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文：屋我平一朗（日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー）

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の監督として知られる、ライアン・ジョンソンのミステリー映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』の続編タイトルが『Glass Onion: A Knives Out Mystery』となることが明かされた。

『ナイブズ・アウト』は、近年で最も評価の高いミステリー作品と言え(アメリカの映画批評サイト、ロッテン・トマトでは500名弱の批評家のうち97%が支持)、ミステリーの女王と謳われるアガサ・クリスティにオマージュが捧げられている。シリーズ2作目のタイトル「Glass Onion」は直訳すれば「ガラスのタマネギ」だが、クリスティの出身国であるイギリスのスラングで「片眼鏡(モノクル)」を意味する言葉でもある。紳士がかけているイメージが強いが、フィクションの中では怪盗がかけている場合も多い。

タイトルの意味や内容についての想像は膨らむばかりだが、深読みは禁物だ。なぜなら、イギリスのバンドであるThe Beatlesに同名の楽曲が存在し、それは彼らの曲に隠されたメッセージを読み解こうとする者たちをからかうために作られたと言われているからだ。本作についても、詳しいプロットもまだ不明の今の段階であれこれ推理するのはジョンソン監督の思う壺かもしれない。

キャストは、前作同様オールスターとなっているようだ。引き続きダニエル・クレイグが主演を務め、容疑者役にはエドワード・ノートン(『ファイト・クラブ』)、ジャネール・モネイ(『ムーンライト』)、キャスリン・ハーン(『ワンダヴィジョン』)、レスリー・オドム・Jr.(クリスティ原作の『オリエント急行殺人事件』)、ジェシカ・ヘンウィック(『マトリックス レザレクションズ』)、マデリン・クライン(『ある少年の告白』)、ケイト・ハドソン(『あの頃ペニー・レインと』)、デイブ・バウティスタ(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)の名が挙がっている。

内容に関してはただ唯一、舞台がギリシャになることだけは判明済みだ。クリスティでギリシャと言えば、名探偵エルキュール・ポアロが引退を考え、その前にギリシャ神話のヘラクレスが12の功業を成したがごとく12の事件を解決しようとする『ヘラクレスの冒険』という作品がある(ちなみに、「ヘラクレス(Hercules)」のフランス語形が「エルキュール(Hercule)」だ)。では、『ナイブズ・アウト』のポアロであるブノワ・ブランも早くも引退を？　…いや、その心配も無用だ。なぜなら、すでにシリーズ第3弾の制作が決定しているからだ。

元々、ライアン・ジョンソンは新たな『スター・ウォーズ』3部作のプロジェクトに携わる予定だったが、本シリーズなどによる多忙のため、企画が保留となっていることが報じられたばかり。どうやら“『ナイブズ・アウト』3部作”(3作目で終わるかは分からないが)の方が早く完結することになりそうである。前作は単なるミステリーでなく、思わず吹き出しそうになるシーンだらけのコメディでもあったので、本作も「タマネギ」の名に恥じない涙が出るほど笑える作品であることを期待しよう。アメリカでは、今年のホリデーシーズン(11月後半から年末年始)にNetflixにて配信予定だ。

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