで。

出演：トニー・レオン、マギー・チャン、スー・ピンラン、レベッカ・パン、ライ・チン

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〈ブルーベリーパイとアイスクリーム〉
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007)

舞台はニューヨークなのですが、なぜだか香港のネオンっぽさを感じるところがウォン・カーウァイらしさが炸裂しています。ですが、賛否両論が大きく別れる1作でもありますね。ジュードロウ、ノラ・ジョーンズ、ナタリー・ポートマンと豪華キャストをウォン・カーウァイがどんなふうに切り取っているのか、ご自身の目で確かめてください…！

出演：ジュード・ロウ、ノラ・ジョーンズ、チャド・R・デイビス

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〈君とは“1分の友達”だ〉
『欲望の翼』(1990)

監督作品としては2作目にあたる『欲望の翼』は、全編を通して薄いグリーンがかった映像と土砂降りの大雨、画面から溢れ出しそうな熱気と湿気、後作にもしっかりと引き継がれていく現代で言うところの“エモさ”がぎゅっと濃縮されているように感じます。また、ストーリーを説明するには足りなさすぎるセリフや人物描写も余白として不思議と飲み込んでしまえるのはきっと、圧倒的なカメラワークにあるのでしょうか。それにしても「君とは“1分の友達”だ」というセリフが好きすぎて人生のどこかで使ってみたいものです…。

出演：レスリー・チャン、カリーナ・ラウ、マギー・チャン、ジャッキー・チュン、トニー・レオン

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