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『THE FIRST SLAM DUNK』公開記念!ムービーマービー編集部が『スラムダンク』への思いを語る!<第1回>「26年待った、新しい『SLAM DUNK』はきっと心の傷をいやしてくれるはず」

週刊少年ジャンプ(集英社)1990年42号から1996年27号まで連載された、井上雄彦による少年漫画。高校バスケを題材に選手たちの人間的成長を描き、国内におけるシリーズ累計発行部数は1億2000万部以上。その影響からバスケを始める少年少女が続出し、テレビアニメ(1993年10月~1996年3月)やゲームなども製作された。

そんな伝説の超人気コンテンツの新たなアニメーション映画がいよいよ12月3日から公開となる。監督・脚本は、原作者である井上雄彦自らが手掛ける。

そこで今回は、映画の公開を記念して、「スラムダンク」好きを自称する編集部スタッフによる「スラムダンク」への思いを語って頂きます!

 

26年待った、新しい『SLAM DUNK』はきっと心の傷をいやしてくれるはず

文:稲生D(共感シアター)

いよいよ12月3日の公開が迫ってきた、映画『THE FIRST SLAM DUNK』。連載開始から32年、未だに日本中を虜にしつづけるバスケマンガの金字塔が、原作者・井上雄彦自身の手によって、劇場映画としてついに公開される。

約5年半にわたり週刊少年ジャンプで連載された『SLAM DUNK』(以下スラムダンク)が描くのは、わずか4カ月余りの弱小・湘北高校バスケットボール部の快進撃。1990年からの連載当時、このマンガがいかにすごかったか。最高のマンガと歩んだ記憶をたどってみよう。

・週刊少年ジャンプのメインコンテンツ『スラムダンク』
原作者の井上雄彦がコミック最終巻のあとがきでも触れているが、当時は「バスケマンガは当たらない」とジャンプ編集部から言われたそうで、確かにそれまでバスケマンガというのはほとんど記憶になかった。この『スラムダンク』の連載が始まったのが1990年。90年代といえば週刊少年ジャンプがまさに全盛期を迎えるころで、連載開始当初こそヤンキーギャグマンガのテイストがあったものの、瞬く間に人気を獲得。スポーツマンガながら、ジャンプの売りであるバトル要素、そして「友情・努力・勝利」という鉄則を備え、『ドラゴンボール』と並ぶ超人気コンテンツになっていく。

アラフォー以上の読者ならご理解いただけると思うが、この頃の筆者もご多分に漏れず毎週ジャンプを学校で回し読みし、『ドラゴンボール』から読むべきか、いやいや『スラムダンク』から読むべきかを毎回悩んでページを読み進め、「また1週間待つのかぁ」と毎週ワクワクしたものである。

1995年、週刊少年ジャンプはギネス記録の発行部数635万部を記録しているが、『スラムダンク』がその記録に大きく貢献したことは言うまでもないだろう。

・NBAの世界的人気もヒットを後押し
そんな『スラムダンク』のおかげで、バスケ人気が急上昇。筆者の年齢だと、高校からやたらとバスケ部員が増えた。これほどの人気を獲得した背景には、神様マイケル・ジョーダンの活躍によるNBA人気の高まりも外せない。

1984年にプロデビューし、バスケの神様と称されるマイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズが初めてNBAファイナルを制覇した年が、『スラムダンク』の連載が始まった1990年~1991年のシーズンである(ブルズはここから3連覇する)。翌1992年にはバルセロナ五輪があり、バスケットボール競技に初めてNBAの選手が参加した、いわゆる“ドリームチーム”が結成され、世界中でNBA人気が高まっていた。『スラムダンク』にも登場するマイケル・ジョーダンの履くシューズ、ナイキ「エアジョーダン」シリーズは世界中で売れまくり、バスケもしていないのに普段履きでエアジョーダンを披露してドヤ顔している若者が大量に発生していた。

やや話がそれたが、『スラムダンク』で描かれるバスケは明らかに日本のそれではなく、完全にNBAの試合を意識したもの。日本における『スラムダンク』と「NBA」は、お互いにうまく作用して人気を獲得していったのである。

・桜木花道と流川楓という二人の天才のアンサンブル
井上雄彦氏の異常なまでのダイナミックな作画と愛すべきキャラクターたちが多数登場する『スラムダンク』だが、本作を最高たらしめている最大の要因は、主人公・桜木花道と、もう一人の主人公・流川楓という二人の天才の対比とアンサンブルだ。

桜木花道は、お調子者のバスケ素人。前述したように、物語が描く期間はたった4カ月余り。“シロート桜木”は、ルールもよく理解していないし、調子に乗るとミスを連発。基本的なシュートすらままならない。

しかし、ひとたび彼がプレーに集中した時、その恵まれたフィジカルと凄まじいジャンプ力、無尽蔵の体力と闘争心が経験とテクニックを上回りはじめ、信じられないプレーを連発、想像を超えた活躍が読者の心をわしづかみにする。

そして外せないのが、桜木と同学年のチームメートで、もうひとりの主人公・流川楓だ。

寡黙なイケメンで、常に桜木のはるか先を走る天才プレイヤー。

桜木は、文字通り“白紙”の状態から成長していくため、読者としても感情移入しやすい。しかし流川は最初からうまいし、スゴい。しかしそこに一点の慢心もなく、あくまで勝利にこだわり、努力を怠らない。口数は少ないが、その圧倒的なプレーでチームを引っ張る存在だ。

流川というキャラクターを、“桜木と切磋琢磨し、認め合い、友情を育んでいく”というありがちな存在ではなく、あくまで“最後まで主人公が超えられない存在”として描いたのは、井上雄彦氏の最大の功績だろう。だからこそ、要所で見せる流川・桜木の絡みは否が応でも注目するし、桜木が試合終盤に見せる超人的なプレーは、それに驚愕する流川の表情によって説得力を増す。

“シロート桜木”と“天才流川”。この設定が、最後まで『スラムダンク』という物語を輝かせている。

・まだ癒えていない、突然の最終回という心の傷
そんな筆者の少年時代を彩り、今でも繰り返し読んでいる『スラムダンク』の連載は、突然終わりを迎えた。コミックで初めて読んだ人にはわからないかもしれないが、『スラムダンク』は何の前フリもなく、ほんとうに突然終わったのだ。

時は筆者が大学2年生のこと。その日の授業は2限目からだったので、遅く起きた朝、いつものようにジャンプを買って大学に到着した時のことだ。そこで友達が放った衝撃の一言は今でも鮮明に覚えている。

「スラムダンク、終わったらしいよ」

何言ってやがる。そんなわけないじゃないか!

あまりのことに、すぐさま巻頭カラーだった『スラムダンク』を読んだ。それが嘘だと願って。しかし、ほんとうに終わっていた。激闘の“山王戦”を終え、「次の試合、嘘のようにボロ負けした」という突然で強引すぎるモノローグ。間違いなく『スラムダンク』は終わってしまったのだ。これは当時の自分にとって到底受け入れられるものではなかった。しかし、ジャンプ最終回の最後のページに「第1部・完」という文字があった。「第1部・完」ということは、きっとすぐ続きがあるはずだ。そうでないと納得いかない。凄まじい喪失感で、心に大きな傷を抱えたまま第二部を待ち続けた。そして、26年半が経過した。

・なんだっていい、また『スラムダンク』が拝めるんだ
2022年、ついに迎える映画『THE FIRST SLAM DUNK』。ここまで内容に関しての情報はほぼなし。断片的な情報から「宮城リョータが主人公らしい」、「予想されていた山王戦ではないらしい」、「いや、山王戦じゃないか?」など、情報は錯そうしている。きっと初日まで、これ以上の情報公開は期待できないだろう。

『THE FIRST SLAM DUNK』がどんな内容になるにせよ、映像を見る限り、原作にはないエピソードがあるようだ。本当はマンガでやってほしいとか、言いたいことはいろいろある。でもそれで十分じゃないか。

26年半もの時を経て、創造主・井上雄彦その人自身による新しい『スラムダンク』が見られるということだけは確かなのだから。

やっと、あのときの心の傷が、“スラムダンク・ロス”が癒える日が、もうそこまで来ている。

あの頃のオレに言ってやりたい。

「大丈夫、いつか新しいスラムダンクが見られるよ。」

「26年かかるけどね。」

 

原作・脚本・監督:井上雄彦
演出:宮原直樹 北田勝彦 大橋聡雄 元田康弘 菅沼芙実彦 鎌谷悠
キャラクターデザイン:井上雄彦 江原康之 CGディレクター:中沢大樹 作画監督:江原康之 
美術監督:小倉一男 色彩設計:古性史織 撮影監督:中村俊介 編集:瀧田隆一 音響演出:笠松広司 
アニメーションプロデューサー:西川和宏 プロデューサー:松井俊之

声:仲村宗悟 笠間淳 神尾晋一郎 木村昴 三宅健太

オープニング主題歌:The Birthday(UNIVERSAL SIGMA) 
エンディング主題歌:10-FEET(EMI Records) 
音楽:武部聡志、TAKUMA(10-FEET)

製作:2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
アニメーション制作:東映アニメーション/ダンデライオンアニメーションスタジオ

■公式HP
https://slamdunk-movie.jp/
■公式Twitter
https://twitter.com/movie_slamdunk/
■COURT SIDE
https://www.slamdunk-movie-courtside.jp
■チケット予約特設サイト
https://slamdunk.movie-screen.jp/

©I.T.PLANNING,INC.
©2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

映画『THE FIRST SLAM DUNK』2022.12.3 公開